ブログ
檜(ヒノキ)と杉(スギ)の違いとは?価格・耐久性・見た目を徹底比較!家づくりで後悔しない選び方
檜(ヒノキ)と杉(スギ)。
どちらも日本の美しい木造住宅に欠かせない、素晴らしい木材です。
日本の人工林のおよそ7割をこの2つの樹木が占めていることからも(林野庁HPより)、いかに日本人の暮らしと深く関わってきたかがわかります。
お家づくりを考え始めると、「檜と杉、どっちがいいんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
どちらも魅力的な木材ですが、その特徴は大きく異なります。
それぞれの違いを知り、ご自身の理想のお家にどちらが合うかを知ることは、後悔しない家づくりのための大切な一歩です。
今回は、この日本を代表する二大木材、檜と杉の違いについて、見た目や性能、価格などさまざまな角度から詳しくご紹介します。
【この記事でわかること】
・檜と杉、それぞれの基本的な特徴
・見た目、香り、耐久性、価格など8つの具体的な違い
・お家の場所ごとにどちらの木材が向いているか
・理想のお家づくりに合わせた木材の選び方のヒント
目次
まずは基本から知ろう!日本を代表する木材、檜と杉
お家づくりで木材を選ぶ前に、まずは檜と杉がそれぞれどのような木なのか、基本的な特徴を知っておきましょう。
どちらも古くから日本の建築を支えてきた、私たちにとって非常になじみ深い木材です。
気品あふれる高級木材「檜(ヒノキ)」
檜は、その美しい木肌と心地よい香りで、古くから高級な木材として扱われてきました。
伐採されてからも約200年間は強度が上がるといわれ、非常に高い耐久性を誇ります。
高さは20~30m、幹の太さは直径1mほどに成長し、大きいものになると高さ50mを超えることもあります。
その名前は、古くは木をこすり合わせて火をおこす「火の木」として使われたことに由来するという説があります(岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科HPより引用)。
耐久性だけでなく、湿気やシロアリにも強いという優れた特性から、お家の最も重要な部分である土台や柱といった構造材に最適です。
1300年以上前に建てられた法隆寺が今もなおその姿を保っているのは、主材として檜が使われているからこそ。
まさに、お家を末永く支えてくれる信頼の木材といえるでしょう。

関連情報:新築で失敗しない木材選び|ヒノキのメリット・注意点を徹底比較!知っておくべき材質と特徴
温かみがあり身近な木材「杉(スギ)」
杉は、日本で最も多く植えられている木であり、私たちにとって非常に身近な存在です。
まっすぐに育つ性質から「直ぐ木(すぐき)」が名前の由来になったという説があります。
高さは40mほどに成長し、屋久島で有名な縄文杉のように、非常に長寿で大きく育つものもあります(岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科HPより引用)。
檜に比べると柔らかく、温かみのある肌触りが特徴です。
木材の中に多くの空気を含んでいるため、断熱性が高く、夏は涼しく冬は暖かい空間づくりに役立ちます。
手触りが柔らかく、素足で歩くとその心地よさを実感できるため、床材としても人気があります。
比較的安価で加工もしやすいため、柱や梁などの構造材から、壁板、天井、家具まで幅広く使われる、オールマイティな木材です。

関連情報:新築で失敗しない木材選び|杉(スギ)の温かい特徴とメリット・注意点を徹底解説!
徹底比較!檜と杉の8つの違いと選び方のポイント
檜と杉の基本的な特徴がわかったところで、次はお家づくりで気になる具体的な違いを8つのポイントで比較してみましょう。
ご家族のライフスタイルや理想の暮らしを思い浮かべながら、読み進めてみてください。
| 比較項目 | 檜(ヒノキ) | 杉(スギ) |
|---|---|---|
| 見た目(色・木目) | 明るい黄白色で心材は淡いピンク。木目は緻密でまっすぐ。 | 白っぽい辺材で心材は赤みがかった褐色。木目ははっきり。 |
| 硬さと傷つきやすさ | 硬く、傷がつきにくい。 | 柔らかく、傷はつきやすいが足腰への負担が少ない。 |
| 耐久性と耐水性 | 非常に高い。湿気やシロアリに強い。 | 赤身部分は耐久性があるが、全体的には檜に及ばない。 |
| 香り | 強く、爽やかな香り(リラックス効果)。 | 比較的穏やかで、甘く優しい香り。 |
| 断熱性と調湿性 | 比較的高い。 | 非常に高い(空気層が多いため)。 |
| 価格 | 高価(杉の1.5~2倍程度が目安)。 | 比較的安価でコストパフォーマンスが高い。 |
| 経年変化 | 全体的に飴色に変化し、美しい艶が増す。 | 色味が深まり、木目がより際立ってくる。 |
| メンテナンス性 | 硬く手入れは楽。艶を保つには定期的なワックスがけが有効。 | 傷はつきやすいが、軽いへこみは蒸気で補修できる場合がある。 |
1. 見た目(色・木目・艶)
毎日過ごすお家の印象を左右する見た目の違いは、とても重要です。
檜(ヒノキ)の見た目
檜は、全体的に明るく、淡いピンクやクリーム色をしています。
木目が細かく、まっすぐで均一なため、上品で洗練された印象を与えます。
表面には美しい光沢があり、お部屋全体をパッと明るく、清潔感のある空間にしてくれます。
杉(スギ)の見た目
杉は、木の中心部分(心材)が赤みがかっており、外側(辺材)は白っぽいのが特徴です。
この色のコントラストと、はっきりとした木目が、素朴で温かみのある雰囲気をつくりだします。
節(ふし)があるものも多く、それが自然なデザインとして楽しめます。
考慮したい点
檜:上品で均一な木目は、人によっては「少し緊張感がある」「面白みに欠ける」と感じられることもあります。また、節のない美しい檜は特に高価になります。
杉:赤身と白太の色ムラや節がはっきりしているため、ナチュラルな魅力がある反面、統一感を求める方には「ごちゃごちゃして見える」「落ち着かない」と感じられる可能性があります。

2. 硬さと傷つきやすさ
小さなお子様やペットがいるご家庭では、床や柱の傷つきやすさも気になりますね。
檜(ヒノキ)の硬さ
檜は硬く、密度が高いため、傷がつきにくいのが大きなメリットです。
人がよく歩くリビングの床や、家具を置く場所などにも安心して使用することができます。
杉(スギ)の硬さ
杉は柔らかく、物を落としたりするとへこみや傷がつきやすい面があります。
しかし、その柔らかさは、歩いたときの衝撃を吸収してくれるという利点にもなります。
足腰への負担が少なく、小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭には、むしろ優しい素材といえるでしょう。
考慮したい点
檜:傷に強い反面、その硬さから足腰への負担は杉より大きくなります。また、肌触りがやや冷たく感じられることもあり、小さなお子様が転んだ際の衝撃は大きくなります。
杉:最大のデメリットは、その傷つきやすさです。ダイニングチェアを引いたり、硬いおもちゃを落としたりするだけで、へこみや傷が簡単についてしまいます。ペットの爪痕も残りやすいでしょう。
3. 耐久性と耐水性
お家を長く支えるための強さも、木材選びの大切なポイントです。
檜(ヒノキ)の耐久性
檜は、世界トップクラスの耐久性を持つ木材です。
湿気に強く、腐りにくいため、湿気の多い日本の気候に非常に適しています。
また、シロアリが嫌う成分を含んでいるため、防蟻性にも優れています。
お家の土台や柱など、建物の寿命を支える部分に使うと安心です。
杉(スギ)の耐久性
杉も、中心の赤身部分は腐りにくく耐久性がありますが、全体としては檜ほどの耐久性はありません。
ただし、適切な場所に使用し、きちんとメンテナンスをすれば、住宅の木材として十分な強度を発揮してくれます。
考慮したい点
檜:耐久性におけるデメリットはほとんどありませんが、その性能の高さから価格が高くなることが最大のネックです。用途によってはオーバースペックになる可能性もあります。
杉:木の外側の辺材(白太)は、シロアリの食害を受けやすく、水濡れに弱いという明確な弱点があります。構造材に使う場合は、心材(赤身)の割合や、適切な乾燥、防蟻処理がされているかを確認することが非常に重要です。
関連情報:木造建築の耐久性ってどのくらい?詳しく解説します!
4. 香り
木の家ならではの魅力が、心地よい香りです。
檜(ヒノキ)の香り
「ヒノキ風呂」で知られるように、檜は爽やかで力強い香りが特徴です。
この香りには「α-ピネン」などの成分が含まれ、リラックス効果や抗菌・防虫効果があると言われています。
まるで森林浴をしているような気分で、毎日の暮らしを癒やしてくれます。
杉(スギ)の香り
杉の香りは、檜に比べると少し甘く、穏やかです。
主張しすぎない優しい香りが、心を落ち着かせてくれます。
杉の香りが漂うお部屋で過ごすと、自然とリラックスできるでしょう。
考慮したい点
檜:爽やかな香りが魅力ですが、その強さゆえに、化学物質に敏感な方や香りに弱い方には「きつい」と感じられる可能性があります。
杉:香りが穏やかなため、檜風呂のような強い木の香りを期待する方には物足りなく感じられるかもしれません。
5. 断熱性と調湿性
一年を通して快適に過ごすためには、断熱性と調湿性も重要です。
檜(ヒノキ)の断熱性と調湿性
檜は針葉樹なので、優れた断熱性と調湿性を持っています。
室内の湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには水分を放出することで、快適な湿度を保ってくれます。
杉(スギ)の断熱性と調湿性
杉は、木材内部に多くの空気を含んでいるため、木材の中でも特に断熱性が高いのが特徴です。
外の暑さや寒さがお部屋に伝わりにくく、冷暖房の効率をアップしてくれます。
省エネで快適な暮らしをサポートしてくれる素材です。
考慮したい点
檜:杉と比較すると、内部の空気層が少ないため断熱性能の点では一歩劣ります。
杉:調湿性が高い(=湿気を吸放湿する)ため、木の伸縮が檜よりも大きい傾向があります。これにより、季節によっては床板などに隙間が生じることがあります。
関連情報:一年中快適な家を建てるには?夏涼しく冬暖かい住まいのつくり方と工夫
6. 価格
お家づくりは予算も大切。コストパフォーマンスも考えて選びましょう。
檜(ヒノキ)の価格
檜は、その優れた性能と希少性から、高級木材として扱われます。
一般的に、杉に比べて1.5倍から2倍以上の価格になることが多いです。
初期費用は高くなりますが、その耐久性の高さから、長期的に見れば価値のある投資と考えることもできます。
杉(スギ)の価格
杉は、日本で最も多く生産されている木材のため、供給が安定しており、比較的安価に手に入れることができます。
コストを抑えながら、無垢材の温かみあふれるお家を実現したい場合に、非常に心強い選択肢となります。
考慮したい点
檜:高価な木材であるため、家づくり全体の予算を大きく圧迫する要因になります。特に節のない良質な材料は非常に高額です。
杉:安価な分、品質にばらつきが出やすい傾向があります。節の多さや乾燥の度合いなど、材料をしっかり見極める必要があります。
関連情報:マイホーム購入前に必読!後悔しない予算の決め方と諸費用のすべて
7. 経年変化
無垢材は、時間とともに色や風合いが変化していく「経年変化」も楽しめます。
檜(ヒノキ)の経年変化
檜は、建てた当初の白木の状態から、年月を経るごとに美しい飴色へと変化していきます。
表面には自然な艶が増し、より一層重厚感と気品のある表情を見せてくれます。
杉(スギ)の経年変化
杉は、使い込むほどに赤みがかった色が深まり、はっきりとした木目がより際立ってきます。
傷やへこみも、家族の歴史を刻む「味」となり、愛着のわく空間へと育っていきます。
考慮したい点
檜:経年変化が比較的ゆっくりで上品なため、杉のようなダイナミックな風合いの変化を好む方には物足りないかもしれません。
杉:色味の変化が早い分、直射日光が当たる場所は色褪せや日焼けが起こりやすいです。家具を置いていた場所との色の差も、檜よりはっきりと出やすくなります。
8. メンテナンス性と補修のしやすさ
無垢材と長く付き合っていくためには、メンテナンスも大切です。
檜(ヒノキ)のメンテナンス
檜は硬く傷がつきにくいため、日常的なお手入れは乾拭きが基本です。
水に強いため、固く絞った雑巾での水拭きも可能です。
表面に艶がなくなってきたら、蜜蝋ワックスなどの自然塗料を塗ることで、美しい艶と撥水性が蘇ります。
杉(スギ)のメンテナンス
杉についた軽いへこみ傷は、その柔らかさゆえに補修しやすいという特長があります。
傷の部分に水を垂らし、上から濡れタオルを当ててアイロンをかけると、蒸気で膨らんで目立たなくなる場合があります。
経年でささくれが気になる場合は、目の細かいサンドペーパーで軽くこすると滑らかになります。
考慮したい点
檜:硬いため、一度深い傷がついてしまうと、杉のように蒸気で膨らませて補修することが困難です。補修するには表面を削るなどの本格的な作業が必要になる場合があります。
杉:柔らかく傷がつきやすいため、メンテナンスの頻度は高くなりがちです。また、撥水性が低いので、水などをこぼした際はすぐに拭き取らないとシミになりやすいです。

お家のどこに使う?檜と杉の適材適所な使い方
檜と杉、それぞれの違いがわかったところで、次は「お家のどこにどの木材を使うか」という視点で考えてみましょう。
両方の良いところを組み合わせる「適材適所」の考え方が、賢いお家づくりのポイントです。
土台や柱など、お家を支える「構造材」
お家の骨格となる構造材には、何よりも耐久性が求められます。
湿気に強く、シロアリにも強い檜は、お家を地面から支える「土台」や、家族を守る「柱」に最適です。
初期費用はかかりますが、お家の寿命を延ばし、永く安心して暮らすための投資と考えることがおすすめです。
一方、コストを抑えたい場合は、柱や梁に杉を使う選択肢もあります。
特に杉は軽くて丈夫なため、梁などの水平な部材に適しています。
関連情報:地震に強い家の特徴とは?耐震・制振・免震構造の違いもご紹介します
床や壁など、毎日ふれる「内装材」
家族が直接ふれる内装材は、肌触りや見た目、機能性で選ぶことがおすすめです。
床材の選び方
リビングなど、人が集まる場所には、傷に強くお手入れのしやすい檜が向いています。
美しい光沢がお部屋を明るく見せてくれます。
寝室や子ども部屋には、足触りが柔らかく温かい杉がおすすめです。
素足で歩いたときの心地よさは格別で、リラックスできる空間づくりに役立ちます。
壁材や天井材の選び方
壁や天井に木材を使うと、お部屋の雰囲気がぐっと温かくなります。
調湿効果の高い杉の板を壁に張れば、お部屋の空気を快適に保ってくれます。
また、檜の板を張れば、その香りでリラックス効果の高い空間を演出できるでしょう。
関連情報:無垢材を使った家づくり!無垢材の特徴とおすすめの木材について
お風呂やキッチンなどの「水回り」
湿気が多く、水にぬれる機会も多い場所には、耐水性に優れた木材を選ぶことが重要です。
檜は非常に水に強く、腐りにくいため、お風呂の壁や天井、浴槽(ヒノキ風呂)にも使われます。
檜の香りに包まれるバスタイムは、一日の疲れを癒やす特別な時間になるでしょう。

一言でわかる!檜と杉の選び方
檜(ヒノキ)はこんな人におすすめ!
●お家の耐久性を最優先し、長く安心して暮らしたい
●上品で明るい、高級感のある内装が好き
●爽やかな木の香りに包まれてリラックスしたい
杉(スギ)はこんな人におすすめ!
●コストを抑えつつ、無垢材の温もりある家を建てたい
●素足で歩いて気持ちいい、足腰に優しい床にしたい
●自然で素朴な、温かみのある雰囲気が好き

よくあるご質問
ここまで檜と杉の違いを解説してきましたが、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 結局、コストを最優先するならどちらが良いですか?
A1. コストパフォーマンスを重視するなら、杉(スギ)がおすすめです。
杉は日本で最も多く植林されているため供給が安定しており、檜に比べて安価です。
柱や梁などの構造材から床・壁まで、全体的に杉を使うことで、木の温もりを感じながら建築コストを抑えることが可能です。
Q2. 小さい子供やペットがいますが、どちらがおすすめですか?
A2. 一長一短ありますが、足腰への優しさをとるなら「杉」、傷つきにくさをとるなら「檜」がおすすめです。
杉は柔らかく、万が一転んでも衝撃を和らげてくれます。
一方、檜は硬いため、おもちゃを落としたり爪で引っ掻いたりしても傷がつきにくいのが魅力です。
ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
Q3. 木の香りが好きですが、アレルギーが心配です。
A3. 檜や杉の香りの成分(α-ピネン等)がアレルギーの原因になることは稀ですが、化学物質過敏症の方など、強い香りが苦手な方もいらっしゃいます。
一般的に杉の方が香りは穏やかです。
心配な方は、モデルハウスや木材サンプルで実際に香りを体感し、ご自身の体調と合うか確認することをおすすめします。

まとめ
今回は、日本の家づくりに欠かせない檜と杉の違いについて、さまざまな角度から詳しくご紹介しました。
上品な美しさと抜群の耐久性を誇る「檜」と、素朴な温かみと優れたコストパフォーマンスが魅力の「杉」。
どちらの木材にも、それぞれ素晴らしい個性と良さがあります。
どちらか一方が優れているということではなく、ご自身のライフスタイルや予算、そして「どんなお家で暮らしたいか」という理想に合わせて、最適な木材を選んでいくことが大切です。
実際の木材の質感や香りは、写真や文章だけでは伝わりきらない魅力があります。
木材の選び方で迷ったり、実物を見てみたくなったりした際には、ぜひお気軽にお近くの工務店や住宅会社にご相談ください。
専門のスタッフが、あなたの理想のお家づくりを心を込めてお手伝いします。
