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部屋の温度を一定に保つ方法とは?適切な室温で快適な家へ!
日本には四季があり、夏は猛暑、冬は厳しい寒さに見舞われます。
外気温の変化が大きい環境では、たとえおしゃれで高機能な住宅であっても、室内が「暑すぎる・寒すぎる」状態では快適とは言えません。
快適なお住まいを実現するために重要なことは、部屋の温度を一定に保つことです。
室温の変化は、日常生活の質や健康状態、さらには光熱費にも影響を与えます。
今回は、夏も冬も心地よく暮らすために、理想的な室温とその維持方法について詳しくご紹介します。
目次
快適な暮らしに必要な適切な室温とは?
人が快適に感じる室温は、季節によって異なります。
まずは、人が心地よく過ごせる季節ごとの適切な温度・湿度を知っておきましょう。
夏の快適な室温と湿度
室温:25~28℃
湿度:40~60%
環境省が推奨する夏の室温は「28℃」。
これはエアコンの設定温度ではなく、「実際の室温」のことです。
冷房の設定温度を1℃上げるだけで約13%の節電効果が得られるため、冷やしすぎに注意しつつ、湿度を50%前後に保つことでより快適に過ごせます。
冬の適切な室温
室温:18~22℃
湿度:30~50%
冬の推奨室温は「20℃」。
湿度が30%を下回ると乾燥による不調や風邪のリスクが高まるため、暖房と同時に加湿を意識しましょう。
暖房の設定温度を1℃下げると約10%の節電効果があるとも言われています。
また、室温が18℃を下回ると、特に高齢者にとってはヒートショックのリスクがあるため注意が必要です。
関連記事:一年中快適な家にする方法とは?夏涼しく冬暖かい家づくり
部屋の温度を一定に保つ4つのポイント
快適なお住まいを実現するためには、お部屋ごとの温度差を減らし、お家全体の温度を一定に保つことが重要です。
ここでは、そのための具体的なポイントをご紹介します。
1. 断熱性能を高める
室内の温度を一定に保つうえで最も基本となるのが「断熱」です。
断熱性能が高ければ、夏は外の熱気を遮り、冬は室内の暖かさを逃しません。
・外壁・屋根・天井に高性能断熱材を施工する
・基礎断熱・屋根断熱で熱の侵入と逃げを防ぐ
・開口部(窓・ドア)の断熱強化
特に窓は熱の出入りが大きく、夏は室内に入る熱の約73%、冬は室内の熱の約58%が逃げていくと言われる重要なポイントです。
断熱性能の高い窓(複層ガラス、Low-Eガラス、樹脂サッシなど)への交換は、部屋の温度を一定に保つ上で効果的です。
2. 気密性を高める
いくら断熱性能が高くてもお家に隙間があり、そこから空気が出入りしていては、外気の影響を強く受けてしまいます。
そこで重要となるのが「気密性」です。
気密性の高い家では、室内の空気が逃げず、外気の侵入も防げるため、冷暖房効率が大きく向上します。
・施工時に隙間の少ない構造を採用
・気密測定で性能確認
・気密パッキンや防湿シートの活用
気密性は、温度ムラの軽減や換気効率、結露・カビの予防にもつながります。
3.空気の流れをコントロールする
空気は温度によって自然と上下に分かれやすいため、一部分だけ冷やしたり温めたりしても、全体には行き渡りにくいものです。
そのため、空気を効率よく循環させる工夫が必要です。
・サーキュレーターやシーリングファンで空気を循環
・吹き抜けや階段まわりでは上下階の温度差に注意
・全館空調システムで空気の入れ替えと温度管理
熱交換型換気システムを導入すれば、外気を取り入れながらも室温の損失を抑えることが可能です。
4. 湿度を調整する
室温が同じでも、湿度の違いによって体感温度は大きく変わります。
適切な湿度を保つことは、温度ムラを感じにくい室内環境づくりの重要な要素です。
・夏場は除湿器やエアコンの除湿機能で蒸し暑さを緩和
・冬場は加湿器で乾燥を防ぎ、暖かさを感じやすく
・調湿建材(漆喰、エコカラットなど)で自然な湿度調整
関連記事:断熱効果の高い家とは? 気密性も高めて省エネな暮らしを
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家全体の温熱環境を左右する間取りと日射の工夫
日射の取得と遮蔽のバランス
お住まいの快適性を左右する大きな要素の一つが、日射のコントロールです。
冬は太陽の熱を積極的に取り入れて室内を暖かく、夏は直射日光を遮って涼しく保つ工夫が求められます。
たとえば、南側に大きな窓を設ければ、冬は日中の太陽光が室内を自然に暖めてくれます。
一方で夏は、太陽の高い位置を活かし、深い庇(ひさし)や外付けブラインド、シェードなどを用いて日射を遮ることが効果的です。
窓の位置や庇の深さを工夫するだけでも、冷暖房に過度に頼らず快適なお住まいを実現できます。
季節に応じて「日射取得」と「日射遮蔽」を使い分けることで、自然エネルギーを上手に活かした暮らしが可能になります。
通風を意識した窓の配置
通風設計も、お住まいの温熱環境に大きな影響を与えるポイントです。
風の通り道を確保するためには、南北や東西に向かって窓を配置し、空気が流れる「抜け」をつくることが重要です。
たとえば、向かい合う壁に窓を設ける対角線通風をすると、自然風を効率よく取り込むことが可能です。
また、縦すべり出し窓のように風をキャッチしやすい窓を使えば、限られたスペースでも十分な通風が期待できます。
適切な通風設計によって室内の温度ムラが減り、湿気や熱のこもりも抑えられるため、特に夏場の快適性が向上します。
空間構成で熱の逃げ道をつくらない
開放的な間取りや吹き抜け、オープン階段などはデザイン性に優れ人気がありますが、温熱環境の観点からは注意が必要です。
たとえば、リビングに吹き抜けがあると暖かい空気が上部に逃げてしまい、暖房効率が低下することがあります。
そのため、引き戸や間仕切りを上手に活用して空間を必要に応じて区切ることで、冷暖房の効率を高める工夫が求められます。
間取りや空間構成を工夫することで、熱が逃げにくく、効率的に室内の温度を保つことができるお住まいになります。
住まいの温度管理と家族の健康
室温差がもたらす健康リスク
住宅内の温度差は、快適性だけでなく健康にも大きな影響を及ぼします。
特に注意したいことが、冬場の「ヒートショック」です。
暖かいリビングから寒い脱衣所や浴室へ移動した際の急激な温度変化は、血圧の急上昇を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの重大な健康被害につながる可能性があります。
こうしたリスクは高齢者だけでなく、子どもや持病のある方にとっても深刻な問題です。
そのため、お住まい全体の温度差をできるだけ少なくする工夫が重要となります。
廊下やトイレ、脱衣所といった空間に、断熱や暖房を取り入れ、全館的な温熱対策をすることがご家族の健康を守るカギとなります。
快適な室温がもたらす体へのメリット
人の身体は、一定の温度と湿度が保たれた環境で最も安定して機能すると言われています。
快適な室温を維持することで、呼吸器や循環器への負担が軽減されるだけでなく、睡眠の質の向上やストレスの軽減にもつながります。
特に睡眠中の温熱環境は、健康維持において非常に重要です。
夏の熱帯夜による寝苦しさや、冬の冷え込みによる睡眠障害を防ぐためにも、エアコンや加湿器・除湿器などを上手に活用し、夜間も快適な室温・湿度を保つことが、健やかな毎日を支えてくれます。
健康寿命と住環境の関係性
近年の調査では、高気密・高断熱住宅に暮らす人ほど健康寿命が長い傾向があることが明らかになっており、住環境と健康の関係性が注目されています。
たとえば、寒さを感じにくい家では、関節痛の発症リスクが下がったり、風邪やインフルエンザなどの感染症の発症頻度が少ない傾向にあります。
また、長期的に見ると、冷暖房への依存を減らせるため光熱費の節約につながり、経済的にも健康的にも持続可能な暮らしが実現できます。
関連記事:良好な温熱環境による健康生活!快適な温度で健康寿命を延ばそう
まとめ
ご家族みんなが健康で快適に暮らすためには、お住まいの室温を一定に保つ工夫が欠かせません。
断熱・気密・換気に加え、空気の循環や湿度管理など、それぞれの対策をバランスよく組み合わせることで、心地よい住環境が実現します。
また、スマートホーム技術を取り入れることで、よりきめ細やかな温度管理も可能になります。
これから家を建てる方はもちろん、今のお住まいを見直したい方も、まずは「室温のコントロール」という視点から暮らしを見つめ直してみてはいかがでしょうか。