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2025.12.13
間取り・動線
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パントリーは本当に必要?後悔しないための判断基準と設置ポイントを解説

パントリーは本当に必要?後悔しないための判断基準と設置ポイントを解説

「キッチン周りにもっと収納があれば…」「パントリーって便利そうだけど、うちの家に本当に必要?」
家づくりで多くの方が悩むキッチンの収納。
特に人気のパントリーですが、本当に必要か迷いますよね。
その答えは、あなたの暮らし方次第です。
もし「まとめ買い派」「備蓄を重視」「キッチンをすっきり見せたい」のどれかに当てはまるなら、パントリーは家事をぐっと楽にする強い味方になります。
ただし、毎日こまめに買い物される方や住居スペースを優先したい方は別の方法が有効です。
今回は、パントリーで後悔しないために、ご自身の暮らしに必要かどうかを見極める具体的な判断基準から、失敗しない設置のポイントまで徹底解説します。
あなたの理想のキッチンを思い描きながら、読み進めてみてください。

 

【この記事のポイント】

・パントリーが必要な家庭とそうでない家庭の具体的な特徴
・設置で後悔しないためのメリット・デメリットと、その対策
・失敗しないパントリーの広さやおすすめの間取りパターン
・使いやすさが格段にアップする、プロが教える内部設計のコツ

そもそも「パントリー」とは?基本的な役割と種類を知ろう

家づくりの情報収集をしているとよく耳にする「パントリー」ですが、まずはその基本的な役割から確認していきましょう。
特徴を知ることで、ご自身の暮らしに本当にフィットするのかイメージしやすくなります。

パントリーの役割は「食品庫」

パントリー(Pantry)とは、ひとことで言うと「食品や飲料、日用品などをストックしておくための収納スペース」のことです。
キッチンの一部またはキッチンに隣接して設けられるのが一般的で、日本語では「食品庫」と訳されます。
日常的に使う調味料や調理器具を置くキッチン本体の収納とは別に、常温で保存できる食料品や使用頻度の低い調理家電などを保管する役割を担います。

パントリーの主な3つのタイプ

パントリーには、間取りや広さに応じていくつかのタイプがあります。
それぞれの特徴を見てみましょう。

ウォークインタイプ

人が中に入れる個室型のパントリーです。1畳以上のスペースを確保できる場合に採用されることが多く、収納量が最も大きいのが特徴です。
棚をL字型やU字型に配置でき、収納するものに合わせてレイアウトを工夫できます。

ウォークスルータイプ

通り抜けができるトンネルのような形状のパントリーです。
「玄関→パントリー→キッチン」や「キッチン→パントリー→洗面脱衣室」といったように、2つの空間をつなぐ動線上に設けることができます。買い物から帰ってきてすぐに食品をしまえたり、家事をしながら日用品のストックを取り出せたりと、家事動線を効率化したい方におすすめです。

壁付け(キャビネット)タイプ

キッチンの壁面や背面の一部を利用して設ける、棚のようなパントリーです。
ウォークインタイプほどの広さがなくても設置しやすく、扉をつけなければどこに何があるか一目でわかります。
奥行きを浅くすることで、物の出し入れがしやすいのもメリットです。

 

関連記事:収納の多い間取りのメリットとは?注文住宅をお考えの方必見です!

 

白い収納ボックスやカゴを使って生活感を隠し、美しく整理整頓された可動棚のあるパントリー内部

我が家にパントリーは本当に必要?判断するための5つの基準

パントリーはとても便利ですが、すべてのご家庭に必要というわけではありません。
ここでは、ご自身の暮らしのスタイルを振り返りながら、パントリーの必要性を判断するための基準をご紹介します。

チェックリストで診断!パントリーがあると便利な暮らしのスタイル

以下の項目に3つ以上当てはまる方は、パントリーを設けることで暮らしがより快適になる可能性が高いです。




パントリーがなくても大丈夫なケースとは?

一方で、以下のような暮らし方の場合は、パントリーがなくても不便を感じにくいかもしれません。

・スーパーが近く、毎日のようにこまめに買い物に行く
・ストックは最小限しか持たないミニマルな暮らしを心がけている
・家の広さが限られており、パントリーよりも居住スペースや他の収納を優先したい

このような場合は、パントリーを無理に作るよりも、キッチンのカップボード(食器棚)の収納量を増やしたり、床下収納を活用したりする方が、空間を有効に使えることがあります。

 

関連記事:デッドスペースを活用している間取りの例をご紹介!

 

Q:家族の人数で必要性は変わりますか?

A. 目安にはなりますが、より大切なのは暮らし方です。
もちろん、ご家族の人数が多ければストックする量も増えるため、パントリーの必要性は高まる傾向にあります。
しかし、例えば共働きで週末にまとめ買いをするご夫婦であれば、2人暮らしでもパントリーは非常に重宝するでしょう。
逆に、ご両親と同居の5人家族でも、お母様が毎日スーパーに行くのが日課というご家庭なら、大きなパントリーは持て余してしまうかもしれません。
ご家族の人数はあくまで目安の一つです。
普段の買い物の仕方や量といった、ご自身の「暮らし方」を軸に必要性を判断することが、後悔しないための最も大切なポイントになります。

 

関連記事:住みやすい家の特徴とは? 動線を考慮した間取りと押さえたいポイント

 

キッチンカウンターを埋め尽くすほど大量にまとめ買いされた、かさばるペーパー類や箱買いの飲料水、食材ストック

後悔しないために知っておきたい!パントリーのメリット・デメリット

パントリーの必要性を判断するためには、メリットだけでなく、デメリットや注意点も知っておくことが重要です。
ここでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。

パントリーを設置する3つの大きなメリット

圧倒的な収納力でストック管理が楽になる

最大のメリットは、やはりその収納力です。
食料品や飲料、お米、調味料のストックはもちろん、トイレットペーパーや洗剤といった日用品、防災用の備蓄品まで一箇所に集約できます。
どこに何がどれくらいあるか把握しやすくなるため、無駄な買い物を減らす効果も期待できます。

キッチンがすっきり片付き、家事効率がアップする

ホットプレートやミキサーといった使用頻度の低い調理家電、いただきものの食器などをパントリーに収納することで、キッチンの作業スペースを広く確保できます。
調理中の動線がスムーズになり、お料理の効率もアップ。
生活感が出やすいものを隠せるため、急な来客時にも慌てずにすみます。

買い物や家事が楽になる「家事動線」を作れる

ウォークスルーパントリーなどを採用すれば、暮らしに合わせた効率的な家事動線を実現できます。
例えば、「玄関→パントリー→キッチン」とつながる間取りにすれば、重たい買い物袋をすぐにパントリーへ運び込めてとても便利です。

設置前に確認したいデメリットと対策

LDKのスペースが狭くなる可能性がある

パントリーを作るためには、当然ながらある程度の面積が必要です。
特に人気のウォークインタイプは、少なくとも1畳ほどのスペースをとるため、その分キッチンやリビングが狭くなってしまう可能性があります。

 

【設計での対策】
まずは、ご自身が「何を」「どれくらい」収納したいのかを具体的に書き出してみましょう。
現状のストック量を把握することが、無駄のない最適な広さを計画する第一歩です。
その上で、家全体の広さとのバランスをプロと一緒に検討することが後悔しないための鍵となります。
独立したパントリーにこだわらず、他の方法で収納力を確保するのも賢い選択です。
例えば、奥行きの浅い「壁付けタイプ」にしたり、「シューズクローク」の一部を食品庫として活用したりと、柔軟な発想で検討してみましょう。

奥の物が取り出しにくく、「使われない物置」になることも

奥行きの深い棚を設置すると、奥に入れたものを忘れてしまい、賞味期限が切れてしまう…といったことが起こりがちです。
せっかくのスペースがデッドスペース(有効活用できない空間)になってしまうケースは少なくありません。

 

【設計での対策】
棚の奥行きは、手が楽に届く30〜40cm程度を基本にするのがおすすめです。
また、収納物に合わせて高さを自由に変えられる「可動棚」にしておくと、スペースを無駄なく活用できます。

 

【入居後の工夫】
収納ボックスやカゴを使って「パスタ類」「缶詰類」のようにグループ分けし、ラベリングしましょう。
手前にはよく使うもの、奥にはストック品を置くルールを決めるだけでも、格段に使いやすくなります。

湿気やニオイがこもりやすい場合がある

パントリーは食品を保管する場所ですが、窓がない小さな空間になりがちで、湿気やニオイがこもりやすいという側面もあります。
特に、米びつやニオイの強い食品を置く場合は注意が必要です。

 

【設計での対策】
小さな窓や換気扇を計画し、空気の通り道を作ることが理想的です。
また、壁に調湿機能のある漆喰(しっくい)や珪藻土、デザイン性の高いエコカラットなどを採用するのも効果的です。
コンセントを1つ設置しておくと、後から除湿機などを使いたい場合にも対応できます。

 

【入居後の工夫】
まずは定期的に扉を開けて空気を入れ換える習慣をつけましょう。
市販の除湿剤や、消臭効果のある重曹を置くのも手軽にできる工夫です。

 

関連記事:キッチン・洗面所の動線で差がつく!家事がラクになる間取りアイデア集

 

パントリーを活用してキッチン周りをすっきりさせ、リビングのテレビやソファでくつろげる広々としたLDK

失敗しないパントリー設置のポイント【広さ・間取り・収納術】

「我が家にはパントリーが必要!」と決めたら、いよいよ具体的な計画のステップです。
ここでは、暮らし始めてから「こうすれば良かった…」と後悔しないために、使いやすさを大きく左右する「広さ」「間取り」「内部設計」という3つの重要なポイントをご紹介します。

最適な広さはどれくらい?家族構成・目的別の目安

パントリーの適切な広さは、家族の人数やストックする物の量によって変わります。
一般的な目安を以下の表にまとめました。

家族構成・目的 広さの目安 特徴
2〜3人家族(ストックは最小限) 0.5畳〜1畳 壁付けタイプや、人がギリギリ入れる程度のウォークインタイプ。
3〜4人家族(標準的なストック量) 1畳〜2畳 最も一般的な広さ。ウォークインタイプで収納力も十分。
5人以上・備蓄を重視する家庭 2畳以上 大容量の収納が可能。小型の冷凍庫(セカンド冷凍庫)を置くことも。

※これはあくまで目安です。ご自身のライフスタイルに合わせて、設計士と相談しながら最適な広さを決めることが後悔しないための鍵となります。

 

また、ウォークインタイプやウォークスルータイプにする場合、人が通る通路幅は最低でも90cm程度を確保すると、物の出し入れがスムーズです。
ご家族がすれ違うことを想定するなら、120cmあるとさらに快適でしょう。

設置にかかる費用の目安は?

パントリーの設置費用は、タイプや広さ、内装の仕様によって大きく変わりますが、一般的な目安は以下の通りです。

 

壁付けタイプ:約10万円~30万円
ウォークインタイプ:約30万円~80万円

 

これはあくまで新築時に造作する場合の概算です。
詳しい費用はプランや仕様によって大きく変わるため、家づくりのパートナーとなる工務店や設計士に相談してみましょう。

家事動線が劇的に変わる!おすすめの間取りパターン

パントリーをどこに配置するかで、日々の家事のしやすさは大きく変わります。
代表的な3つのパターンご紹介します。

キッチン隣接型

キッチンのすぐ横や背面に配置する最もスタンダードな間取りです。
調理中にサッと物を取り出せるため、利便性が高く、調理動線を最短にできます。

 

[ キッチン ] ←→ [ パントリー ]
(例:約1坪/1.8m × 1.8m程度のスペース)

ウォークスルー型(玄関 ⇔ キッチン)

玄関からパントリーを通って直接キッチンへ行ける動線です。
買い物から帰宅した後の「しまう」作業が劇的に楽になります。

 

[ 玄関 ] → [ パントリー ] → [ キッチン ]
(例:通路として幅90cm × 長さ1.8m程度のスペース)

家事室兼用型

パントリー内に小さなカウンターを設け、アイロンがけやレシピの確認などができる家事スペースとして活用するプランです。
収納と作業を一つの場所で完結できます。

 

[ パントリー内に作業カウンターを設置 ]
(例:カウンターのサイズ:奥行き45cm × 幅90cm程度)

使いやすさが格段にアップする内部設計のコツ

見落としがちですが、パントリー内部の設計は使い勝手を大きく左右します。
ここでは、採用の優先度順にポイントをご紹介します。

【必須レベル】これだけは押さえたい基本設計

・高さが変えられる「可動棚」

収納する物は暮らしとともに変わるため、棚板の高さを自由に変えられる「可動棚」は必須です。
棚の奥行きは30cm~40cm、棚板を調整する間隔(ピッチ)は25cm~30cmがさまざまな収納物に対応しやすくおすすめです。

 

・人感センサー付きの照明

両手がふさがっていても自動で点灯する照明は、日々の小さなストレスを解消してくれます。
消し忘れの心配もありません。
明るさは200〜300ルクス(lx)程度を確保すると、物のラベルなども見やすくなります。

【推奨レベル】使い勝手を大きく左右するプラスα

・コンセント(1〜2箇所)

コードレス掃除機の充電場所にしたり、セカンド冷凍庫を置いたり、将来的な活用の幅がぐっと広がります。

 

・下段の「引き出し式収納」

2Lのペットボトルやお米、根菜類など、重たい物の収納には引き出し式が便利です。
腰をかがめずに楽に出し入れできます。

【あると便利】暮らしの幅が広がるオプション

・小さな作業カウンター

レシピの確認や、買い物後の仕分けなど、ちょっとした作業スペースがあると家事効率がアップします。

 

・扉は「引き戸」にする

開き戸と違い、扉の開閉スペースが不要なため、キッチンや廊下の動線を邪魔しません。
スペースが限られている場合に特に有効です。

 

関連記事:使い勝手のいいキッチンとは?タイプ別のおすすめレイアウトをご紹介

 

収納する物のサイズに合わせて棚の高さを調整し、無地の収納ボックスを隙間なくきれいに並べたパントリーの可動棚

パントリーに関するよくあるご質問(FAQ)

最後に、パントリーを検討する際によくいただくご質問にお答えします。

Q. パントリーに窓や換気扇は必須ですか?

A. 必須ではありませんが、設置するのが理想です。
湿気やニオイ対策として、小さな窓か換気扇があると安心です。
設置が難しい場合は、壁に調湿効果のある建材(漆喰やエコカラットなど)を採用したり、除湿剤を活用したりする対策が有効です。

Q. パントリーは後からリフォームで付けられますか?

A. はい、可能です。
ただし、確保できるスペースやキッチンのレイアウトによって、設置できるタイプや規模、費用が大きく変わります。
まずは工務店やリフォームの専門家に相談してみましょう。

Q. 扉はつけた方がいいですか?

A. これはライフスタイルによります。
来客時に中を見られたくない、すっきり見せたいという方は「引き戸」などの扉をつけるのがおすすめです。
一方、物の出し入れのしやすさを最優先するなら「扉なし(オープン)」や、ロールスクリーンなどで簡易的に目隠しする方法もあります。

Q. 結局、どれくらいの広さが一番人気ですか?

A. 最も多く採用されるのは、人が一人入れる程度の「1畳〜2畳」のウォークインタイプです。
これくらいの広さがあれば、食料品のストックだけでなく、日用品や調理家電なども十分に収納できます。

Q. パントリーに小型の冷凍庫は置けますか?

A. はい、置けます。
近年、まとめ買いや冷凍食品のストック用にセカンド冷凍庫を置くご家庭は増えています。
その場合は、冷凍庫の設置スペースと専用のコンセントをあらかじめ計画しておくことが非常に重要です。

 

関連記事:セカンド冷凍庫におすすめの置き場所は?設置のポイントとメリット・デメリット

 

ダイニングテーブルでコーヒーを飲みながら理想の家づくりや間取りを計画しているイメージ、背景には整ったキッチン

まとめ

今回は、パントリーを設置するかどうかで迷っている方のために、後悔しないための判断基準や設置のポイントを詳しくご紹介しました。
パントリーは、たくさんの物を収納できてキッチンをすっきりと見せてくれる非常に便利な収納スペースです。
しかし、その一方で設置にはある程度の広さが必要であり、ご家庭の暮らし方によっては必ずしも必要でない場合もあります。
大切なのは、ご自身やご家族の買い物のスタイルや物の量、そして家事の仕方などをじっくりと見つめ直し、「我が家の暮らしに本当に必要か?」を見極めることです。

 

私たち大栄建設では、お客様一人ひとりのライフスタイルを丁寧にお伺いし、パントリーをはじめとした最適な収納計画をご提案しています。
造作家具によるオリジナルの収納棚づくりや自然素材を活用した空気環境づくりも得意としておりますので、「どんなパントリーが合うかわからない」「もっと具体的なアイデアが欲しい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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