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自然素材の家は本当に健康にいいの?メリット・デメリットを徹底解説
新築住宅を検討し始めたとき、「家族が健康に過ごせる家を建てたい」と考える方は多くいらっしゃいます。
特に、結婚や出産をきっかけに「自然素材の家って良さそう」と興味を持つ方が増えています。
自然素材の家は「健康に良い」「環境にやさしい」といったポジティブなイメージがある一方、「お手入れが大変そう」「コストがかかりそう」という懸念を持たれることも少なくありません。
今回は、そんな自然素材の家について、メリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。
目次
自然素材の家とは?
「自然素材の家」とは、床や壁、天井、建具などの内装材や構造材に、化学物質を含まない自然由来の材料を使ってつくられた住宅のことを指します。
自然素材に明確な定義はありませんが、使用される素材には以下のようなものがあります。
無垢材:スギやヒノキなどの天然の木そのもの。肌触りがよく、木の香りも楽しめる。
漆喰や珪藻土:壁材として使われ、調湿・消臭効果に優れる。
天然繊維の断熱材:セルロースファイバーや羊毛など。
植物由来の塗料・ワックス:安全性が高く、自然な風合いを損なわない。
現代の住宅では施工性やコスト、量産性を重視した工業製品が主流ですが、これらはホルムアルデヒドなどの化学物質を含む建材が使われることも多く、体質によってはアレルギー反応や不快感などを引き起こすことがあります。
自然素材の家は、「自然と調和した暮らし」や「住まう人の健康」に重点を置いた住まい。
素材が本来持つ風合いや温もりを活かしながら、健康で快適な暮らしを実現します。
関連記事:無垢材を使った家づくり!無垢材の特徴とおすすめの木材について
自然素材の家のメリット
自然素材の家は、見た目の美しさだけでなく、住む人の心身の健康にもよい影響を与えると言われています。
ここでは、自然素材の持つ「健康へのやさしさ」に注目し、主なメリットをご紹介します。
1. 健康的な空気環境で家族を守る
自然素材は、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)などの有害物質をほとんど含まず、室内の空気を清潔に保つ特性があります。
住宅建築に使われる一般的な接着剤や塗料などの建材には化学物質が使われており、それが原因で「シックハウス症候群」や「化学物質過敏症」などを引き起こすことがあります。
無垢材や漆喰などの自然素材は、化学物質を使わずに仕上げることができるため、シックハウス症候群や化学物質過敏症などの心配が少なく、小さなお子さまや高齢者、アレルギーをお持ちの方にとっても安心です。
お住まいそのものが健康を支える空間となります。
※ホルムアルデヒドは、環境基準は設定されていませんが、目、鼻、気管を強く刺激する「有害大気汚染物質」に該当する可能性のある物質の一つに選定されており、またそれらの中でも健康リスクがある程度高いと考えられる「優先取組物質」の一つに指定されています。
2. 自然の力で湿度をコントロール
漆喰や珪藻土、無垢材には、周囲の湿度に応じて水分を吸ったり吐いたりする調湿機能があります。
湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出してくれるため、一年を通して快適な湿度を保ちやすくなります。
カビやダニの発生リスクも抑えられるため、快適性だけでなく衛生面にも効果的です。
3. 耐久性が高い
自然素材の建材は適切なお手入れをすれば非常に長持ちします。
たとえば、一般的な複合フローリングは長くても20年程度で劣化が目立ち始めますが、無垢のフローリングは50年以上使用可能で、傷や汚れがついても表面を削ることで修復できるため張り替える必要がありません。
漆喰も部分補修が可能で、耐用年数は100年以上とされています。
古民家などに自然素材が多く使われていることからも、その耐久性の高さは証明されています。
4. 五感に働きかける心地よさ
木の自然な香りや、素足に伝わるぬくもり、壁に触れたときの優しい質感――自然素材は、人の五感にやさしく働きかけ、心からリラックスできる空間をつくります。
見た目の柔らかさもあり、照明の光をやわらかく反射するなど、視覚的な効果も良好です。
日々の暮らしの中で、自然と癒される感覚が得られるのは、自然素材ならではの魅力です。
自然素材の家の注意点とその対策
1. コストがやや高めになる傾向がある
自然素材を使った家は、一般的な住宅よりも初期費用が高くなる傾向にあります。
素材そのものの価格だけでなく、加工や施工に手間がかかるものが多いためです。
また、手作業が多く職人技が求められるため、工期が長くなるケースも考えられます。
対策: 長い目で見て、メンテナンス性や耐久性を評価することが大切です。
自然素材は適切なお手入れをすれば長持ちするため、ライフサイクルコストで見ると十分に元が取れるケースが多くあります。
関連記事:ライフサイクルコスト(LCC)を考えた住宅とは?重要性と低減方法と資産価値の維持・向上
2. 汚れや傷がつきやすい素材もある
自然素材は繊細な面もあり、無垢材は硬いものを落とすと凹んだり、漆喰や珪藻土の壁は衣類や家具のこすれで黒ずむこともあります。
水や油が染み込むとシミになりやすいため、日常の使い方に注意が必要です。
対策:キズや汚れなど部分的なものについては簡単に補修することができます。
また、保護塗料やワックスを活用することで、ある程度の防汚効果や耐水性を持たせることも可能です。
3. 施工の品質が住み心地を左右する
自然素材は施工方法によって性能や見た目に大きな差が出るため、知識と経験のある職人や工務店が必要です。
たとえば、漆喰を美しく塗るには高度な左官技術が不可欠ですし、無垢材の扱い方にも熟練の技が求められます。
対策: 実績のある施工会社を選ぶことが最も重要です。
自然素材を多く取り扱っている会社を選び、施工事例を見せてもらったり、実際に建てた家を見学することで品質の見極めが可能です。
自然素材の家に使われる代表的な建材とは?特徴と選び方を解説
自然素材の家づくりでは、建材そのものの質がお住まいの快適性や健康性を大きく左右します。
ここでは、自然素材の家に多く用いられる代表的な建材と、それぞれの特徴や選び方のポイントをご紹介します。
無垢材(むくざい)
天然の木材をそのまま使用した無垢材は、床や柱、天井など構造材として多く使われます。
木の香りややわらかな質感が魅力で、経年変化によって色味や風合いが変化していくことも特徴です。
調湿性・断熱性に優れており、室内の空気環境を自然に整える働きがあります。
選び方のポイント:
樹種(スギ、ヒノキ、ナラ、オークなど)によって硬さや色合いが異なります。
用途に合わせて適切なものを選びましょう。
漆喰(しっくい)
石灰を主原料とした左官材で、壁や天井に塗ることで独特のやさしい風合いを生み出します。
調湿性・防カビ性・消臭性に優れており、室内空気の清浄化にも効果を発揮します。
選び方のポイント:
100%自然素材で作られているか、化学接着剤などの混入がないかを確認しましょう。
珪藻土(けいそうど)
海や湖のプランクトンの殻が堆積してできた土を原料とした素材です。
優れた吸放湿性能を持ち、梅雨や冬場の湿度管理に貢献します。カビの発生を抑え、結露の防止にも役立ちます。
選び方のポイント:
製品によっては化学樹脂が混合されていることもあるため、「珪藻土配合率」が高いものを選ぶと安心です。
和紙・布クロス
紙や布を使った壁材で、化学製品のビニールクロスと異なり自然な風合いと通気性を兼ね備えています。
空間に柔らかな印象を与え、手触りも優しく、視覚的にも落ち着きます。
選び方のポイント:
耐久性や防汚性能を考慮しながら、お部屋の用途に合わせて選ぶことが大切です。
自然素材の家のメンテナンス方法
自然素材は経年変化が楽しめる反面、こまめなメンテナンスが快適なお住まいを保つために重要です。
ここでは素材別に、自然素材の家を長く心地よく保つためのお手入れの基本を解説します。
無垢材の床や家具
特徴: 傷つきやすい、湿度によって伸縮する
お手入れ方法:
・普段は乾いた雑巾での乾拭きが基本
・汚れがひどい場合は固く絞った雑巾で水拭き(頻度は月1回程度)
・年に1回程度、植物由来の自然オイルでのメンテナンスを行うことで艶を保てます
漆喰や珪藻土の壁
特徴: 傷や汚れが目立ちやすい
お手入れ方法:
・消しゴムで軽くこすることで小さな汚れを落とせる場合あり
・補修用の材料があれば、部分的な塗り直しも比較的簡単にできる
・ホコリは柔らかいブラシや乾いた布で除去
紙クロスや布クロス
特徴: 湿気や手垢に弱い
お手入れ方法:
・乾いた布で軽く拭く
・強い摩擦や水分は避ける
・定期的に空気の流れを作ってカビ防止を意識する
メンテナンスを楽しむ心構え
自然素材の魅力は「完璧さ」ではなく「不完全さを楽しむこと」にもあります。
多少の傷や汚れも、お住まいの味わいとして受け入れる気持ちを持つと、より自然素材の家を愛せるようになります。
まとめ
自然素材の家は、ただ見た目が美しいだけでなく、暮らす人の健康や心の豊かさも育んでくれるお住まいです。
調湿性や安心感、経年変化による味わいなど、工業製品では得られない魅力が詰まっています。
その一方で、施工やメンテナンスには一定の知識と手間が掛かる場合があります。
自然素材の家を検討するときは、ご自分たちの暮らし方や価値観に合っているかをじっくり考えることが大切です。
子どもの成長に合わせて住んでいるお家の変化も楽しめる、そんな家づくりをしてみてはいかがでしょうか?