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2025.11.05
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構造・安全性

木造住宅の耐久性はどのくらい? 国土交通省のデータで解明する本当の寿命と100年住むための秘訣

木造住宅の耐久性はどのくらい? 国土交通省のデータで解明する本当の寿命と100年住むための秘訣

「木の家って、温かみがあって憧れるけど、耐久性って実際のところどうなんだろう?」
マイホームをご検討中の方なら、一度はこんな疑問を持たれたことがあるかもしれません。
地震や台風の多い日本で、長く安心して暮らすためには、お家の耐久性はとても重要なポイントです。
しかし、その大切な耐久性については、あまり知られていない事実や、少し誤解されがちな情報も少なくありません。
今回は、国の信頼できるデータを交えながら、木造住宅の“本当の寿命”と、大切な住まいを100年先まで守るための秘訣を、わかりやすく解説していきます。

 

【この記事のポイント】

・「法定耐用年数22年」は税金計算のための数字で、お家に住める期間(寿命)とは異なります。
・国のデータでは、木造住宅は性能とメンテナンス次第で100年以上住むことも可能です。
・家の寿命を延ばす秘訣は「湿気」「シロアリ」「水回り」「外装」の4つの定期的なケアが鍵です。
「長期優良住宅」を選ぶと、高い耐久性が期待でき、未来の安心に繋がります。

木造住宅の寿命と「法定耐用年数22年」その誤解と真実

家づくりを考え始めると耳にする「法定耐用年数22年」という言葉。
この数字の本当の意味と、木造住宅の寿命が実際には何によって決まるのか、まずは基本的な知識から一緒に整理していきましょう。

「木造住宅の寿命は22年」は本当?

家づくりについて調べ始めると、木造住宅の「法定耐用年数は22年」という言葉を目にすることがあるかもしれません。
この数字だけを見ると、「え、22年しかもたないの?」と不安に感じてしまいますよね。
でも、ご安心ください。この「法定耐用年数」というのは、あくまで税法上で定められた、減価償却を計算するための年数です。
減価償却とは、建物の価値が時間と共に減少していくという考え方に基づき、税金の計算を公平に行うための会計上のルール。
つまり、法定耐用年数は「税金の計算で使うための数字」であって、「その建物に住める期間(寿命)」とは全く関係ありません。
実際に、築22年を過ぎても、快適に暮らしている木造住宅は日本中にたくさんあります。

この違いを、もう少し分かりやすく整理してみましょう。

「法定耐用年数」と「本当の寿命」は違います!

法定耐用年数(22年)

目的:税金の計算のため
(会計上のルール)

お家の本当の寿命

決まる要因:建築品質、メンテナンス
(50年〜100年以上)

本当の寿命は何で決まるの?

法定耐用年数が寿命ではないとすると、木造住宅の本当の寿命は一体どのくらいなのでしょうか。
その答えは、「一概に〇〇年です」と決めることは、実はとても難しいのです。
なぜなら、家の寿命は、さまざまな要因が複雑に絡み合って決まるからです。

例えば、

 

・建築時の品質:どんな木材を使い、どんな工法で建てられたか
・立地条件:日当たりや風通し、雨量や積雪の多さなど
・メンテナンス状況:定期的な点検や修繕が行われているか
・住まい方:換気をこまめにするか、お掃除の頻度など

 

これらの条件によっても、劣化の進み具合は一軒一軒まったく異なります。
丁寧につくられ、大切に住まわれ、適切にメンテナンスされた家は、驚くほど長持ちします。
逆に、どんなに立派な家でも、メンテナンスを怠ってしまうと寿命は短くなってしまうのです。

👉 関連情報:長持ちする家を建てるには?押さえておきたいポイントもご紹介!

 

木造住宅の本当の寿命。法定耐用年数を超えても、明るいリビングで快適に暮らす若い夫婦。

国土交通省のデータで見る木造住宅の本当の寿命|性能次第で100年超も

では、実際のところ木造住宅は何年くらい住めるのでしょうか。
ここでは信頼性の高い国土交通省のデータをもとに、住宅性能と寿命の関係を解明します。
100年住める家のキーワードとなる「長期優良住宅」についても詳しく見ていきましょう。

国が示す「期待耐用年数」という目安

「寿命が一律ではないのはわかったけど、やっぱり目安が知りたい」と思いますよね。
そこで参考にしたいのが、国土交通省が示している「期待耐用年数」という指標です。
これは、「適切なメンテナンスを行うことで、住宅が構造的にどのくらいの期間持つと期待できるか」を示したものです。
税務上の数字ではなく、建物の性能に基づいた、より実態に近い寿命の目安と考えることができます。

性能によって大きく変わる木造住宅の寿命

国土交通省の資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」によると、建物の性能によって期待耐用年数は以下のように変わります。

フラット35基準程度 50年~60年
劣化対策等級3(耐久性を高める対策) 75年~90年
長期優良住宅(国が認めた長持ち住宅) 100年超 ※

※ 適切な維持管理(メンテナンス)が行われることが前提です。

 

この表を見ると、住宅の性能が高くなるほど、期待できる寿命が格段に長くなることがわかりますね。
特に注目したいのが「長期優良住宅」です。

100年住み継ぐための住まい「長期優良住宅」とは?

「長期優良住宅」とは、その名の通り、長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられている優良な住宅のこと。
国が定めた厳しい基準をクリアした住宅のみが認定を受けられます。

具体的には、以下のような基準が設けられています。

 

劣化対策:構造躯体が長く使えるような対策がされているか(例:劣化対策等級3)
耐震性:大きな地震がきても倒壊しにくい、高い耐震性能があるか
省エネルギー性:断熱性能が高く、環境にも家計にもやさしいか
維持管理・更新の容易性:配管などの点検や補修がしやすい構造になっているか
住戸面積:暮らしやすい、一定以上の広さが確保されているか
居住環境:地域の街並みとの調和が図られているか
維持保全計画:将来のメンテナンス計画がきちんと立てられているか

 

これらの基準をクリアしているかどうかは、専門家でないと判断が難しいですよね。
そこで、住宅会社に相談する際に、最低限これだけは確認したい4つの質問リストをご用意しました。

 

✅ 長期優良住宅で後悔しないための確認リスト

  1. 構造の耐久性は大丈夫?
    「劣化対策等級3」など、建物の骨組みが長持ちする工夫について、詳しく説明してもらえますか?
  2. 地震への備えは万全?
    耐震等級は最高ランクの「3」ですか?また、その根拠となる構造計算の書類も見せてもらえますか?
  3. 将来のメンテナンス計画は?
    建てた後の定期的な点検(10年後、20年後など)の計画について、具体的に教えてください。
  4. 「認定書」はもらえますか?
    正式な「長期優良住宅」として国から認定された証明書(認定通知書)は、必ず発行されますか?

 

このリストを使って質問することで、その住宅会社が本当に長期優良住宅について深く理解し、誠実に対応してくれるかどうかを見極めることができます。

これらの基準をクリアした長期優良住宅は、構造的な耐久性が高いだけでなく、快適性や省エネ性にも優れ、将来のメンテナンスもしやすいように設計されています。
つまり、建てた後も資産価値を維持しやすく、世代を超えて安心して住み継いでいける住まいなのです。

👉 関連情報:長期優良住宅とは?認定基準とメリット・デメリット

 

国土交通省のデータが示す木造住宅の性能。長期優良住宅の信頼性を象徴する認定証と家の鍵。

100年住める家にする秘訣|湿気・シロアリ・水回り・外装のメンテナンス

長期優良住宅のような高性能な家を選ぶことは、長持ちする家づくりの第一歩です。
しかし、その性能を維持し、本当に100年住める家にするためには、暮らしの中での適切なメンテナンスが欠かせません。
ここでは、木造住宅の耐久性を保つために特に重要な4つの秘訣をご紹介します。

秘訣1:家の耐久性を左右する「湿気」との上手な付き合い方

木造住宅にとって、湿気は構造材である木材の耐久性に影響を与える、特に注意したいポイントの一つです。
湿気が多い状態が続くと、木材を腐らせる「腐朽菌」が繁殖しやすくなり、家の耐久性を著しく低下させてしまいます。

24時間換気システムは止めないで

2003年以降に建てられた家には、24時間換気システムの設置が義務付けられています。
これは、室内の空気を常に入れ替え、湿気や化学物質を排出するための大切な設備です。
電気代が気になるかもしれませんが、止めずに常に稼働させておくことが、家を湿気から守る基本です。

サーキュレーターや除湿器を上手に活用

特に梅雨の時期や、洗濯物を部屋干しするときなどは、湿気がこもりがち。
サーキュレーターを使って部屋の空気を循環させたり、除湿器を活用したりして、湿度が上がりすぎないように工夫しましょう。
クローゼットや押入れの中も、定期的に扉を開けて風を通すのがおすすめです。

窓の結露はこまめに拭き取る

冬場に発生しやすい窓の結露も、放置するとカーテンや壁にカビを生やし、窓枠の木材を傷める原因になります。
結露を見つけたら、こまめに拭き取る習慣をつけましょう。
断熱性能の高い窓を選ぶことも、結露対策には非常に効果的です。

✅ 湿気対策 やることリスト

  • 毎日:窓の結露を見つけたら、すぐに拭き取る
  • 梅雨〜夏:除湿器やサーキュレーターを活用し、室内湿度を40〜60%に保つ
  • 年1回:24時間換気システムのフィルターを清掃する

秘訣2:見えない脅威「シロアリ」から構造体を守る

シロアリは、湿った木材を好んで食べるため、木造住宅にとっては注意が必要な存在です。
でも、ご安心ください。正しい知識と対策で、しっかりと家を守ることができます。

シロアリを寄せ付けない環境づくり

シロアリ対策の基本も、やはり「湿気対策」です。
家の基礎周りに物を置いて風通しを悪くしたり、雨水が溜まりやすいものを放置したりしないように気をつけましょう。
また、多くの住宅会社では、建築時に土台や柱に防蟻(ぼうぎ)処理を施しています。
この薬剤の効果は永久ではないため、保証期間を確認し、定期的な再処理や点検を行うことが非常に重要です。

✅ シロアリ対策 やることリスト

  • 年1回:床下や家の周りを自分でチェックしてみる
  • 5年ごと:専門業者による防蟻処理の再施工や点検を検討する(※保証期間による)

👉 関連情報:その羽アリはシロアリ?クロアリ?見分け方と絶対やってはいけないNG行動3選・対処法

秘訣3:トラブルの芽を摘む「水回り」のチェックポイント

キッチン、お風呂、洗面所、トイレなどの水回りは、毎日使う場所だからこそ、劣化やトラブルが起こりやすい箇所です。
ほんの少しの水漏れでも、放置すれば床下の木材を腐らせ、シロアリを呼び寄せる原因になりかねません。

日常的にできるチェックリスト

✅ 水回りチェックリスト(月1回が目安)

  • キッチンのシンク下や洗面台の下が、湿っぽくないか?
  • 蛇口の根元や給水管のつなぎ目から、水がにじんでいないか?
  • お風呂や洗面所の排水溝の水は、スムーズに流れるか?

こうした点を日常的にチェックし、もし異常を感じたら、すぐに専門の業者に相談しましょう。
早期発見・早期対応が、被害を最小限に食い止める鍵となります。

秘訣4:家の顔を守る「外壁・屋根」の定期メンテナンス

雨や風、紫外線から家全体を守ってくれているのが、外壁と屋根です。
外装の劣化は、見た目の問題だけでなく、雨漏りを引き起こし、建物の内部構造にダメージを与えてしまう可能性があります。
そうなる前に、定期的なメンテナンスで家の健康を守ってあげましょう。

メンテナンスの目安を知っておこう

外壁材の種類にもよりますが、一般的にサイディングのつなぎ目を埋めている「コーキング(シーリング)」は、10年前後でひび割れなどの劣化が見られるようになります。
このコーキングが劣化すると、隙間から雨水が浸入しやすくなるため、定期的な打ち替えが必要です。
屋根も同様に、10年~15年を目安に専門家による点検を受け、必要に応じて補修や塗装を行うことで、防水性能を維持することができます。
定期的な外装メンテナンスは、家の寿命を延ばすための大切な投資と考えましょう。

✅ 外装メンテナンス やることリスト

  • 台風・大雨の後:目視で屋根や外壁に異常がないか確認する
  • 10年前後:外壁のコーキング(つなぎ目)の劣化を専門家に見てもらう
  • 10〜15年ごと:屋根や外壁全体の点検・塗装を検討する

秘訣5:将来に備える賢いメンテナンス計画と費用

ここまで具体的なメンテナンス方法を見てきましたが、「結局、将来のためにいくらくらい準備しておけばいいの?」という点が気になりますよね。
あくまで目安ですが、10〜15年ごとに行う外壁・屋根のメンテナンスで100〜200万円程度を見込んでおくと安心です。
こうしたまとまった費用に備えるため、簡単な積立シミュレーションをしてみましょう。

💡 将来の修繕費、月々に換算すると?

例えば、15年後に150万円のメンテナンス費用がかかると仮定した場合…

150万円 ÷ 180ヶ月(15年) = 約8,300円/月

毎月このくらいの金額を目安に積み立てておくと、いざという時に慌てずに対応できますね。

※ 上記はあくまで単純計算による一例です。必要な費用や時期は、工事内容やお家の状況によって変動します。

 

長期優良住宅は、こうした将来のメンテナンス計画をあらかじめ立てることが義務付けられているため、費用が見通しやすいというメリットもあります。

👉 関連情報:ライフサイクルコスト(LCC)を考えた住宅とは?重要性と低減方法と資産価値の維持・向上

 

木造住宅の寿命を延ばす外壁メンテナンス。専門家が金属サイディングの外壁を丁寧に点検している様子。

よくある質問 Q&A

この記事を読んで、さらに気になった疑問点について、Q&A形式でお答えします。

Q. 結局、「法定耐用年数22年」って何だったんですか?

A. 税金の計算(減価償却)で使われる会計上の数字です。
お家に実際に住める期間(寿命)とは全く関係ありませんのでご安心ください。
家の本当の寿命は、建物の性能やメンテナンス次第で100年以上にもなります。

Q. 将来のメンテナンスには、どのくらいの費用がかかりますか?

A. 10〜15年ごとに行う外壁・屋根のメンテナンスで、100〜200万円程度が目安です。
この費用に備え、月々8,000円〜1万円程度を「修繕積立」として準備しておくことをお勧めします。

Q. 長期優良住宅にすると、何か良いことがあるんですか?

A. はい、住宅ローン控除や固定資産税など、税金面で優遇措置を受けられるのが大きなメリットです。
これは、国が定める高い耐久性や耐震性などの基準をクリアしているためです。
より詳しい認定基準やデメリットについては「長期優良住宅のメリット・デメリット」の記事で解説しています。

Q. シロアリの被害が心配です。何か前兆はありますか?

A. はい、「床がフカフカする」「柱から空洞音がする」「春〜初夏に羽アリを大量に見かける」といった症状が代表的な前兆です。
これらはシロアリ被害のサインかもしれないため、注意が必要です。
見つけた際の詳しい対処法は「シロアリの見分け方と対処法」の記事で解説しています。

Q. 木の種類によって、耐久性は変わりますか?

A. はい、変わります。
例えばヒノキは湿気やシロアリに強く、土台によく使われます。スギは加工しやすく柱や梁に、というように適材適所で使い分けることで、家全体の耐久性を高めることができます。

Q. 建てた後に何か問題が起きたら、保証はありますか?

A. はい、法律で定められた10年間の保証があります。
新築住宅では、構造上の重要な部分や雨漏りについて、引渡しから10年間の「瑕疵(かし)担保責任」が義務付けられています。
安心して家づくりを進めるためにも、保証内容は必ず確認しましょう。

 

木造住宅の耐久性に関する疑問を解決。住宅会社の担当者と相談し、安心した表情を浮かべる夫婦。

まとめ

今回は、木造住宅の耐久性について、国土交通省のデータを基に解説しました。
「法定耐用年数22年」は税務上の話であり、木造住宅の立地や住み方次第で、100年を超えても安心して住み続けられる高いポテンシャルを秘めています。
その鍵となるのが、建築時に「長期優良住宅」のような高性能な住まいを選ぶこと、そして、完成後に愛情を持って定期的なメンテナンスを行っていくことです。

 

私たち大栄建設では、長期優良住宅を標準仕様とし、ご家族が世代を超えて愛せる家づくりをお手伝いしています。
耐久性の高い木造住宅にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。