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2025.08.09
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構造・安全性

そのめまいは夏型ヒートショックかも?冬との違いと危険な5つの原因、症状チェックリストでわかる正しい対策

そのめまいは夏型ヒートショックかも?冬との違いと危険な5つの原因、症状チェックリストでわかる正しい対策

気温35℃の猛暑の屋外から、エアコンで25℃に冷えたスーパーに入った瞬間、クラッ…。
夏の暑い日に、ふとした瞬間に感じる「めまい」や「立ちくらみ」。
「きっと夏バテだろう」「少し疲れているだけかな」と感じて、そのままにしていませんか。
実はその症状、単なる夏バテではなく、温度差が引き起こす「夏型ヒートショック」のサインかもしれません。
ヒートショックは冬に注目されがちですが、夏にも同じくらい注意が必要です。
特に、これから新しいお家でご家族との暮らしを考えている方にとって、住環境が健康に与える影響はとても大切なポイントになります。
今回は、夏型ヒートショックの基礎知識や危険性、お家づくりでできる根本的な対策まで、詳しく解説していきます。
ご家族みんなが安心して夏を乗り切るためのヒントが、きっと見つかるはずです。

 

【この記事でわかること】
・夏型ヒートショックの基本的な知識と冬との違い
・夏型ヒートショックを引き起こす危険な5つの原因
・ご自身の危険度がわかる症状チェックリスト
・今日からご家庭でできる正しい対策
・これからの「お家づくり」で考えるべき根本的なヒートショック対策

そもそも夏型ヒートショックとは?冬との違いを知ろう

夏型ヒートショックは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し、体に不調をきたす状態を指します。
冬のヒートショックが「暖かい場所から寒い場所へ」の移動で起こりやすいのに対し、夏は逆のパターン、またはその両方で起こるのが特徴です。

夏と冬のヒートショック、何が違うの?

一番の違いは、体が対応を求められる「温度変化の方向」です。

冬のヒートショック 夏のヒートショック
主な場面 暖かいリビング → 寒い浴室・トイレ ・涼しい屋内 → 暑い屋外
・暑い屋外 → 涼しい屋内
体の反応 急な寒さで血管が収縮し、血圧が急上昇する。 ・急な暑さで血管が拡張し、血圧が急低下する。
・急な涼しさで血管が収縮し、血圧が急上昇する。
主な症状 心筋梗塞、脳梗塞など めまい、立ちくらみ、失神、だるさなど

熱中症と何が違う?似ているようで異なるメカニズム

「夏の体調不良」と聞くと熱中症を思い浮かべる方が多いかもしれません。
夏型ヒートショックと熱中症は、症状が似ているため混同されがちですが、根本的な原因が異なります。

●熱中症は「体温の上昇」が引き金

熱中症は、高い気温や湿度の中で体温調節がうまく機能せず、体内に熱がこもってしまうことで起こります。
大量の汗をかくことによる脱水症状が主な原因です。

キーワード:体温、熱、脱水

●夏型ヒートショックは「温度差による血圧変動」が引き金

一方、夏型ヒートショックは、急激な温度差によって血圧がジェットコースターのように乱高下することが主な原因です。

キーワード:温度差、血圧、血管

 

しかし、この二つは無関係ではありません。
例えば、暑い屋外で汗をたくさんかいて脱水状態(熱中症のリスク)になると、血液の量が減って血圧のコントロールがより難しくなります。
その状態で涼しい屋内に入ると、急激な温度差(夏型ヒートショックのリスク)で血圧が急変動し、めまいや失神を引き起こしやすくなります。
熱中症対策で重要な「水分補給」は、夏の健康を守る上で、夏型ヒートショックの予防にもつながる基本と言えるでしょう。

こんな症状に心当たりはありませんか?

夏型ヒートショックの代表的なサインには、立ち上がったときの立ちくらみ、急なめまい、吐き気、動悸、体のだるさなどがあります。
以下のような症状がみられたら、体が急激な温度変化に対応しきれていない証拠かもしれません。

 

・立ち上がったときにクラっとする(立ちくらみ)
・急に目の前が暗くなる感じがする
・なんとなく気分が悪い、吐き気がする
・脈が速くなったり、動悸がしたりする
・体が重く、強いだるさを感じる
・エアコンの効いた場所にいると手足が冷えるのに、顔はほてる感じがする

 

特に最後の症状は、自律神経が乱れている典型的なサインの一つです。
ご自身の体の小さな変化に気づくことが、予防の第一歩となります。

 

夏の猛暑日、スーツ姿で汗を拭いながらカフェに入る直前の20代日本人ビジネスマン。夏型ヒートショックが懸念される場面

なぜ起こる?夏型ヒートショックの危険な5つの原因

夏型ヒートショックは、私たちの日常に潜む些細な行動が引き金になることがあります。
ここでは、特に注意したい5つの原因を、具体的なシーンとともに見ていきましょう。

原因1:屋内外の激しい温度差

夏型ヒートショックの最大の原因は、急激な温度変化です。
たとえば、エアコンが効いた25℃の室内から、35℃の屋外に出たとしましょう。
この10℃もの温度差に体が対応しようと、血管は一気に拡張し、血圧が急低下します。
その結果、脳へ送られる血液が一時的に減少し、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。
逆に、炎天下から冷房の効いたスーパーに入った瞬間も同様です。
このときは血管が急に収縮するため、血圧が急上昇する危険性があります。

原因2:エアコンによる体の「冷えすぎ」

快適なはずのエアコンも、使い方によっては体の負担になります。
長時間、冷たい風に直接あたり続けると、体が必要以上に冷えてしまいます。
この状態は、自律神経のバランスを乱す原因となり、温度変化への対応能力を低下させます。
特に就寝中は体温が下がりやすくなるため、エアコンの設定温度には注意が必要です。

原因3:入浴時の油断と水分不足

「夏はシャワーだけで済ませる」という方も多いかもしれません。
しかし、暑い日こそ湯船に浸かってリフレッシュしたいものです。
ここで注意したいことが、入浴による発汗と、浴室と脱衣所の温度差です。
入浴中は想像以上に汗をかき、体内の水分が失われます。
水分が不足すると血液はドロドロになり、血圧が変動しやすくなります。
また、暑い脱衣所からぬるめの湯船に浸かるだけでも、体にとっては温度変化による負担となるため注意が必要です。

原因4:睡眠中の「隠れ脱水」と体温変化

人は寝ている間にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。
夏の熱帯夜では、さらに多くの水分が失われ、「隠れ脱水」状態に陥りやすいのです。
脱水は、熱中症や血圧の不安定につながるだけでなく、夜中にトイレに起きた際の温度変化(涼しい寝室→少し蒸し暑い廊下など)によって、ヒートショックのリスクを高める原因となります。

原因5:自律神経の乱れにつながる生活習慣

不規則な生活や睡眠不足、精神的なストレスは、自律神経の働きを低下させます。
自律神経は私たちの体温や血圧をコントロールする司令塔。
この司令塔が疲れていると、急な温度変化というイレギュラーな事態にうまく対応できず、ヒートショックを起こしやすくなってしまいます。

 

夏の日のリビングで、エアコンが効いた部屋の中からテーブルに置かれた水のグラスに手を伸ばしている様子

あなたやご家族は大丈夫?夏型ヒートショックに特に注意したい人

夏型ヒートショックは誰にでも起こる可能性がありますが、特に以下に当てはまる方は注意が必要です。

 

ご高齢の方:加齢に伴い、体温を調節する力や血圧の変動に対応する力が低下します。暑さやのどの渇きも感じにくくなるため、ご本人だけでなく、ご家族も意識して対策することが大切です。
小さなお子様:体温調節機能が未熟で、自分で「暑い」「だるい」といった不調をうまく伝えられないため、周りの大人が服装や顔色をこまめにチェックしてあげましょう。
妊娠中・産後の方:ホルモンバランスの変化で自律神経が乱れやすく、血圧のコントロールが不安定になりがちです。無理せず、こまめな休憩を心がけましょう。
高血圧・糖尿病などの持病がある方:普段から血圧の管理が必要な方は、急激な温度変化が体に大きな負担をかけるため、特に注意が必要です。
屋外での仕事や運動を頻繁に行う方:暑い屋外と冷えた屋内を何度も行き来する生活は、自律神経に想像以上の負荷をかけています。意識的な対策が欠かせません。

 

夏のリビングで、夫が妻に冷たい麦茶を渡して優しく気遣っている、幼い子供のいる若い日本人家族

あなたのリスク度がわかる、夏型ヒートショックのセルフチェックリスト

ご自身の生活習慣を振り返り、夏型ヒートショックのリスクがどれくらいあるかチェックしてみましょう。
当てはまるものが多いほど、注意が必要です。

 

チェック項目 はい いいえ
1. エアコンの効いた場所にいることが多い
2. 屋内外の出入りが頻繁にある
3. 夏はシャワーだけで済ませることが多い
4. あまり水分をとらない方だ
5. お酒をよく飲む、または寝る前に飲むことがある
6. めまいや立ちくらみを時々感じる
7. 睡眠不足だと感じることがある
8. 普段からあまり運動をしない
9. 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの持病がある
10. 65歳以上のご家族がいる、またはご自身が65歳以上だ

【チェック結果の目安】
1~3個:基本的な注意を心がけましょう。
4~6個:リスクは中程度です。生活習慣の見直しを意識することがおすすめです。
7個以上:ヒートショックのリスクが高い状態です。積極的な対策を取り入れましょう。

※このチェックリストは、生活習慣を見直すための簡易的な目安です。
めまいや体調不良が続く場合は、自己判断せず、必ずかかりつけ医や内科などの医療機関にご相談ください。

 

自宅のソファに座り、タブレットを見ながら自身の健康について真剣に考えている30代の日本人女性

今日から始める!夏型ヒートショックを防ぐ5つの生活習慣

夏型ヒートショックは、日々の少しの工夫で予防することができます。
ここでは、日常生活の中ですぐに実践できる、効果的な5つの習慣をご紹介します。

1. 効果的な水分補給で、体を内側から守る

のどが渇いたと感じる前に、計画的に水分をとることが大切です。

 

タイミング:起床時、入浴の前後、就寝前、外出から帰宅した際など、タイミングを決めて飲む習慣をつけましょう。
飲み物の選び方:基本は水や、ミネラルも補給できる麦茶がおすすめです。たくさん汗をかいた後は、塩分も補給できる経口補水液やスポーツドリンクも活用しましょう。
注意したい飲み物:コーヒーや緑茶、アルコール類には利尿作用があり、飲んだ量以上に水分が排出されてしまうことがあります。これらは水分補給の代わりにはならないと覚えておきましょう。

2. エアコンの上手な使い方をマスターすること

環境省などが推奨している「室温28℃」を目安に、快適に感じる温度に設定しましょう。
湿度が高い日や西日が強く当たる部屋では、同じ28℃でも熱中症のリスクがあるため、この数字にこだわりすぎる必要はありません。
扇風機やサーキュレーターを併用して体感温度を下げたり、風が直接体に当たらないよう工夫したりしながら、ご自身が「快適だ」と感じる温度に無理なく調整することが最も大切です。

3. 夏こそ正しい入浴法を実践すること

お湯の温度は38~40℃のぬるめに設定し、10分程度の入浴で体を温めましょう。
長湯は脱水のリスクを高めるので避けることがおすすめです。
また、入浴前には脱衣所を少し涼しくしておくなど、浴室との温度差を少なくする工夫も有効です。

4. 外出時の準備を万全にすること

外出の際は、急な温度変化から体を守る準備をしておくと安心です。
帽子や日傘で直射日光を避けるのはもちろん、冷房が効いた屋内施設に入る時のために、すぐに羽織れる薄手のカーディガンやストールを一枚持ち歩くことがおすすめです。
この一手間が、ご自身の体を夏の厳しい環境から守ることにつながります。

5. 食事と睡眠で、自律神経を整える

体の内側から調子を整えることも、温度変化に強い体づくりの基本です。

食事のポイント

汗で失われがちなカリウム(きゅうり、トマト、バナナ、ほうれん草など)や、疲労回復を助けるビタミンB1(豚肉、うなぎ、大豆製品など)、エネルギー源となるクエン酸(梅干し、レモンなど)を意識して摂りましょう。
ただし、冷たいものばかり食べると内臓が冷えて自律神経が乱れる原因になるため、温かいスープや味噌汁なども食事に取り入れるのがおすすめです。

睡眠の質を高める

寝苦しい夜は、エアコンのタイマー機能を活用し、就寝1〜2時間後に切れるように設定したり、設定温度を28℃程度にして朝までつけっぱなしにしたりと、快適な睡眠環境を保ちましょう。

 

夏の朝、光が差し込むリビングで、健康的な生活習慣を象徴するようにストレッチをする日本人女性

これからの住まいの新常識?健康リスクを減らす「温度差の少ない家」という考え方

日々の生活習慣を工夫することは、健康に暮らすための第一歩です。
それに加え、より安心で快適な暮らしの土台として考えたいのが「住環境」そのものです。
お家の中の温度差を小さくすることは、ご家族が無理なく、健康的に過ごすための重要な選択肢の一つ。
ここでは視点を変え、住まいだからこそできる対策をご紹介します。

お家全体の温度差をなくす「高気密・高断熱」

「高気密・高断熱」のお家は、外の暑さや寒さの影響を受けにくく、魔法瓶のようにお家全体の温度を一定に保ちやすいのが特徴です。
これにより、リビングは快適なのに廊下やトイレは蒸し暑い、といった「家の中の温度差」を小さくすることができます。
これは、夏だけでなく冬のヒートショック対策にも非常に有効で、一年を通して快適な暮らしを実現します。

家中どこにいても快適な「全館空調システム」

全館空調システムは、一台の空調機で家中の温度を24時間コントロールする仕組みです。
各部屋はもちろん、廊下や脱衣所、トイレまで含めてお家全体の温度をほぼ均一に保つことができます。
これにより、部屋を移動するたびに感じる不快な温度差がなくなり、ヒートショックのリスクを根本から減らすことが可能です。

 

参考情報:住宅内の温度差と血圧の関係について、国土交通省が実態調査を行っています。
この調査では、断熱性の高い住宅へ転居した人において、起床時の血圧が有意に低下したという結果が報告されています。
これは冬の調査ですが、住宅の断熱性能を高め、一年を通して家の中の温度を安定させることが、血圧の急激な変動リスクを減らす上で重要である可能性を示唆しています。

出典:国土交通省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査」

安心してお風呂を楽しむための「浴室暖房乾燥機」

脱衣所や浴室に暖房機能があれば、冬のヒートショック対策になるのはもちろん、夏場でも入浴前に少し涼風運転をしておくことで、浴室の蒸し暑さを和らげ、快適なバスタイムを実現することができます。

自然の力を活かす「風通しの良い設計(パッシブデザイン)」

窓の配置を工夫して、家の中に心地よい風の通り道をつくることも大切です。
エアコンだけに頼らず、自然の風を上手に取り入れることで、体に負担の少ない快適な環境をつくることができます。
こうした設計思想を「パッシブデザイン」と呼び、省エネでありながら快適な暮らしを実現するお家づくりの考え方です。

関連情報:パッシブデザインとアクティブデザインとは?未来を見据えた家づくり

 

大きな窓からモダンな芝生の庭が見える、一年中快適な高気密・高断熱住宅のリビングで、幸せそうにくつろぐ若い家族

夏型ヒートショックに関するよくあるご質問 Q&A

Q1. 子どもや赤ちゃんも夏型ヒートショックになりますか?

A1. はい、特に注意が必要です。
日常生活では以下の3つのポイントを意識してあげましょう。

 

01.ベビーカーの照り返しに注意:地面に近いベビーカーの中は、大人が感じる以上に高温になりがちです。日よけカバーを活用し、こまめに水分補給をさせてあげましょう。
02.遊びの後のクールダウン:元気に外で遊んだ後、すぐに冷房の効いた部屋に入ると体に負担がかかります。まずは日陰で汗を拭き、少し落ち着いてから室内に入る習慣をつけることがおすすめです。
03.水分補給の工夫:水を嫌がる場合は、子ども用のイオン飲料や、薄めたりんごジュースなど、お子さまが喜んで飲んでくれるもので水分を補給することも大切です。

Q2. 今住んでいるお家でも、リフォームでヒートショック対策はできますか?

A2. はい、もちろん可能です。
お家全体の大規模な工事でなくても、ポイントを絞ったリフォームで快適性と安全性は大きく向上します。
特に効果を実感しやすいのは「窓」の断熱リフォームです。
今ある窓の内側にもう一つ窓を追加する「内窓(二重窓)」の設置は、比較的短い工事期間ででき、お部屋の断熱性を高めることができます。
夏の厳しい日差しや冬の冷気をシャットアウトすることで、エアコンの効率も良くなります。

Q3. お家づくりでヒートショック対策をすると、費用は高くなりますか?

A3. 初期費用は高くなる場合がありますが、長期的に見れば光熱費を大幅に抑えることができるため、経済的なメリットも大きいです。
何よりも、ご家族の健康というかけがえのない価値を守ることにつながります。
詳しい費用やプランについては、お気軽にご相談ください。

 

住宅会社の相談カウンターで、親しみやすい女性スタッフに家の健康性能について相談し、安心している若い夫婦。

まとめ

今回は、夏のめまいなどの不調の原因となる「夏型ヒートショック」について、その原因から対策までを詳しく解説しました。
日々の生活で少し意識を変えるだけでも対策は可能ですが、ご家族がこれから何十年も暮らしていくお家だからこそ、根本的な対策が重要になります。
お家の中の温度差をなくすことは、夏型ヒートショックだけでなく、冬のヒートショックや熱中症の予防にもつながり、一年中ご家族みんなが安心して過ごせる環境をつくります。
それは、光熱費を抑えながら、より快適で健康的な暮らしを実現することでもあります。
ご家族の未来の暮らしを考えたとき、お家の性能はとても大切な要素です。
今回の情報が、皆さまの健やかなお家づくりの一助となれば幸いです。