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2025.09.21
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自然素材・健康住宅

新築で失敗しない木材選び|杉(スギ)の温かい特徴とメリット・注意点を徹底解説!

新築で失敗しない木材選び|杉(スギ)の温かい特徴とメリット・注意点を徹底解説!

一生に一度の大きなお買い物である、夢のマイホーム。
特に、お家の印象や住み心地を大きく左右する「木材選び」は、絶対に失敗したくないポイントですよね。
「たくさんの種類があって、どれを選べば良いかわからない…」
「杉は花粉のイメージがあるけれど、建材としてはどうなんだろう?」
そんなお悩みや疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本の歴史と共にあり、私たちの暮らしに最も身近な木材「杉(スギ)」に焦点を当てます。
最後までお読みいただければ、杉の持つ温かい特徴と素晴らしいメリット、そして長く心地よく付き合っていくための注意点まで、しっかりとご理解いただけます。
ご家族みんなが笑顔で、永く快適に暮らせるお家づくりのために、ぜひ参考にしてください。

 

【この記事でわかること】

・日本人に愛されてきた杉の基本的な特徴(歴史や性質)
・杉がお家にもたらす6つの具体的なメリット
・知っておきたい注意点と、上手な付き合い方のコツ
・他の代表的な木材(ヒノキなど)との違いのポイント

そもそも「杉(スギ)」とはどんな木?

杉(スギ)とは、日本の固有種であり、その軽さ、温かみのある肌触り、優れた調湿効果から、古くから日本の建築に用いられてきた代表的な木材です。
美しさと加工のしやすさも兼ね備え、私たちの暮らしに温もりと快適さをもたらしてくれます。
まずは、そんな杉が持つ基本的な特徴について、歴史や性質の面から見ていきましょう。

日本の暮らしに深く根付いてきた杉の歴史

杉は、太古の昔から日本の建築を支えてきた、私たちにとって最も馴染み深い木材の一つです。
たとえば、断崖絶壁に建つ姿で知られる鳥取県の国宝「三徳山三佛寺投入堂(さんぶつじとうにゅうどう)」では、その主要な柱に杉が使われており、厳しい自然環境の中で1000年近くもの時を耐え抜いています。
また、杉は日本の固有種であり、日本の人工林面積の約44%を占める、最も多く植林されている木でもあります。

参考:林野庁「令和4年度 森林・林業白書 全文」

 

このように、古くから日本全国で育てられ、使われ続けてきたからこそ、杉は世代を問わず多くの人々に受け入れられ、今なお住宅の建材として愛されているのです。

触れてわかる「空気のような軽さ」と「温かさ」

杉材に触れたときに感じる優しい温もりには、実は科学的な根拠があります。
その秘密は、杉の木の構造的な特徴、すなわち「比重の小ささ」に隠されているのです。
杉は他の木材と比較しても特に密度が低く、その内部はまるでスポンジのように無数の微細な空洞で満たされています。
この空洞に含まれる動かない空気が、熱の移動を妨げる強力な断熱層として機能するため、外の冷たさを伝えにくく、室内の温かさを保つことができるのです。
これは、住宅で使われる高性能な断熱材が、多くの空気を含んで熱を遮断するのと同じ原理です。
この優れた「保温性」と「断熱性」こそが、杉の温もりの正体であり、熱の伝わりやすさを示す「熱伝導率」という指標で他の建材と比較すると、その性能の高さは歴然としています。

 

素材の種類 熱伝導率 (W/m・K) 備考
杉(スギ) 約0.087 非常に熱を伝えにくい
コンクリート 約1.6 杉の約18倍熱を伝えやすい
約83 杉の約950倍熱を伝えやすい

この圧倒的な断熱性のおかげで、杉を使った床や壁は、冬場でもひやっとする冷たさを感じにくく、優しい温もりを保ってくれるのです。

空間を快適にする「天然のエアコン」のような調湿効果

杉が内部に多く含んでいる空気は、断熱性だけでなく、優れた「調湿効果」ももたらします。
杉の木は、まるで呼吸をするかのように、室内の湿度を快適な状態にコントロールしてくれます。

 

湿度が高い時(梅雨や夏場など):空気中の余分な水分を吸収する。
湿度が低い時(冬の乾燥した時期など):蓄えていた水分を空気中に放出する。

 

この調湿効果は、天然の加湿器・除湿器のような働きをしてくれます。
この杉の持つ調湿効果のおかげで、夏はサラッとした肌触りで心地よく、ジメジメとした暑い日でも快適に過ごすことができます。
高温多湿な日本の気候風土に、非常に適した木材と言えるでしょう。

関連情報:知らないと後悔する木造住宅の湿気対策!プロが教える結露、カビを防いで家の寿命を延ばす方法

 

家づくりで使われる杉の木材の美しい木目と、温かみのある質感がわかるクローズアップ写真

杉の家にはどんなメリットが?暮らしが豊かになる6つの心地よさ

杉の家は、断熱性や調湿性といった優れた機能に加え、住む人の心と体に優しく寄り添う多くのメリットをもたらします。
ここでは、具体的な6つの心地よさを一つひとつ詳しく解説していきます。

メリット1:素足で実感できる、優しい温もりと断熱性

杉の最大のメリットは、内部に多くの空気を含むことによる、優れた断熱性から生まれる優しい温もりです。
この性質により、冬の寒い日でも床がヒヤッとせず、素足で歩いても心地よい温かさを感じることができます。
この優れた断熱性は、お部屋の快適性を高めるだけでなく、冷暖房の効率をアップさせる効果も期待できます。
夏は涼しく、冬は暖かいお家は、光熱費の節約にもつながり、お財布にも環境にも優しい暮らしを実現してくれます。

メリット2:ジメジメを解消する、優れた調湿効果

杉はまるで呼吸をするように室内の湿度を調整し、一年中快適な空気環境を保ちます。
日本の暮らしで悩みの種となりやすい梅雨時期のジメジメとした湿気を吸収し、乾燥する冬には水分を放出してくれるため、室内を爽やかな状態に保ってくれます。
壁や床に杉の無垢材を使用することで、洗濯物の部屋干しをしても湿気がこもりにくくなったり、窓の結露を抑制したりする効果が期待できます。
カビやダニは湿度の高い環境を好むため、杉の調湿効果は、アレルギーの原因となるこれらの発生を抑え、ご家族の健康を守ることにもつながるのです。

メリット3:ご家族の足腰を守る、柔らかな衝撃吸収性

材質が柔らかく適度な弾力性を持つ杉は、歩行時の衝撃を優しく吸収し、足腰への負担を和らげます。
この衝撃吸収性のおかげで、小さなお子様が元気に走り回っても安心でき、ご年配の方も疲れにくいというメリットがあります。

 

小さなお子様がいるご家庭:元気に走り回ったり、時には転んでしまったりしても、硬い床材に比べて衝撃が少なく安心です。
ご年配の方がいるご家庭:膝や腰への負担が少なく、長時間立っていても疲れにくいというメリットがあります。

 

フローリングに杉を選ぶことは、日々の暮らしの中で、ご家族全員の体を優しく守ってくれることにつながるのです。

メリット4:お家の歴史を刻む、美しい経年変化

無垢材である杉は、年月とともに深みのある美しい飴色へと変化し、家族の歴史を刻んでいきます。
新築当初の白っぽい明るい色合いから、太陽の光を浴びて少しずつ変化していく様子は、合板フローリングにはない本物の木材ならではの魅力です。
暮らしの中でついてしまう小さな傷や汚れも、合板フローリングのようにみすぼらしくなるのではなく、お家と共に過ごした歴史として、味わい深い「味」となっていきます。
ご家族の成長とともに、お家の表情も豊かになっていく。
この経年変化を楽しめるのは、無垢材ならではの醍醐味と言えるでしょう。

メリット5:心を落ち着かせる、穏やかな香り

杉の特有の甘く穏やかな香りには、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
この香りの主成分である「セドロール」には自律神経を整える鎮静効果があるとされ、リビングや寝室で過ごす時間をより質の高いものにしてくれるでしょう。
ヒノキのシャープで清々しい香りとは少し異なり、杉の香りはほんのりと甘く、穏やかで優しいのが特徴です。
リビングでくつろいだり、寝室で眠りについたりする際に、杉の穏やかな香りに包まれることで、より質の高いリラックスタイムを過ごすことができるでしょう。

メリット6:長く安心して暮らせる、優れた耐久性

一枚板である無垢材の杉は、表面が剥がれる心配がなく、簡単なお手入れで何十年も使い続けられる高い耐久性を持ちます。
一般的な合板フローリングのように表面が剥離することはなく、傷がついても表面を少し削ることで綺麗な木目が現れ、美しさを取り戻すことができます。
適切にお手入れをすれば、何十年という長い期間にわたって使い続けることができ、世代を超えて受け継いでいくことも可能な、非常にサステナブルな建材です。

関連情報:一年中快適な家を建てるには?夏涼しく冬暖かい住まいのつくり方と工夫

 

杉材のメリットである素足の心地よさ。無垢フローリングの上を歩くことで感じる温もりと快適さ

杉の注意点とは?後悔しないための上手な付き合い方

杉の持つ「柔らかさ」という特徴を正しく理解し、ライフスタイルに合わせた対策をすることで、その魅力を最大限に活かすことができます。
ここでは、後悔しないお家づくりのために、事前に知っておきたい注意点とその対策をご紹介します。

注意点1:表面の柔らかさと暮らしの跡

杉のメリットである「柔らかさ」は、見方を変えると、暮らしの跡が刻まれやすいという特徴にもなります。
例えば、硬いおもちゃを落としたり、家具を引きずったりすると、へこみや傷がつくことがあります。

対策:暮らしの跡を「味わい」として楽しむこと

暮らしの中でつく小さな傷や、太陽の光を浴びて少しずつ深まる色の変化は、ご家族がこのお家で確かに過ごしてきた時間の証です。
それは他の誰にも真似できない、「我が家だけの表情」を育てていくということ。
この変化を「劣化」ではなく「成長」と捉えることで、傷の一つひとつさえもが思い出になります。

対策:ライフスタイルに合わせた塗装を選ぶこと

傷への強さやお手入れのしやすさを重視する場合は、塗装で表面を保護する方法がおすすめです。
塗装には主に2種類あり、それぞれに特徴があります。

 

塗装の種類 メリット デメリット
オイル仕上げ ・自然な肌触りと香りを楽しめる
・木が呼吸(調湿)できる
・ご家庭で簡単な補修ができる
・傷や汚れがつきやすい
・定期的なオイル塗布が必要
ウレタン塗装 ・傷や汚れに強い
・水に強くお手入れが楽
・メンテナンスがほぼ不要
・木の質感が少し失われる
・木が呼吸しにくい
・大きな傷の補修が難しい

 

対策:ご家庭でできる簡単なメンテナンスを行う

浅いへこみであれば、ご家庭で簡単にメンテナンスをすることができます。
濡らしたタオルをへこみの上に置き、その上からアイロンを数秒当てることで、木の繊維が水分と熱で膨らみ、ある程度元に戻ることがあります。(※必ず目立たない場所で試してから行ってください)

注意点2:水分によるシミ

杉の優れた調湿性は、水分を吸収しやすい性質の裏返しでもあります。
特に無塗装やオイル仕上げの場合、コップの水滴や食べこぼしなどを長時間放置すると、シミになってしまう可能性があります。

対策:「すぐに拭き取る」を習慣にすること

最もシンプルで効果的な対策は、水分や汚れを放置せず、「すぐに拭き取る」ことです。
これを習慣にするだけで、杉の美しさを長く保つことができます。

対策:普段のお手入れと定期的なメンテナンスを行うこと

普段のお掃除は、掃除機をかけ、乾いた柔らかい布で拭くのが基本です。
汚れが気になる場合は、固く絞った布で優しく拭き取りましょう。
オイル仕上げの場合は、年に一度程度、専用のメンテナンスオイルを塗り込むことで撥水性が回復し、木の色艶もより美しく保つことができます。

関連情報:後悔しない家づくりの鉄則!失敗事例から学ぶ間取り・土地・資金・会社選びの成功術

 

杉の床材で後悔しないための注意点。オイルを塗ってメンテナンスする丁寧な手入れの様子

Q&A:杉のお家に関するよくあるご質問

Q1. 杉花粉のアレルギーがあるのですが、お家に使っても大丈夫ですか?

基本的にはご心配いりません。
花粉症は、空気中を飛散する「花粉」が原因でアレルギー反応が起こるものであり、建材として加工された「木材」そのものがアレルギーを引き起こすことは極めて稀だと考えられています。
むしろ、杉の香り成分にはアレルギーの原因となるダニの繁殖を抑制する効果も期待できます。
ご心配な方は、事前にサンプル材で香りや肌触りを確認してみることをおすすめします。

Q2. 他の木材(ヒノキなど)との一番の違いは何ですか?

一番の違いは「空間が持つ雰囲気」と「肌で感じる心地よさ」です。
ヒノキは、その香りや緻密な木目から、凜とした上質な空間を演出してくれます。
それに対して杉は、柔らかな肌触りと温かい木目から、お気に入りのカフェのように、誰もがリラックスできる空間づくりに適しています。
どちらが良いということではなく、ご家族がどんな空間で過ごしたいか、という価値観で選ぶことが大切です。

Q3. 杉の床と、床暖房の相性はどうですか?

無垢材である杉は、急激な温度変化によって反りや隙間が生じる可能性があるため、床暖房との組み合わせには丁寧な計画が必要です。
しかし、技術が進んだ現在では、両方の快適さを実現することは可能です。
具体的には、「床暖房対応」として含水率などが特別に調整された杉フローリング材を選ぶことや、木材に負担の少ない低温式の床暖房システムを採用することが有効な対策となります。
採用を検討される場合は、必ず無垢材と床暖房の施工実績が豊富な会社に相談することが、成功の鍵となります。

関連情報:檜(ヒノキ)と杉(スギ)の違いとは?価格・耐久性・見た目を徹底比較!家づくりで後悔しない選び方

 

後悔しない家づくりのために、工務店で杉の木材サンプルを見ながら専門家と打ち合わせをする夫婦

他の木材との比較|ヒノキ・パイン材との違い

杉の魅力は理解できたけれど、他の木材も気になる、という方も多いでしょう。
ここでは、国産高級材の代表格である「ヒノキ」と、ナチュラルな雰囲気で人気の「パイン材」との違いを比較してみましょう。
ご自身の好みやライフスタイルに合うのはどれか、考えるヒントにしてください。

 

項目 杉(スギ) 檜(ヒノキ) パイン材(欧州赤松など)
価格帯の目安 ★★☆(比較的安価) ★★★(高価) ★☆☆(安価)
硬さ(傷つきにくさ) 柔らかい やや硬い 柔らかい
香り 穏やかで甘い香り 爽やかで強い芳香(リラックス効果) ほんのり甘い松の香り
色合い・木目 赤みがかった心材と白い辺材が特徴的。木目はまっすぐで力強い。 全体的に淡いピンク~黄色。木目は緻密で上品。 全体的に白~黄色。節が多く、カントリー調の雰囲気。
経年変化 全体的に深みのある飴色に変化し、味わいが増す。 全体的に艶が出て、より美しい黄金色に変化。 より濃い飴色に変化。色の変化が比較的早い。
特徴・こんな人におすすめ 素足で過ごしたい、温もりと調湿性を重視する、コストも抑えたい、経年変化を楽しみたい人。 高級感、耐久性、ヒノキの香りが好きな人。浴室など水回りにも強い。 明るくカジュアルな雰囲気が好きな人。DIYにも人気。コストを最優先したい人。

 

このように、それぞれに異なる魅力があります。
「家族がリラックスできる温かい空間」を求めるなら杉、「格式高く、特別な空間」を求めるならヒノキ、「明るくカジュアルな雰囲気」を求めるならパイン材、というように、目指すお家のイメージに合わせて選ぶことが大切です。

関連情報:新築で失敗しない木材選び|ヒノキのメリット・注意点を徹底比較!知っておくべき材質と特徴

 

杉とヒノキ、パイン材の木材選びの比較。それぞれの木目や色の違いがはっきりとわかる木材サンプル

まとめ

今回は、日本の暮らしに最も身近な木材である「杉(スギ)」について、その温かい特徴とメリット、そして上手な付き合い方について詳しく解説しました。
杉は、花粉のイメージが先行しがちですが、実際には日本の気候風土に非常に適した、機能性と心地よさを兼ね備えた素晴らしい木材です。
その優しい温もり、優れた調湿効果、そして時間とともに深まる味わいは、日々の暮らしを豊かにし、ご家族に安らぎを与えてくれます。
注意点を正しく理解し、ライフスタイルに合わせて上手に付き合っていくことで、その魅力を最大限に引き出すことができます。

 

大栄建設では、お客様一人ひとりのご希望やライフスタイルを丁寧にお伺いし、今回ご紹介した杉のような自然素材の温もりを活かしたお家づくりを大切にしています。
ご家族みんなが心から「この家で本当によかった」と思っていただけるよう、創業35年以上の経験と知識で全力でサポートいたします。
自然素材を活かしたお家づくりにご興味がございましたら、ぜひ一度、大栄建設までお気軽にご相談ください。