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エアコンの効きが悪いのは室外機のせい?効率が上がる置き場所とは
暑い夏や寒い冬、お家で快適に過ごすために欠かせないのがエアコン。
ところが、「エアコンの効きが悪い」「部屋がなかなか冷えない」といったお悩みをお持ちの方は意外と多いのではないでしょうか。
その原因として多くの方が思い浮かべることは、フィルターの汚れなどの室内機に関する問題です。
しかし、実は見落とされがちなのが「室外機の置き場所」。
室外機は、エアコンの冷暖房機能を支えるために欠かせない存在です。
その配置が適切でないと、せっかくのエアコンの性能を発揮できないどころか、電気代の増加や故障のリスクまで高まってしまいます。
今回は、エアコンの効率を最大限に引き出すために知っておきたい、「室外機の正しい置き場所」についてご紹介していきます。
目次
室外機の役割と仕組みを知っておこう
エアコンにおける室外機の基本的な働き
エアコンは、室内の空気を冷やしたり温めたりする装置ですが、その裏で重要な役割を果たしているのが「室外機」です。
室外機は、冷媒ガスを循環させて熱を室内外でやり取りする、いわば冷暖房の“心臓部”ともいえる存在。
その仕組みは「ヒートポンプ」と呼ばれる技術によって実現されています。
ヒートポンプとは、少ない電力で空気中の熱を効率的に移動させるシステムで、冷房時には熱を外に逃がし、暖房時には外の熱を室内に取り込むことができます。
つまり、電気の力に加えて、空気中にある自然な熱を利用することで、省エネで快適な室温を保つことができるのです。
室外機がスムーズに熱交換を行えなければ、エアコンの性能は十分に発揮されません。
室外機がうまく働かないと起こる問題
冷暖房の効きが悪くなる:室外機が熱交換を効率的に行えず、冷暖房効率が低下します。
電気代が高くなる:設定温度に達するために余計に稼働する必要があり、電気代が増加します。
エアコンの寿命が短くなる:過度な負担がかかることで、モーターやコンプレッサーの劣化が早まり、エアコン全体の寿命を縮める原因となります。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、室外機の適切な設置場所の確保や定期的なメンテナンスが非常に重要です。
効率を下げる「NGな置き場所」5選
1. 狭いスペースに密閉して置く
室外機のまわりに壁や手すりが迫っていて、風の通り道が塞がれている場合は、効率が著しく低下します。
特にマンションのベランダでは、風がこもって排熱できず、温度がどんどん上がってしまうことがあります。
2. 直射日光が長時間当たる場所
室外機が直射日光を浴び続けると、本体が高温になり、熱交換効率が悪くなります。
夏場に冷房が効かない場合は、日射による温度上昇が原因のひとつかもしれません。
3. 他の室外機や家具と接近している
複数の室外機が並ぶと、お互いの排熱を吸い込んでしまい、冷却能力が下がります。
また、植木鉢や室外機カバーなどのインテリアが接近している場合も注意が必要です。
4. 地面に直接置いている
室外機が地面に直置きされていると、雨水・泥・砂ぼこりが入り込み、内部の劣化や汚れにつながります。
通気性の悪化や水はけの問題も生じるため、ブロックや専用の架台に設置することが望ましいです。
5. 落ち葉やゴミがたまりやすい場所
室外機の吸気口に落ち葉やゴミが詰まっていると、空気の流れが阻害されて効率が落ちます。
特に秋冬は定期的なお掃除と点検が欠かせません。
関連記事:エアコンに頼りすぎない家づくりとは?快適なエコ住宅を実現する設計の工夫
効率が上がる「理想の置き場所」とは?
風通しの良い、開けた場所を選ぶ
室外機の性能を最大限に引き出すには、風通しの良い開けた場所に設置することが基本です。
特に、室外機の背面(吸気側)や左右には最低でも10cm以上、できれば30cm程度のスペースを確保しておくと、吸気がスムーズになり効率的に運転できます。
また、前面(排気側)は排熱の出口にあたるため、50cm以上の空間を取ることが理想的です。
加えて、室外機の上方はできるだけ開放された状態が望ましいとされています。
直射日光を避け、日陰や屋根のある場所に
できるだけ日陰になる場所や、直射日光が当たらない位置に設置することが理想です。
もし日陰が確保できない場合は、すだれやルーバー、室外機カバーなどを使って簡易的に日よけをつくることも効果的があります。
ただし、囲いすぎると逆効果になる恐れもあるため、室外機まわりの風通しが悪くならないように注意しましょう。
とくにベランダや壁際など、熱がこもりやすい環境では、日差し対策と同時に排熱スペースの確保もセットで行うようにしましょう。
水平で安定した場所に設置する
水平でしっかりと安定した場所に設置することが大切です。
ぐらついていたり、傾いた状態で置かれていると、内部のコンプレッサーやファンに負荷がかかり、故障の原因となることがあります。
また、雨水が一方向に溜まることでサビや劣化が早まる可能性もあるため注意が必要です。
設置する際は、専用のコンクリート製の架台や、水平を保てる防振ゴム・樹脂ブロックなどを使用することが望ましく、室外機の自重による沈み込みを防ぐためにも、地盤の安定性も考慮すると安心です。
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設計段階で考慮すべき「室外機の配置」
新築やリフォーム時が見直しのチャンス
お家を新築する際や、リフォーム・リノベーションを検討しているタイミングは、エアコンの室外機の配置を見直す絶好のチャンス。
後から場所を変更することは難しいため、設計段階から「通気性」「日差しの影響」「騒音対策」「メンテナンス性」などを考慮して配置を決めておくことが大切です。
たとえば、建物の南側や西側は直射日光が当たりやすく、夏場に熱がこもりやすくなります。
また、ベランダの隅や狭い外構の片隅に設置してしまうと、将来的な点検や買い替え時に作業スペースが不足することもあります。
室外機の風がご近所の玄関や窓に直接当たるとトラブルの原因になるケースもあるため、周囲の環境や近隣への配慮も含めて検討しましょう。
室外機専用のスペースを確保
快適で効率的な冷暖房を維持するためには、室外機専用の設置スペースを設けておくと理想的です。
設計時に、外構やベランダ・バルコニーの一角に専用のコンクリート基礎やラック、台座を用意しておけば、振動の軽減や排熱の確保、見た目のスッキリ感にもつながります。
最近では、2台以上の室外機を縦に重ねて設置できる専用ラックも販売されており、狭小住宅や都市型住宅でもスペースを有効に活用できます。
また、設置場所に目隠しフェンスやカバーを併用することで、外観との調和を取りつつ、風通しや点検のしやすさを損なわない設計が可能です。
配管の長さにも注意
エアコンの効率を高めるには、室内機と室外機をつなぐ冷媒配管の長さにも注意が必要です。
配管が長くなりすぎると、冷媒ガスが循環するまでにエネルギーロスが生じ、冷暖房の効率が落ちる原因となります。
そのため、可能な限り室内機の設置位置の近くに室外機が配置できるような設計を意識しましょう。
特に2階リビングの場合などは、屋上やバルコニーに設置できるような構造を事前に考えておくと、無駄な配管延長を避けることができます。
また、冷媒配管を通すルートに曲がりが多かったり、高低差が大きかったりすると、さらに性能が落ちることもあります。
意匠と性能を両立させる工夫
室外機はどうしても無機質で目立ちやすく、外観デザインを損ねてしまうことがあります。
しかし、最近では機能性とデザイン性を兼ね備えた製品や工夫も増えてきています。
たとえば、木目調の室外機カバーや、格子デザインで通気性の高い囲いなどは、ナチュラルな住宅デザインにもよくなじみます。
これらのカバーには直射日光や雨から室外機を守る効果もあり、長期的には機器の劣化防止にもつながります。
ただし、見た目を重視しすぎて排熱の妨げになってしまわないよう、通気を妨げない構造になっている製品を選びましょう。
関連記事:エアコンの位置で睡眠の質が変わる!寝室で後悔しない設置ポイント
エアコンの効きが悪いと感じたときのチェックポイントと改善法
まず確認したい!よくある不調のサイン
「設定温度にしているのに、なかなか部屋が冷えない」「以前よりも風が弱くなった気がする」——
そんなときは、エアコンのどこかに不調が起きている可能性があります。
効きが悪いと感じる症状には、いくつかの共通点があります。
・設定温度にしても冷えにくい・暖まりにくい
・風がほとんど出ていない、または風がぬるい
・運転音が大きくなった・異音がする
・電気代だけが以前よりも高くなっている
・本体から嫌なニオイがする
このような症状がある場合、単なる使用方法だけの問題ではなく、機器自体の状態や設置環境に原因があるかもしれません。
以下で、主な原因と対処法をご紹介します。
原因①:フィルターや内部の汚れ
エアコンの効きが悪くなるもっとも多い原因のひとつが、フィルターや内部の汚れです。
エアコンは室内の空気を吸い込み、冷やしたり温めたりしてから再び送り出しています。
このとき、空気中のホコリやゴミがフィルターにたまりすぎると、空気の流れが妨げられてしまい、風量が低下します。
また、内部の熱交換器にもホコリやカビが付着すると、熱の伝達効率が悪くなり、冷暖房能力が大きく低下します。
【対処法】
・フィルターは月に1回程度を目安に取り外して掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いしましょう。
・内部の汚れは市販のスプレーなどで軽く清掃することもできますが、見えない箇所にカビが発生していることもあるため、年に1回程度はプロによる分解クリーニングを検討するとよいでしょう。
お掃除機能付きエアコンであっても、フィルター以外の部分は汚れるため、定期的な点検は欠かせません。
原因②:室外機まわりのトラブル
エアコンの性能を大きく左右するのが、室外機の状態です。
室外機は、室内で冷やした空気や温めた空気を循環させるために、屋外の空気との熱交換を行う重要なパーツです。
この室外機の排熱・吸気がスムーズにできていないと、いくら室内機を運転しても能力が十分に発揮されません。
【チェックポイント】
・室外機のまわりに物が置かれていないか(鉢植えや家具、荷物など)
・前面に50cm以上、背面や左右に10〜30cm程度のスペースがあるか
・吹き出し口から風がしっかり出ているか
・室外機のファンが回っているか
【改善策】
・室外機のまわりの荷物はできるだけ撤去し、風通しの良い環境を保つ
・直射日光が当たる場合は、すだれや庇(ひさし)で日よけを作ると排熱効率が向上します(風の通り道をふさがないように注意)
・雨ざらしで劣化しているようなら、カバーの交換や再設置を検討
特に夏場は、室外機まわりの温度が上がると効率が大幅に下がり、冷えない・電気代が高くなるという結果につながります。
原因③:冷媒ガスの不足や経年劣化
エアコンには「冷媒ガス」が充填されており、これが室内外で熱を運ぶことで冷暖房が可能になっています。
この冷媒が漏れていたり、長年使用しているうちに減っていたりすると、熱の移動がうまくできず、冷えが悪くなります。
【チェックポイント】
・風は出るが冷たく(または温かく)ない
・運転していても設定温度までなかなか到達しない
・霜が付いていたり、水が漏れているように見える
・エアコン設置から10年以上経っている
【対処法】
・冷媒の漏れは目に見えないため、専門業者に点検・補充を依頼する必要があります。
・冷媒補充には費用がかかりますが、放置するとコンプレッサーの故障など重度のトラブルにつながるおそれもあるため、早めの対応がおすすめです。
・年数が経っている場合は、修理よりも買い替えのほうが経済的なケースもあります。
原因④:設定ミスや使い方の問題
意外と見落とされやすいのが、エアコンの使い方や設定のミスです。
たとえば、「風が弱い」と思っていたら、風量が「微風」設定になっていたというケースは少なくありません。
【見直すポイント】
・冷房時の設定温度が高すぎないか(目安は26〜28℃)
・暖房時の設定温度が低すぎないか(目安は20〜22℃)
・自動運転が適切に機能しているか(状況に応じて「冷房」「暖房」へ切り替え)
・風向きが天井を向いていないか(冷風は下向き、暖房は上向きが効率的)
・タイマーや省エネモードが思わぬ動作制限になっていないか
【対処法】
・一度リモコン設定をリセットし、基本的な運転モードで動かしてみる
・冷房時はカーテンを閉めて外気を遮断し、室温が上がらない工夫を
・暖房時はサーキュレーターで空気を循環させ、温かい空気を下へ送ることで体感温度が上がります
関連記事:部屋の温度を一定に保つ方法とは?適切な室温で快適な家へ!
まとめ
エアコンの効きが悪い原因は、室外機の置き場所にあるかもしれません。
風通しや日差し、周囲の障害物など、設置環境を少し見直すだけで、エアコンの効率がぐっと上がります。
効率が上がれば、お家の快適性が向上するだけでなく、電気代の節約や機器の長寿命化にもつながります。
ご家族が過ごす大切なお家の環境をより良くするためにも、ぜひこの機会に室外機の置き場所をチェックしてみてください。