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国産材と輸入材どっちがいい?後悔しないためのメリット・デメリット比較
「国産材は安心そうだけど、やっぱり予算が…」「輸入材はおしゃれで安いけれど、日本の気候に合うのかな?」
家づくりで木材を選ぶとき、そんなふうに迷う方がとても多いものです。
しかし、その「なんとなく」のイメージだけで大切な木材を選んでしまうと、住み始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔する原因になりかねません。
例えば、お部屋の雰囲気と合わなかったり、メンテナンスが想像以上に大変だったり…。
一生に一度の大きな買い物で、そんな後悔だけは絶対にしたくないですよね。
では、どうすれば後悔しない木材選びができるのでしょうか。
その答えは、とてもシンプル。「適材適所」で賢く使い分けることです。
今回は、費用・耐久性・デザイン性などの視点から、それぞれの本当のメリット・デメリットを、分かりやすく比較していきます。
理想の住まいづくりのために、ぜひ一緒に大切なポイントを見ていきましょう。
【この記事のポイント】
・国産材と輸入材、それぞれの本当の強みと弱みが理解できます。
・5つの視点から、あなたにぴったりの木材がどちらか見えてきます。
・予算と理想を両立させる「賢い使い分け」の具体的なコツがわかります。
・家づくりへの不安や疑問を、Q&A形式でスッキリ解消します。
国産材と輸入材の基本を知ろう
家づくりで使われる木材は、大きく「国産材」と「輸入材」に分けられます。
それぞれの言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんな違いがあるのかは意外と知られていないかもしれません。
まずは国産材と輸入材、それぞれどんな特徴があるのか一緒に見ていきましょう。
国産材とは?日本の気候で育った木の魅力
国産材とは、その名の通り、日本国内の森林で育てられ、伐採された木からつくられる木材のことです。
代表的なものには、ヒノキやスギ、カラマツなどがあります。
日本の国土は、約7割が森林で覆われています。
そこで育った木々は、四季の変化、夏の高い湿度、冬の寒さといった日本の気候風土の中で、ゆっくりとたくましく成長します。
そのため、日本の環境によく馴染み、家になった後もその土地の気候に適応しやすいという大きな特徴があります。
また、木目がまっすぐで美しいことや、ヒノキのように心地よい香りを持つものが多いのも、国産材ならではの魅力と言えるでしょう。
輸入材とは?世界から集まる多様な木材
一方、輸入材は、海外の森林から伐採され、日本に輸入されてくる木材を指します。
主な輸入元は、北米(米マツ、米ツガなど)、ヨーロッパ(レッドウッド、ホワイトウッドなど)、東南アジア(チーク、マホガニーなど)と世界中に広がっています。
輸入材の一番の魅力は、世界中から集まる豊富な種類と、それによって実現できるデザインの自由度の高さにあります。
日本では見られない個性的な色合いや木目を持つ木材も多く、理想の空間づくりにこだわりたい方には嬉しいポイントです。
また、広大な森林で計画的に育てられているため品質と供給が安定しており、比較的手に取りやすい価格であることも、多くの家づくりで選ばれる理由の一つです。
実は身近な輸入材、日本の木材自給率の現状
「日本の家なのだから、国産材がたくさん使われているはず」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
林野庁のデータによると、2023年の日本国内の木材自給率は43%でした(出典:林野庁「令和5年木材需給表」の公表について)。
つまり、私たちが家づくりで使う木材の半分以上は、海外からやってきた輸入材ということになります。
どちらの木材も、日本の家づくりにとって欠かせない大切な存在なのですね。
あわせて読みたい:杉と桧、建材に選ぶならどっち?特徴・メリット・デメリットを徹底比較

国産材 vs 輸入材 あなたに合うのはどっち?5つの視点で徹底比較
基本的な違いを押さえたところで、ここからは「費用」「品質・耐久性」「デザイン」「安全性」「環境への配慮」という、家づくりで特に気になる5つの視点から、国産材と輸入材を具体的に比べていきましょう。
ご自身の家づくりで何を一番大切にしたいか、ぜひ考えながら読み進めてみてくださいね。
国産材と輸入材の比較表
| 比較視点 | 国産材 | 輸入材 |
|---|---|---|
| 費用 | 中〜高価格帯が中心 ・スギなどは比較的手頃 ・ブランドのヒノキやケヤキは高価 |
低〜高価格帯まで幅広い ・大量流通品(SPF材など)は安価 ・オーク、ウォールナットなどの銘木は高価 |
| 品質・耐久性 | 日本の気候に強く、高品質 ・高温多湿な環境に適応しやすい ・伸縮や反りが比較的少ない |
樹種や乾燥技術によって品質が変わる ・KD材(人工乾燥材)なら品質は安定 ・気候の違いによる変形に注意が必要な場合も |
| デザイン | 和風・ナチュラルな雰囲気に最適 ・木目が均一で美しく、やさしい印象 ・ヒノキやスギ特有の香りも魅力 |
デザインの選択肢が非常に豊富 ・オーク、チークなど個性的な木目が多数 ・モダン、北欧風など幅広いスタイルに対応 |
| 安全性 | 薬剤処理のリスクが低い ・基本的に輸送時の防腐・防虫処理は不要 |
防腐・防虫処理の確認が必要 ・長距離輸送のため薬剤が使われる場合がある ・使用薬剤の種類を確認するとより安心 |
| 環境配慮 | 環境負荷が少ない ・ウッドマイレージが短くCO2排出減 ・国内の森林保全に貢献 |
環境負荷が大きい傾向 ・ウッドマイレージが長くCO2排出増 ・FSC認証など環境配慮型の木材を選ぶ選択肢も |
💡家づくり豆知識:FSC認証とは?
環境にもやさしい木材を選びたい方にとって、目印となる国際的な認証マークです。
・どんなマーク?:環境や地域社会に配慮して、適切に管理されていると認められた森林から伐採された木材であることの証です。
・何がいいの?:このマークのついた製品を選ぶことで、違法伐採を防ぎ、世界の森林を守る活動に繋がります。
・家づくりでは:輸入材を選ぶ際にこの認証があるか気にしてみるのも、サステナブルな家づくりの大切な一歩です。
視点1:費用・価格(コストパフォーマンス)
費用の面では、樹種によって異なりますが、一般的に国産材はやや高め、輸入材は比較的お手頃な傾向にあります。
とはいえ、「国産材=高い」と一概には言えず、家づくりで最も気になる費用は選び方で大きく変わってきます。
確かに、丁寧に育てられたブランド材のヒノキなどは高価になる傾向があります。
しかし、国内で最も多く植えられているスギなどは、比較的安価で手に入れることができます。
一方で、輸入材の中にも、チークやウォールナットといった高級な木材はたくさんあります。
大切なのは、輸送費や加工費まで含めたトータルコストで考えることです。
輸入材は輸送コストがかかりますが、大量生産による価格の安さがそれをカバーします。
国産材は輸送コストは低いですが、一つひとつ丁寧に加工するための人件費がかかる場合があります。
予算に合わせて最適な木材を提案してくれる工務店に相談するのが良いでしょう。
あわせて読みたい:マイホーム購入前に必読!後悔しない予算の決め方と諸費用のすべて
視点2:品質・耐久性(家の寿命)
長く安心して暮らすための品質面では、日本の気候に強い国産材、乾燥技術が鍵となる輸入材、という点を押さえておくと分かりやすいです。
やはり家の寿命に関わる耐久性は、絶対に譲れないポイントですよね。
国産材の強み:日本の気候への適応力
高温多湿な夏、乾燥する冬。
この厳しい環境で育った国産材は、家になった後も湿度による伸縮や変形が比較的少ないというメリットがあります。
気候風土に合った木材を使うことは、結果的に家の耐久性を高め、寿命を延ばすことにも繋がります。
輸入材で注意したい点:乾燥と気候の違い
輸入材の中には、安定した気候で育ったものも多くあります。
そうした木材は、日本の多湿な環境に置かれると、湿気を吸って膨張したり、乾燥時に反りやひび割れを起こしたりすることがあります。
もちろん、人工的にしっかりと乾燥させる技術(KD材と呼ばれます)でその弱点を克服している木材も多いので、どんな環境で育ち、どんな処理がされているかを確認することが大切です。
💡家づくりミニ知識:KD材(人工乾燥材)とは?
KDとは「Kiln Dried」の略で、その名の通り、人工的に窯(Kiln)の中で乾燥(Dried)させた木材のことです。
木材に含まれる水分(含水率)をあらかじめ低く安定させることで、家が建った後の「反り」や「割れ」「縮み」といった変形を最小限に抑える、とても重要な役割を果たします。
視点3:デザイン・見た目(内装の雰囲気)
デザイン面では、和風・ナチュラルが得意な国産材、多彩な選択肢が魅力の輸入材、という大きな特徴があります。
毎日過ごす空間だからこそ、理想の雰囲気に合わせてこだわりたいポイントですよね。
国産材の魅力:やさしく、美しい木目
国産材は、年輪の幅が狭く、木目がまっすぐで美しいものが多く見られます。
スギのやわらかな赤みや、ヒノキの清潔感のある白さは、心を和ませる空間をつくりだし、特に和風やナチュラルな雰囲気の家にぴったりです。
輸入材の魅力:選べる楽しさと個性的な表情
輸入材の最大の魅力は、そのバリエーションの豊かさです。
床材として人気のオークの重厚な木目や、パイン材の明るくカジュアルな雰囲気、ウォールナットの深い色合いなど、理想のインテリアに合わせて自由に選ぶことができます。
北欧風、ヴィンテージ風、モダンなど、こだわりの空間を実現したい方には嬉しいポイントです。

視点4:安全性・健康(家族へのやさしさ)
ご家族の健康に関わる安全性では、薬剤処理の少ない国産材に安心感があり、輸入材は処理の確認がポイントになります。
特に小さなお子様がいるご家庭では、とても気になるところですよね。
木材を選ぶ際に考えたいのが「薬剤処理」です。
輸入材は、長い船旅の間に虫が付いたりカビが生えたりするのを防ぐため、港で防腐・防カビ・防虫のための薬剤が散布されることがあります。
もちろん、人体に影響のない基準で処理されていますが、アレルギーなどが気になる方にとっては、少し心配な点かもしれません。
その点、国産材は国内で流通するため、輸送のための強力な薬剤処理は基本的に不要です。
木の香りや温もりを、より自然な形で感じられるのは、国産材ならではの安心感と言えるでしょう。
視点5:環境への配慮(サステナビリティ)
環境への配慮という点では、輸送距離が短い国産材の方が負荷は少なく、輸入材は認証の有無が選択基準になります。
最近では、家づくりにおいてもこうした視点を重視する方が増えています。
ここで知っておきたいのが「ウッドマイレージ」という考え方です。
これは、木材の輸送にかかるエネルギーを距離で示したもので、輸送距離が長いほど、CO2の排出量が多くなり、環境への負荷が大きくなります。
当然、遠い海外から運ばれてくる輸入材はウッドマイレージが大きく、国産材は小さくなります。
国産材を使うことは、日本の林業を活性化させ、森林を適切に管理することにも繋がります。
手入れをした森林は、土砂災害を防いだり、豊かな水を育んだりと、私たちの暮らしを守ってくれます。
国産材を選ぶことは、未来の環境への小さな貢献にもなるのです。
あわせて読みたい:住宅は木造・鉄骨・鉄筋どれがいい?それぞれの構造比較とメリット・デメリット

よくある質問 Q&Aでスッキリ解決!木材選びの疑問
ここまで読んで、国産材と輸入材の違いがかなり見えてきたかと思います。
ここでは、お客様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。
Q. 結局、コストパフォーマンスが良いのはどちらですか?
A. 「適材適所」で使い分けるのが最もコスパが高くなります。
例えば、家の骨組みのように耐久性を重視したい部分には国産のヒノキを、床材のようにデザインや費用とのバランスを見たい部分には輸入材のオークを選ぶ、といった形です。
家全体の予算とこだわりたいポイントを整理した上で、信頼できる工務店に相談し、最適な組み合わせを提案してもらうのが良いでしょう。
Q. 地震に強いのは国産材ですか?
A. 木材の種類よりも「家の構造設計」が重要です。
国産材か輸入材かに関わらず、家には建築基準法を満たした強度の木材が使われます。
本当に大切なのは、耐震等級などの構造計算がしっかりとなされているか、そしてその設計通りに丁寧に施工されているか、という点です。
安心して暮らすためには、信頼できる工務店をパートナーに選ぶことが何よりも大切です。
あわせて読みたい:耐震等級3相当とは?耐震等級3との違いを解説します!
Q. メンテナンスが楽なのはどちらですか?
A. 木の種類(樹種)と「表面の塗装」によって変わります。
例えば、傷のつきにくさで言えば、柔らかいスギよりも硬いオークの方が優れています。
また、表面の塗装が水を弾くウレタン塗装か、木の質感を活かすオイル塗装かによっても、日頃のお手入れ方法は全く異なります。
ご自身のライフスタイルに合ったメンテナンス計画まで、一緒に考えていきましょう。
あわせて読みたい:無垢材フローリングのおすすめ木材6選!特徴を比較し後悔しない家づくり
Q. 小さな子どもがいるのですが、輸入材の薬剤は心配ありませんか?
A. 過度に心配する必要はありませんが、確認するとより安心です。
輸入材に使われる薬剤は、もちろん人体に影響のない、国の基準をクリアしています。
それでもご心配な場合は、薬剤処理が不要な国産材を選んだり、化学物質の放散量が最も少ない「F☆☆☆☆(エフフォースター)」等級の建材を指定したりする方法もあります。
ご家族の健康に関するご不安は、家づくりにおいて最も大切なことの一つです。
どんな些細なことでも遠慮せず、依頼先の工務店や設計士にしっかりと伝えて相談しましょう。
💡家づくりミニ知識:F☆☆☆☆(エフフォースター)とは?
ご家族の健康を守るために知っておきたい、建材の安全基準を示す大切なマークです。
・どんなマーク?:シックハウス症候群の原因となる化学物質「ホルムアルデヒド」の発散量を表す等級です。
・☆の意味は?:☆の数が多いほど発散量が少ないことを意味し、F☆☆☆☆が最も安全性が高い最高等級になります。
・何がいいの?:F☆☆☆☆の建材は内装に使う際の面積制限がなく、小さなお子様がいるご家庭でも安心して使えます。
Q. 国産材を使うと補助金がもらえると聞きました。
A. はい、国や自治体による補助金制度があります。
例えば、地域で育った木材の使用を促進するための補助金や、国産材を使った長期優良住宅への助成金など、実は様々な制度があるんです。
ただ、こうした制度は年度やお住まいの地域によって内容が大きく変わりますし、申請期間が限られていることも多いので注意が必要です。
最新の情報は、自治体の公式サイト等でご確認いただくか、私たちのような地域の工務店にお気軽にお尋ねください。

まとめ
今回は、家づくりにおける国産材と輸入材の違いについて、さまざまな角度から比較してきました。
大切なのは、メリット・デメリットを知った上で、ご自身とご家族がどんな暮らしをしたいか、その想いを家づくりに反映させることです。
あなたの家づくりで大切にしたい価値観を見つめ直す、良いきっかけになれば幸いです。
「うちはデザインを優先したいから、床は輸入材のオークがいいな」「やっぱり家族の健康を考えて、柱は国産のヒノキにしたい」そんな風にご家族で話し合う時間も、家づくりの大切な一歩です。
私たち大栄建設は、お客様一人ひとりの理想の暮らしを、確かな技術で実現することを使命としています。
どんな些細なことでも構いません。あなたの「こんな家に住みたい」という夢や、家づくりへの不安な気持ちを、まずは私たちにお聞かせください。
専門のスタッフがあなたの想いに誠心誠意向き合い、一緒に理想の家づくりを始めます。
