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2025.07.29
スタッフブログ
住宅性能

一年中快適な家を建てるには?夏涼しく冬暖かい住まいのつくり方と工夫

一年中快適な家を建てるには?夏涼しく冬暖かい住まいのつくり方と工夫

夏のうだるような暑さや冬の凍える寒さでも、お家の中では一年中、春のような心地よさで過ごせたら、毎日がもっと豊かになりますよね。
最近、『夏は涼しく、冬は暖かい、そんな理想の家を建てたい!』と考える方が増えています。
その夢を叶えるためには、断熱や気密はもちろん、自然の恵みを活かす素材選びや設計の工夫が欠かせません。
今回は、一年を通して心から安らげるお住まいを手に入れるために、押さえておきたいポイントをわかりやすくご紹介いたします。

 

【この記事でわかること】
・一年中快適な家を建てるための基本的な性能(高断熱・高気密)とは何か
・自然素材(無垢材や漆喰など)がもたらす調湿効果と健康へのメリット
・太陽の光や風など、自然の力を活用する「パッシブデザイン」の具体的な工夫
・快適な室温とキレイな空気を保つための換気計画と空気循環の重要性

一年中快適な住まいに必要な基本性能とは?

お家づくりの土台となる基本性能を知ることで、光熱費を抑えながら健康的で快適な暮らしが手に入ります。

高断熱で外気を遮る

外気温に左右されないお家をつくるには、断熱性能が欠かせません。
断熱とは、外からの熱気や冷気を遮断し、室内の温度を保つ役割を果たします。
断熱材にはグラスウール、硬質ウレタンフォーム、セルロースファイバーなどさまざまな種類がありますが、地域の気候や構造に適した断熱性能のものを選ぶことが重要です。
壁・屋根・床・窓まわりなど、お住まい全体の断熱性を高めることで、夏も冬も快適な空間が実現します。

ちなみに断熱性能はUa値で示され、数値が小さいほど高性能です。
横浜市など「6地域」では、省エネなZEH(ゼッチ)基準のUa値0.60以下、さらに快適性を高めるならHEAT20 G2グレードの0.46以下が目標になります。

関連情報:断熱材の種類による違いは何?それぞれの特徴と選ぶ基準

高気密で空気の流出入を防ぐ

断熱性とセットで重視されるのが気密性です。
高気密住宅は、建材の隙間を徹底的に塞ぐことで、外気との空気の出入りを最小限に抑えます。
この隙間をなくすことで、外部の湿った空気や花粉、PM2.5、さらにはホコリなどが室内に入り込む経路が遮断されるため、冷暖房で調整した快適な室温が外気に左右されにくくなるだけでなく、室内の空気を清潔に保ち、健康的な住環境を維持できるのです。
高気密な家は、冷暖房効率を大幅に高めるため、結果として月々の光熱費を抑え、家計にも優しいお住まいになります。
また、換気計画をきちんと考えることで、壁内結露のリスクを減らし、建物の耐久性を高める効果も期待できます。

高性能住宅は初期費用が少し高くなることもありますが、月々の光熱費を削減できるため、長期的なトータルコストではお得になることも。
省エネ性能は、将来の資産価値にも繋がる大切な投資です。

関連情報:ランニングコストがかからない家にするためのポイントとは?

部屋ごとの温度差を抑えてヒートショックや熱中症を予防

冬場の浴室や脱衣所などの急激な寒暖差は、ヒートショックを引き起こす原因となります。
また、夏には室温が高くなりすぎることで、室内で熱中症を起こしてしまうケースも少なくありません。
高断熱・高気密の住宅は、こうした季節ごとの温度差を抑えやすく、ご高齢のご家族がいらっしゃるご家庭でも安心して暮らすことができます。
国土交通省の調査でも、断熱性能の高い住宅が健康状態の改善に寄与することが報告されています(※国交省「スマートウェルネス住宅等推進調査」より)。

関連情報:ヒートショックは温度差に注意!症状と対策を知ってリスクを回避

 

窓の外は冬景色だが、高気密・高断熱の暖かいリビングで薄着の親子が快適にくつろいでいる様子

自然素材の力を活かして湿度をコントロール

調湿性のある素材で快適な湿度に保つ

日本は、夏は高温多湿、冬は乾燥しがちと、湿度の変化が大きいことが特徴です。
そんな日本の風土に合うのが、無垢材や漆喰、珪藻土などの自然素材です。
これら自然素材には、目に見えない小さな孔(気孔)がたくさん空いています。
この孔がスポンジのように空気中の水分を吸ったり吐いたりする働きをするため、湿度が高い時期には湿気を吸収してお部屋のジメジメを抑え、乾燥する時期には蓄えた湿気を放出してお部屋に適度な潤いを与えてくれるのです。
この自然な調湿作用によって、エアコンや除湿機に頼りすぎることなく、一年を通して心地よい湿度環境を保つことができます。

もちろん自然素材ならではの注意点もあります。
無垢材は湿度で多少変化しますし、漆喰の壁は傷がつくこともあります。
しかし、それも経年変化の『味わい』として楽しめ、長く愛せることが魅力です。

関連情報:漆喰の壁は本当に健康にいい?メリット・デメリットを徹底解説

化学物質を抑えて室内の空気を清潔に

自然素材は見た目のやさしさだけでなく、化学物質をほとんど含まない点でも安心です。
特に小さなお子様やペットがいらっしゃるお家では、空気中の化学物質の影響をできるだけ少なくしたいもの。
自然素材を取り入れることで、アレルギーや化学物質過敏症のリスクを低減し、シックハウス症候群などのリスクを抑えながら、快適な空気環境を保てます。

関連情報:住宅の空気質を向上させるために知っておきたいVOCの影響と対策

 

無垢材の床と漆喰の壁を使い、自然の力で湿度を快適にコントロールしている爽やかなリビング空間

自然の力を活かす「パッシブデザインの住まい」

太陽の光と風を活かして、夏も冬も快適に

パッシブデザインとは、エアコンなどの機械設備にできるだけ頼らず、太陽の光や風といった自然の力を活かして、室内環境を快適に整える設計手法です。
夏は直射日光を遮りつつ風通しを良くし、冬は日射を積極的に取り入れることで、冷暖房に頼りすぎることなく、心地よい空間をつくることができます。
こうしたお住まいを実現するためには、設計段階から立地条件や方角を考慮し、窓の配置や軒の出幅、通風経路などを工夫することが大切です。
たとえば、南向きの窓にしっかりと軒や庇を設けることで、夏は太陽の高い位置からの直射日光を遮り、冬は太陽の低い位置からの光を室内に取り入れることができます。
このような工夫は、昔ながらの日本家屋にも取り入れられていた、理にかなった知恵のひとつです。
日本の伝統的な家屋に見られる縁側や土間、また近年注目される吹き抜けなども、日差しや風を効果的に取り入れ、自然とつながるパッシブデザインの思想に通じるものです。

日よけや通風の工夫で快適さと省エネを両立

軒や庇が設けられない間取りやデザインの場合でも、シェードやオーニングは、必要な時だけ広げて日差しを遮れる手軽さが魅力です。
すだれは和の趣がありながらも通気性を確保し、外からの視線を遮る効果もあり、外付けブラインドは、窓の外で日差しをカットするため、熱が室内に入る前に遮断でき、特に高い遮熱効果が期待できます。
夏場は日射を遮って冷房効率を上げることで省エネにつながり、冬場は室内側で断熱カーテンを活用すれば暖気の損失を防ぐこともできます。
また、窓の配置や開閉方法を工夫して風の通り道をつくることで、自然な換気や涼しさも実現できます。
自然の流れを読み、光と風を味方につけた設計が、一年中快適な暮らしをつくるカギになります。

パッシブハウスの発想を取り入れた省エネ住宅

ドイツで誕生した「パッシブハウス」は、極めて高い断熱・気密性能に加えて、太陽光や通風といった自然エネルギーの活用を前提に設計された住宅です。
暖房や冷房のエネルギーを最小限に抑えながら、一年を通して室内の温熱環境を安定させることができるのが特徴です。
日本でもこの考え方を取り入れた設計が注目されており、省エネ性と快適性を両立した住まいづくりとして広がりを見せています。
パッシブデザインは、お家を「自然の力に寄り添う住空間」として育てていくための、今後ますます重要な視点といえるでしょう。

 

軒(ひさし)を利用して夏の日差しを遮り、冬の暖かい日差しを取り入れるパッシブデザイン

快適な住まいづくりに必要な空気の流れと換気

換気計画で空気をきれいに保つ

ただし、高性能だからこそ『計画的な換気』がより重要になります。
空気が自然に入れ替わりにくいため、換気を止めると湿気がこもり、結露やカビの原因になることも。
だからこそ24時間換気システムが大切な役割を果たします。

 

現在の住宅では、シックハウス対策の一環として「24時間換気システム」の導入が義務化されており、常に室内の空気を新鮮に保つ仕組みが求められています。
窓を開けずとも換気ができるため、防犯面や花粉・黄砂などの侵入防止にも役立ちます。
また、室内の汚れた空気を排出し、新鮮な空気を取り入れることで、カビやダニの発生を抑制し、住宅の結露を防ぐ効果も期待できます。
これは住む人の健康だけでなく、建物の寿命を延ばす上でも非常に重要です。

 

快適性と省エネ性を両立させたい場合には、「第1種換気(熱交換型)」の採用がおすすめです。
これは、排気と給気で熱交換しながら換気を行う仕組みで、冬は外気を暖めてから、夏は外気を冷やしてから取り入れることができます。
冷暖房で調整された空気が無駄にならず、室温の変化を抑えながら新鮮な空気を取り入れることができます。

関連情報:24時間換気システムは必要?義務化された理由と効果や種類

室内の空気循環でムラのない快適さを

新鮮な空気が取り込まれたら、次は室内の空気全体を効率よく循環させる工夫も大切です。
どんなに性能の高い空調機器を使っていても、空気の流れにムラがあると、お部屋の中で「暑い」「寒い」と感じる場所が生まれてしまいます。
そのような室内の温度差を解消するためには、シーリングファンやサーキュレーターを活用して空気を効率よく循環させることが有効です。
たとえば、冬場は暖かい空気が天井付近にたまりやすいため、ファンでやさしく撹拌することで床付近まで暖かさが行き渡ります。
逆に夏場は冷たい空気が床付近に滞留しがちなので、風の流れを工夫することで室温を均一に保ちやすくなります。

 

また、お部屋ごとのドアの開閉や、空気の通り道を意識した間取り計画も、快適な空気環境をつくるうえで欠かせません。
リビングや寝室、脱衣所など各空間で空気が滞らずに流れるようにしておくことで、一年中気持ちよく過ごせるお家になります。

 

換気のために窓を開けている女性

まとめ

一年中快適なお家は、高気密・高断熱で外気の影響をシャットアウトし、自然素材やパッシブデザインで自然の恵みを最大限に活かすことで実現できます。
そして、適切な換気と空気の循環が、家中の心地よさを均一に保ちます。
これらは単なるお家の性能や設備だけの話ではありません。
ご家族の健康を守り、光熱費の負担を減らし、何より毎日を笑顔で過ごすための大切な要素です。
理想の住まいづくりの第一歩として、ぜひ私たちと一緒に快適なお家を考えてみませんか?