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太陽光発電+家庭用蓄電池は本当に元が取れる?初期費用から損益分岐点を徹底シミュレーション
新しいお家での暮らしを考えると、わくわくしますよね。
そんな夢のマイホームで、「太陽光発電や家庭用蓄電池を導入すべきか」「元は取れるのか」と悩まれる方は少なくありません。
初期費用がかかるため、納得して決めたいというお気持ちは自然なことです。
今回は、そんなあなたの疑問や不安に寄り添いながら、太陽光発電と家庭用蓄電池をセットで導入した場合の費用対効果を、具体的なシミュレーションを交えて分かりやすく解説します。
初期費用に対して「何年で元がとれるのか」という損益分岐点の考え方から、後悔しないための重要ポイントまで、一緒に見ていきましょう。
【この記事のポイント】
・太陽光発電と家庭用蓄電池をセットで導入した場合の本当の費用対効果
・具体的なモデルケースで見る「10年間」の経済的なメリット
・初期費用を何年で回収できるかという「損益分岐点」の目安
・ご自身のご家庭で「元が取れるか」を判断するためのチェックポイント
目次
なぜ今、「太陽光発電と家庭用蓄電池のセット」が注目されているの?
はじめに、最近多くの方が太陽光発電と蓄電池のセット導入を検討されている背景を、3つのポイントから見ていきましょう。
ご自身の状況と照らし合わせることで、必要性をより深く考えるきっかけになります。
ポイント1:家計に直結する「電気代の高騰」
ここ数年、電気代が上がり続けているというニュースをよく目にしますよね。
その主な原因は、電気をつくるための燃料価格が世界的に上昇しているからです。
これからも電気代がどうなるか先行きが見えない中で、「自分たちの家で電気をつくり、使う」という考え方が、家計を守るための賢い選択肢として注目されています。
ポイント2:電気を「売る」より「賢く使う」時代へ(FIT制度の変化)
太陽光発電でつくった電気は、電力会社に売ることができます。
この仕組みを「FIT制度(固定価格買取制度のこと)」と呼びます。
しかし、この売電価格は年々下がってきています。
そのため、これからは電気を「高く売る」ことよりも、蓄電池を使い「電気をなるべく買わずに自家消費する」方が、経済的なメリットが大きくなるケースが増えているのです。
ポイント3:もしもの停電時にも家族を守る安心感(防災意識の高まり)
近年、大規模な台風や地震のニュースに触れることも多く、もしもの停電への備えがより重要になっています。
お家づくりにおいても、「災害時にも家族が安心して過ごせるようにしたい」という想いから、太陽光発電と蓄電池に注目が集まっています。
太陽光発電と蓄電池があれば、停電時でも日中に電気をつくり、夜は蓄電池に貯めた電気を使えるため、冷蔵庫やスマートフォンの充電など、最低限の電力を確保できます。
この「もしもの時の安心感」が、大きな価値として見直されています。
関連記事:ランニングコストがかからない家の作り方!光熱費・修繕費で後悔しない4つの重要ポイント

太陽光+蓄電池で元は取れる?初期費用と損益分岐点の考え方
ここからは、ご自身のご家庭の状況に置き換えて「元が取れるか」を考えていきましょう。
導入費用は状況により様々ですので、「いくらなら何年で元が取れるのか」という損益分岐点の考え方を軸に、費用対効果を検証していきます。
Step1:ご家庭の電気使用量を把握する
まずは、ご家庭でどれくらい電気を使っているかを知ることから始めましょう。
もしお手元に「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」があれば、「ご使用量(kWh)」の項目をご確認ください。
もし検針票が手元にない場合でも、世帯人数からおおよその使用量を把握できます。
【世帯人数別の月間電力使用量の目安】
1人暮らし: 約200 kWh
2人暮らし: 約350 kWh
3人暮らし: 約420 kWh
4人暮らし: 約450 kWh
(※総務省統計局の家計調査などを基にした一般的な目安です)
この「電気使用量」が、太陽光発電と蓄電池が生み出す経済メリットを計算するうえで、重要な指標となります。
Step2:太陽光と蓄電池が生み出す「年間の経済メリット」を計算する
太陽光と蓄電池を導入した場合の経済メリットは、主に「①電気代の削減額」と「②売電収入」の2つから成り立ちます。
ここでは、より現実に近いモデルでシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーションの主な前提条件】
場所: 神奈川県横浜市
ご家庭: 4人家族(月間電気使用量 450kWh)
※日中の電力消費割合30%、夜間70%と仮定
太陽光パネル: 5kW(年間発電量 6,000kWh)
※横浜市の平均的な日照条件を基に算出
蓄電池: 10kWh
※実使用可能容量90%、充放電効率(電気のロス率)85%(一般的な家庭用蓄電池の性能を基に設定)
電気料金プラン: 東京電力エナジーパートナー「スマートライフS」を想定
※昼間35円/kWh, 夜間28円/kWhとして計算
売電価格: 15円/kWh(FIT制度を利用)
この条件で計算すると、年間の経済メリットは「約14.2万円」という結果になります。
【経済メリットの詳しい内訳】
この「年間約14.2万円」というメリットは、主に以下の3つの効果の合計です。
① 日中の自家消費による削減額:約5.7万円
太陽光で発電した電気で、日中の電気購入をまかなう効果
② 夜間の蓄電池利用による削減額:約7.7万円
日中に貯めた電気を夜間に使い、夜間の電気購入を減らす効果
③ 余剰電力の売電収入:約0.8万円
使いきれず、貯めきれなかった電気を売ることで得られる収入
このように、「自家消費」で電気代をしっかり削減することが費用対効果の大部分を占めます。
※ただし、この効果は蓄電池の容量や、夜間に電気を多く使うライフスタイルかなどによって変動します。
Step3:蓄電池の初期費用ごとに「元がて取れる年数」をチェックする
それでは、この「年間約14.2万円」の経済メリットを基に、初期費用ごとの損益分岐点を見ていきましょう。
なお、実際の導入費用は製品のグレードや施工内容、時期によって変動しますので、あくまで一つの目安としてご覧ください。
損益分岐点(年) = 導入費用 ÷ 年間の経済メリット
【導入費用から見る損益分岐点の目安】
| 導入費用 (補助金適用) |
年間経済メリット | 元が取れる年数 | ワンポイント |
|---|---|---|---|
| 150万円 | 約14.2万円 | 約10.6年 | 大きな経済メリットが期待できるラインです。 |
| 200万円 | 約14.2万円 | 約14.1年 | 機器の寿命とされる15年以内で回収できる、現実的な目安と言えます。 |
| 250万円 | 約14.2万円 | 約17.6年 | 長期的な視点での検討や、手厚い保証を選ぶことがポイントになります。 |
| 300万円 | 約14.2万円 | 約21.1年 | 経済性だけでなく、防災価値など総合的なメリットを重視する場合の選択肢です。 |
このように、ご自身の予算感と、どこに価値を置くかによって、最適な選択は変わってきます。
もちろん、これはあくまで一つのモデルケースです。
実際の導入費用は製品のグレードや施工内容によって変動し、立地やご家庭の状況によっても費用対効果は大きく変わります。
関連記事:ライフサイクルコスト(LCC)を考えた住宅とは?重要性と低減方法と資産価値の維持・向上

後悔しない!蓄電池で元を取るための3つの重要ポイント
太陽光発電と蓄電池は、決して安い買い物ではありません。
だからこそ、「本当に元が取れるのか」を慎重に考えるのは当然のことです。
ここでは、導入後に後悔しないために、そして経済的なメリットを最大限に引き出すために押さえておきたい3つの重要ポイントを解説します。
ポイント1:徹底的にこだわる「初期費用の抑え方」
元を取るまでの期間を短くする最も直接的な方法は、導入時の初期費用を賢く抑えることです。
補助金制度をフル活用する
国や自治体は、環境に配慮した住宅設備に対して補助金制度を用意しています。
これらの制度は、年度ごとに内容が変わり、予算の上限に達すると終了してしまうため、常に最新の情報をチェックすることが重要です。
条件が合えば数十万円単位で負担を軽減できることもあり、活用しない手はありません。
信頼できる工務店で相見積もりを取る
同じメーカーの製品でも、どの工務店に依頼するかで全体の費用は変わってきます。
複数の信頼できる工務店から見積もりを取り、価格だけで判断しないことが大切です。
提案内容や保証、アフターサポート体制までを総合的に比較検討することで、最終的な満足度に繋がります。
ポイント2:メリットを最大化する「運用」と「価値」の考え方
初期費用を抑えたら、次は日々の運用でメリットを最大化する方法と考え方について見ていきましょう。
「自家消費」を最大化する運用と料金プラン
蓄電池の経済メリットを最大限に引き出す鍵は、「自家消費」、つまり太陽光で発電した電気をいかに無駄なく家庭で使い切るか、という点にあります。
その最も効率的な運用方法は、日中に発電して使いきれなかった「余剰電力」を蓄電池に充電し、発電できない夜間や朝夕にその電気を使うことです。
これにより、単価の高い時間帯に電力会社から電気を買う量を最小限に抑えられます。
ライフスタイルに合った電気料金プランを見直す
さらに効果を高めるのが電気料金プランの見直しです。
太陽光と蓄電池だけでは、どうしても天気が悪い日など、電力が足りなくなることがあります。
その「買う電気」を、単価が安い深夜帯に集中させるのです。
例えば、エコキュートのお湯はりや食洗機のタイマー運転などを深夜に行うことで、家全体の電気代をさらに最適化できます。
このように、「基本は太陽光の電気を貯めて使う」という運用に、「買う電気は一番安い時間帯に」という工夫を組み合わせることが、最も賢い使い方と言えるでしょう。
「災害への備え」というプライスレスな価値
蓄電池の価値は、日々の電気代削減だけではありません。
台風や地震で万が一停電した際にも、冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、最低限の電力を確保できるという安心感は、お金には代えがたい大きな価値です。
家族の安全を守る防災設備として考えれば、その費用対効果は計り知れないものになるでしょう。
ポイント3:長期的な安心に繋がる「容量」と「保証」の選び方
最後に、10年、15年と長く使い続けることを見据えた、製品選びのポイントです。
家庭に最適な「容量」を見極める
蓄電池の容量は、大きすぎると初期費用が過剰になり、元を取るまでの期間が長くなってしまいます。
逆に小さすぎると、貯められる電気が少なくなり、期待したほどの経済メリットが得られません。
ご家庭の電気使用量やライフスタイルから、無駄のない最適な容量を選ぶことが重要です。
「寿命」と「保証内容」を必ず確認する
蓄電池の期待寿命は、一般的に15年以上(充放電サイクル数で約6,000~12,000回)とされる製品が多いです。
また、多くのメーカーが太陽光パネルや蓄電池本体に10年以上の製品保証や、自然災害補償を付けています。
長期にわたって安心して使い続けるために、保証期間やその内容までしっかりと確認してから製品を選びましょう。
※寿命の目安は、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)などの公表データを参考にしています。実際の製品保証年数とは異なりますので、個別に必ずご確認ください。
関連記事:大手ハウスメーカーと工務店の違いとは?良い工務店の選び方もご紹介

太陽光・蓄電池のよくある質問Q&A
シミュレーションで経済的なメリットはご理解いただけたかと思います。
ただ、実際に導入するとなると、まだ色々と気になる点がありますよね。
ここでは、お客様からよくいただくご質問に、専門家として一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
Q. 設置後のメンテナンスは大変?費用はかかるの?
A. 基本的に、蓄電池自体に日常的なお手入れは必要ありません。
ただし、長く安心して使っていただくために、4年に1度程度の定期点検が推奨されています。
屋根に設置するソーラーパネルも、ほとんどの汚れは雨で自然に洗い流されます。
メーカー保証や施工会社の保証内容と合わせて、設置前にアフターサポートについてもしっかり確認しておくと、より安心ですね。
Q. 停電の時、家の電気は全部使えますか?
A. 蓄電池の種類によって、停電時に使える電気の範囲が異なります。
全負荷型:家中の電気がほぼいつも通り使える
停電が発生しても、200VのエアコンやIHクッキングヒーターなどを含め、ほぼ全ての家電を普段通りに使えるため、非常に安心感が高いタイプです。
特定負荷型:もしもの時に「必須の電気」だけを使える
あらかじめ「このコンセントだけは停電時も使いたい」と決めておいた場所(例えば冷蔵庫やリビングのコンセントなど)にだけ電力を供給します。費用を抑えつつ、最低限の備えをしたい場合に適しています。
どちらが、あなたのご家庭の「もしもの時の安心」に繋がるか、じっくり考えて選ぶことが大切です。
Q. いつ設置するのが一番お得なの?
A. 「導入したい」と考え始めた時が、最も良いタイミングと言えるかもしれません。
蓄電池の製品価格は技術の進歩で少しずつ下がってはいますが、近年は世界的な需要の高まりで、今後も下がり続けるとは限りません。
そして何より、電気代は今後も上昇する可能性が指摘されています。
導入を先に延ばすほど、その間の高い電気代を払い続けることになってしまいます。
一日でも早く導入すれば、その分だけ早く電気代の削減効果を実感できます。
まずは、ご自身の家庭の場合、今導入したらいくらメリットがあるのかをシミュレーションで確かめてみることから始めてはいかがでしょうか。
関連記事:ZEH(ゼッチ)とは?省エネ住宅でエコで快適な暮らし

まとめ
今回は、太陽光発電と家庭用蓄電池をセットで導入した場合に「本当に元は取れるのか?」という疑問について、具体的なシミュレーションやメリットを最大化するための重要ポイントを交えながら解説しました。
モデルケースでは、導入費用を200万円に抑えられた場合、約14年で初期費用を回収できる計算となりました。
そして、この期間をさらに短くするためには、補助金の活用やご家庭に合った容量選びが重要であることもお分かりいただけたかと思います。
ただし、数字上の損得だけで判断する必要はありません。
太陽光発電と蓄電池の最大の価値は、日々の電気代の心配から解放される暮らしや、災害時でもご家族が安心して過ごせることです。
この「安心」という価値を含めて検討することが、本当に後悔のない選択につながります。
お家づくりは、ご家族の未来をつくる大切な一歩です。
私たち大栄建設は、大きな決断に専門家として寄り添い、あなたのご家族にとって最善の選択ができるよう全力でお手伝いさせていただきます。
どんな些細なことでも、まずはお気軽にご相談ください。
