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収納の多い間取りのメリットと意外な盲点|居住空間を削らず「スッキリ片付く家」をつくる考え方
新築の注文住宅やリノベーションを検討する際、「収納スペースをたくさんつくりたい」「モノが溢れないように、できるだけ収納を広くしたい」と考える方はとても多くいらっしゃいます。
しかし、ただ闇雲に収納を増やすだけでは、かえってリビングなどの居住空間が狭く感じてしまったり、結局モノが溢れて片付かなくなってしまったりといった後悔につながることも少なくありません。
収納は「広さ」だけでなく、居住空間とのバランスや「使う場所の近くにしまえるか」という配置まで考えて初めて、本当に暮らしやすい家になります。
今回は、収納の多い間取りがもたらすメリットと意外な盲点、そして居住空間を犠牲にすることなく「スッキリ片付く家」をつくるための考え方をお伝えします。
ご家族にとって最適な収納の量と配置を決めるための判断基準として、ぜひ参考にしてみてください。
【この記事のポイント】
・収納が多いことで得られる、暮らしのゆとりとメリットを確認しましょう
・収納を増やすことで生じる「居住空間の圧迫」という盲点を知っておきましょう
・家の広さに合った「収納率」の目安を知り、適切な量を把握しましょう
・広さだけでなく、使う場所の近くにしまう「動線と配置」を工夫することが大切です
目次
収納が多い間取りのメリットとは?暮らしにゆとりが生まれる理由
暮らし方に合った収納がしっかり確保されている家は、見た目がスッキリして美しいだけでなく、毎日の時間やご家族の心にもゆとりをもたらしてくれます。
ここではまず、収納を多く設けることで得られる具体的なメリットを整理してご紹介します。
部屋にモノが散らかりにくく、毎日の掃除がラクになる
収納の多い間取りにする最大のメリットは、お部屋にモノが散らかりにくく、整理整頓された空間を保ちやすくなることです。
日常的に使うモノの定位置が決まっていないと、どうしてもテーブルの上や床にモノが置きっぱなしになってしまいがちです。
その結果、お部屋に生活感が出すぎてしまったり、掃除機をかける前に「まずモノをどかす」という手間が発生したりと、家事の負担が増えてしまう原因になります。
しかし、十分な収納スペースが確保されており、サッとしまえる環境が整っていれば、お部屋を綺麗な状態に保つハードルがぐっと下がります。
ロボット掃除機などもスムーズに動くようになり、毎日の家事時間が短縮されることで、ご家族とくつろぐ時間をより多く持てるようになるはずです。
子育てや趣味など、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる
ご家族の暮らし方は、年月とともに少しずつ変化していくものです。
お子様の成長に伴って学校の道具や部活のアイテムが増えたり、ご両親と同居することになったり、あるいは新しくアウトドアやスポーツなどの趣味を始めたりと、ライフスタイルの変化によって必要なモノは確実に増えていきます。
あらかじめ収納スペースにゆとりを持たせた間取りにしておけば、こうした将来の変化にも柔軟に対応することができます。
収納量が少なすぎると、何か新しいモノを迎えるたびに古いモノを無理に手放さなければならなかったり、居住スペースにモノが溢れ出してしまったりするリスクがあります。
少し余裕を持った収納計画は、ご家族の思い出や新しい楽しみを、無理なく受け入れるための「受け皿」になってくれます。
急な来客時も慌てず対応でき、いざという時の備えも安心して持てる
「来客の予定が急に決まった」というとき、リビングや玄関周りに散らかったモノをサッとしまえる収納があると、慌てて片付けに追われることなく、落ち着いてお客様をお迎えすることができます。
「見られたくないモノを、サッとしまえる場所があるかどうか」 は、日々のちょっとした安心感に直結する、意外と見落とされがちなポイントです。
また、収納にゆとりがあれば、非常食や飲料水、簡易トイレといった防災用品も、日常生活の邪魔にならない形できちんと備えておくことができます。
「モノを増やすための収納」ではなく「もしもの時にご家族を守るための収納」 として、防災グッズの置き場所をあらかじめ確保しておくことは、ご家族の安心にもつながります。
普段の暮らしの中でも、いざという時にも、「必要なモノを、必要な時にすぐ取り出せる」収納があることは、ご家族に精神的なゆとりをもたらしてくれるのです。
関連記事:掃除がしやすい家にするには?間取り・収納・素材で毎日ラクにキレイを保つ方法

収納を増やす前に知っておきたい!意外な盲点と注意点
「収納は広ければ広いほど良い」と思われがちですが、実は家づくりの現場では、広すぎる収納が思わぬ後悔を招くケースも存在します。
収納を増やす前に知っておくべき意外な盲点と、注意すべきポイントを確認しておきましょう。
収納スペースを広げすぎると、居住空間に圧迫感が出やすい
限られた敷地や予算の中で家を建てる場合、家全体の広さ(総床面積)には必ず上限があります。
そのため、収納スペースを多く取りすぎると、その分だけリビングや寝室といった 「ご家族がくつろぐ居住空間」が削られてしまうという点には注意が必要です。
「モノをしまうための空間」を優先した結果、毎日長い時間を過ごすリビングが狭く、圧迫感のある空間になってしまっては本末転倒です。
また、とりあえず広めに作ったものの、奥のほうが上手く活用できずにデッドスペースになってしまうことも少なくありません。
収納を計画する際は、「とにかく広く」ではなく、居住空間とのバランスを冷静に見極めることが大切です。
しまう場所が多いことで、逆に不要なモノが増えてしまうケースも
収納スペースが多い間取りでは、当たり前ですがたくさんのモノをしまい込むことができます。
しかし、これが「収納の落とし穴」になることもあります。
「とりあえずしまっておけば見えないから大丈夫」という心理が働き、本来であれば手放すべき不要なモノまで溜め込んでしまうケースが多いのです。
そのため、使わないモノで収納スペースが埋め尽くされ、本当に必要なモノがどこにあるか分からなくなってしまうリスクがあります。
収納スペースは、モノを「隠す場所」ではなく、日々の暮らしを快適に回すための「管理場所」です。
必要以上の収納を持つことは、かえってモノを増やし、管理の負担を大きくしてしまう可能性があることを覚えておきましょう。
関連記事:ミニマリストから学ぶ暮らし、シンプルな生活のための収納スペース
空気だまりによる「湿気とカビ」のリスク。見落としがちな換気計画
間取り図を見ているだけでは気づきにくい盲点が、「収納スペースの中の空気環境」です。
収納の面積を大きくするということは、家の中に「空気の流れが止まる閉鎖的な空間」が増えることを意味します。
特に、外壁に面した場所に大きなクローゼットや押入れを配置した場合、家全体の高断熱・高気密性や、24時間しっかりと空気が循環する換気計画が十分に機能していないと、冬場の結露や梅雨時の湿気によって、大切な衣類や布団にカビが発生してしまうリスクが高まります。
収納を計画する際は、ただ広さを確保するだけでなく、「中に風が通るか」「湿気が溜まらない設計になっているか」という、目に見えない空気環境まで一緒に考えておくことが、家を長持ちさせ、ご家族の健康を守るうえで非常に大切です。
関連記事:知らないと後悔する木造住宅の湿気対策!プロが教える結露、カビを防いで家の寿命を延ばす方法

居住空間を削らずに「スッキリ片付く家」をつくる3つの考え方
では、リビングなどのくつろぎ空間を削ることなく、綺麗に片付く家をつくるにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは、「量・位置・余白」という3つの視点から、失敗しない収納計画の考え方をお伝えします。
【量】理想の収納率は「総床面積の12〜15%」を目安にする
まず、収納スペースの適正な「量」を把握するための指標として、「収納率(家全体の広さに対して収納スペースが占める割合)」 を参考にすると良いでしょう。
一般的な戸建て住宅では、この収納率が12~15%程度というのが、ひとつの目安になっています。
たとえば、30坪(約99㎡)のお家であれば、3.6坪(約12㎡)~4.5坪(約15㎡)ほどの収納スペースを確保するイメージです。
ただし、ご家族の人数や、キャンプ用品・趣味の道具など「持ち物の量」はご家庭によってまったく異なります。
この数値を絶対のルールとするのではなく、まずは現在お持ちのモノの量をリストアップし、それに少しのゆとり(将来増える分)を足した広さを算出することが、無駄のない間取りづくりの第一歩です。
【位置】使う場所の近くに配置し、自然な「片付け動線」をつくる
収納計画において、広さと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「収納スペースの位置」です。
どんなに大きな収納があっても、生活する場所から遠ければ「そこまで片付けに行くのが面倒」になり、結局リビングにモノが放置されてしまいます。
スッキリ片付く家をつくるための鉄則は、「使う場所のすぐ近くにしまう場所をつくる」 ことです。
- 帰宅してすぐに上着や鞄をしまえるよう、玄関やリビングの手前にシューズクロークやファミリークローゼットを設ける
- キッチンで使う食材や日用品のストックは、作業しながらすぐ手が届くパントリー(食品庫)にまとめる
- 洗面室の近くに、タオルやご家族の下着類、パジャマをしまえるリネン庫(洗面室の収納)をつくる
このように、毎日の生活の動き(生活動線)に沿って収納を分散配置することで、使ったモノを無理なく元の場所に戻せるようになり、自然と片付く家が実現します。
💡家づくりミニ知識:朝の洗面所で「動線」がぶつかっていませんか?
間取りを考える際、最もお悩みが多いのが「忙しい朝の洗面所周り」です。
ご家族がそれぞれ身支度をする移動ルート(生活動線)と、洗濯や片付けなどの家事をする移動ルート(家事動線)が同じ場所で重なってしまうと、毎朝のストレスや家事が滞る原因になります。
収納や物干しスペースの位置を少し工夫し、この2つの動線が「交差しない」ように配慮するだけで、朝の家族の時間に驚くほどゆとりが生まれます。
【余白】適正量は「7〜8割」におさえ、取り出しやすさを優先する
収納スペースを最大限に活用しようとして、奥のほうまでモノを隙間なく詰め込んでしまうと、奥にあるモノを取り出すために手前のモノをすべて出さなければならなくなります。
出し入れが面倒な収納は、だんだんと使われなくなっていく傾向があります。
使いやすい収納を維持するためのポイントは、収納スペースに対して 「7~8割」程度の量におさえ、空間に余白を持たせることです。
どこに何があるのかひと目でわかり、必要なものをワンアクションですぐに取り出せる状態が理想です。
また、使う人の身長に合わせて手が届きやすい高さに棚を設置するなど、「片付けやすさ」と「取り出しやすさ」の両方を考慮した設計を心がけましょう。
大きなモノ(季節用品など)の収納場所はどう決める?
扇風機や暖房器具といった季節家電、アウトドアグッズ、クリスマスツリーなどのイベント用品、そして防災グッズなど、使用頻度は低いものの、どうしても場所をとる大きなモノがあります。
こうした大きなモノは、日々の生活動線の邪魔にならない、奥まった場所や階段下、あるいは小屋裏などに専用のスペースを設けるのがおすすめです。
日常的に出し入れするわけではないため、多少取り出しにくい位置であっても問題ありません。
用途に合わせて「毎日使うモノ」と「たまにしか使わないモノ」の収納場所を明確に分けることで、居住空間の使い勝手は格段に向上します。
関連記事:新築戸建てに収納はどれくらい必要?満足度が高い収納スペースと設計ポイント

収納計画でよくある疑問と解決策|FAQ
ご家族ごとにモノの量や暮らし方が異なるため、収納に関するお悩みは本当にさまざまです。
ここでは、家づくりの現場でよく寄せられる疑問と、その解決策となる考え方をご紹介します。
Q. パントリーやシューズクロークは本当に必要でしょうか?
- A. ご家族のライフスタイルや買い物の頻度によって必要性は大きく変わります。
週末に食材や日用品をまとめ買いするご家庭や、ベビーカー、外遊びのおもちゃ、ゴルフバッグなど玄関周りに置きたいモノが多いご家庭にとっては、これらは非常に便利なスペースとなります。
一方で、こまめに買い物に行く方や、玄関周りに置くモノが少ない方にとっては、無理に設けると居住空間を圧迫する原因になってしまいます。
「流行っているから」という理由で採用するのではなく、ご自身の今の暮らしと持ち物の量を見つめ直して判断することが大切です。
関連記事:パントリーは本当に必要?後悔しないための判断基準と設置ポイントを解説
Q. 収納スペースに扉はつけたほうが良いのでしょうか?
- A. 隠したい場所には扉をつけ、頻繁に出し入れする場所はオープン(扉なし)にするのがおすすめです。
来客の目につきやすい玄関の収納やリビングのメイン収納などは、扉をつけることでスッキリと生活感を隠すことができます。
しかし、ウォークインクローゼットやパントリーなど、ご家族だけが頻繁に出入りする場所は、あえて扉をなくすことで「開け閉めの手間」が省け、使い勝手が良くなるケースが多く見られます。
また、扉をなくすことで建築コストを抑え、空間を広く見せる効果が期待できるだけでなく、風が通りやすくなるため、収納内の湿気やカビを防ぐという大きなメリットもあります。 Q. 家族のモノを一箇所にまとめるファミリークローゼットは便利ですか?
- A. 洗濯動線と組み合わせることで、家事の負担を大きく減らすことができます。
ファミリークローゼットの最大の魅力は、各部屋を回って洗濯物を片付ける手間が省けることです。
洗面脱衣室やランドリールーム(室内干しスペース)のすぐ隣に配置することで、「洗う・干す・しまう」の作業が一箇所で完結し、毎日の家事が驚くほどラクになります。
ただし、お子様が成長して思春期になった際のプライバシー確保など、将来の使い方も踏まえて広さや位置を計画しておくことが重要です。
関連記事:家事動線を考慮したファミリークローゼットとは?注意点も併せて解説します!

まとめ|SUMMARY
今回は、収納の多い家のメリットや意外な落とし穴、そして居住空間を削らずにスッキリ片付く家をつくるための間取りの考え方についてお伝えしました。
収納計画において大切なのは、ただ広くすることではなく、ご家族の暮らしに寄り添った「適切な量と配置」を設計することです。
図面だけでは気づきにくい“片付けやすさ”は、丁寧な対話から見えてきます。
もし、最適な収納や動線の考え方で迷われた際は、いつでも気軽にお話をきかせてください。
毎日を心地よく過ごせる住まいづくりを、皆さんと一緒に考えていけたら嬉しく思います。
