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2025.11.29
スタッフブログ
後悔しない家づくり

長持ちする家の条件とは?建ててから後悔しないための設計と素材選びのポイント

長持ちする家の条件とは?建ててから後悔しないための設計と素材選びのポイント

「せっかく家を建てるなら、家族みんながずっと安心して暮らせる、長持ちする家がいいな」
家づくりを考え始めると、誰もがそう願うのではないでしょうか。
しかし、実は日本の住宅の平均寿命は建ててから約30年(出典:国土交通省『長持ち住宅の手引き』)と報告されています。
これは欧米に比べてかなり短い数字で、35歳で家を建てても、ローンを払い終える頃には大規模な修繕や建て替えが必要になる計算です。

日本と外国の住宅平均寿命比較

ただし、これはあくまでも過去の平均の話です。
実は、家づくりの最初に「①災害に負けない構造」「②湿気対策」「③メンテナンスのしやすさ」の3点をしっかり押さえておけば、決して短命にはなりません。
これらに加えて定期的なお手入れを行えば、日本でも世代を超えて100年住み継ぐことは十分に可能なのです。
今回は、建ててから後悔しないために知っておきたい、家の寿命を左右する設計や素材選びのポイントを分かりやすく解説します。

 

【この記事のポイント】

・日本の住宅が長持ちしにくいと言われる本当の理由
・100年後も安心な「長持ちする家」に共通する3つの必須条件
・後悔しないために知っておきたい設計・デザインのポイント
・家の寿命を大きく左右する「素材選び」の秘訣

なぜ?日本の家の寿命が欧米より短い理由

そもそも、なぜ日本の家はアメリカやイギリスなどに比べて寿命が短いと言われるのでしょうか。
その背景には、日本特有の環境や、これまでの家づくりの慣習が関係しています。
長持ちする家を建てるためには、まずその理由を知ることから始めましょう。

理由1: 高温多湿な気候と「壁の中の見えない結露」

日本の夏は湿度が高く、冬は室内外の温度差が大きいため、実は家にとって少し過酷な環境です。
特に家の寿命に影響するのが、壁の内側で発生する「内部結露」です。

・気づきにくい場所で進行する

壁の中や断熱材の内部で発生するため、知らないうちに劣化が進んでしまうことがあります。

・家の骨格を弱らせる

結露による湿気が、家の土台や柱といった大切な構造材を腐らせる原因になり得ます。

・健康への影響も

湿った木材は、アレルギーの原因にもなるカビや、家を食べるシロアリが繁殖しやすい環境をつくってしまいます。

 

押入れのカビや壁紙の剥がれなどはそのサインの一つですが、目に見えた時にはすでに重症化していることもあります。
このように、内部結露は家の耐久性を静かにむしばんでいく、とても厄介な現象なのです。

理由2: 「建てて終わり」になりがちなメンテナンス計画

家も人の体と同じで、長く健康な状態を保つためには定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
しかし、将来のメンテナンスのしやすさまで、十分に考慮されていない設計も少なくありません。

・点検や修理がしにくい構造

床下の配管を点検するための「点検口」が小さすぎたり、そもそも無かったりすると、いざという時に修理が大掛かりになってしまいます。

・劣化の発見が遅れる

小屋裏(屋根裏)の点検口がないと、雨漏りのサインに気づくのが遅れ、被害が広がってしまうケースがあります。

 

メンテナンスのしにくさは、家の小さな不具合を大きなダメージへと育ててしまう要因となるのです。

理由3: 地震や台風など、避けられない自然災害への備え

ご存じの通り、日本は世界的に見ても地震や台風が多い国です。
どんなにデザインの良い家を建てても、災害への備えが不十分では、安心して長く住むことはできません。

・建物自体の強度の問題

まず、大きな地震の揺れに耐えられるだけの構造的な強さが確保されていることが大前提です。

・土地に潜むリスク

家を建てる土地そのものが、地盤が弱かったり、過去に浸水被害があったりする場所だと、災害時に被害を受ける可能性が高くなります。

 

長持ちする家とは、こうした自然災害のリスクをきちんと見据え、適切な対策が施された家のことでもあるのです。

 

関連記事:内部結露とは?原因と危険性を知って防ぐための対策

 

建設中のモダンな木造住宅の美しい骨組み 耐久性の高いヒノキやスギなどの国産材で組まれた頑丈な構造体と梁

これが基本!長持ちする家に必要な3つの必須条件

では、具体的に「長持ちする家」を実現するためには、どのような条件を満たせばよいのでしょうか。
ここでは、絶対に押さえておきたい3つの必須条件を解説します。

必須条件1: 【耐震性】災害に負けない「強い構造」

何よりもまず大切なのは、家族の命と暮らしを守る家の「強さ」です。
特に地震への備えは、日本の家づくりにおいて最優先で考えるべきポイントです。

最重要は「耐震等級3」の安心感

建物の地震に対する強さは「耐震等級」という基準で示されます。
等級は1から3まであり、数字が大きいほど耐震性が高くなります。

 

耐震等級1:建築基準法で定められた最低限の耐震性能
耐震等級2:等級1の1.25倍の強さ(学校や避難所と同レベル)
耐震等級3:等級1の1.5倍の強さ(消防署や警察署など防災拠点レベル)

 

長持ちする家を目指すなら、最高ランクの安心基準である「耐震等級3」の採用を検討する価値は大いにあります。
震度6強〜7の大きな地震が起きても、軽い補修程度で住み続けられるレベルが想定されています。

 

関連記事:耐震等級3相当とは?耐震等級3との違いを解説します!

地盤の強さも忘れずにチェック

どれだけ建物が頑丈でも、その下の地盤が弱ければ意味がありません。
家を建てる前には必ず地盤調査を行い、必要であれば地盤改良工事を行います。
土地探しの段階からプロの工務店に相談すると、その土地の災害リスクなども含めてアドバイスをもらえるので安心です。

必須条件2: 【耐久性】家を湿気から守る「断熱・気密・換気」

家の構造をむしばむ湿気や結露から守ることも、家の寿命をのばす重要な条件です。
見えない部分の対策が、将来の安心につながります。

国産無垢材が日本の気候にあう理由

日本の家づくりに古くから使われてきたスギやヒノキといった国産の無垢材は、高温多湿な気候にとても適しています。
これらの木材には、湿気を吸ったり吐いたりして室内の湿度を調整する「調湿作用」があります。
加えて、国産材は地域の山林で生産されるため、輸送時のCO₂排出量が少なく、環境負荷の少ないサステナブルな素材でもあります。
また、ヒノキに含まれる成分にはシロアリが嫌がる効果があるなど、家を長持ちさせるための知恵が詰まっています。
1300年以上前に建てられた法隆寺が今もその姿を保っているのも、こうした国産材の優れた耐久性のおかげなのです。

 

関連記事:国産材を使ったお家って実際どうなの?メリットとデメリットから見る素材選びの基礎知識

見えない壁の中の「結露対策」

家の耐久性を高めるには、内部結露を防ぐための工夫が欠かせません。
具体的には、

 

高断熱:断熱材で外気との熱の出入りを抑えること
高気密:隙間を小さくして湿った空気の侵入を防ぐこと
換気:24時間換気システムで、家全体の空気を計画的に入れ替えること

 

といった対策が重要になります。
これらがセットで行われることで、壁の中は常に乾いた状態に保たれ、家の寿命を大きくのばすことができます。

必須条件3: 【維持管理】未来まで考えた「メンテナンスのしやすさ」

家は、建てた後も数十年という長い時間を共に過ごすパートナーです。
将来のメンテナンスまで見据えた設計は、結果的に住まいの寿命をのばし、余計な出費を抑えることにも繋がります。

点検・補修しやすい設計の工夫

例えば、床下の配管や基礎の状態を確認するための「床下点検口」は、人が楽に入れる十分な大きさと、適切な位置にあることが大切です。
また、屋根裏の状態を確認できる「小屋裏点検口」も、雨漏りの早期発見などに役立ちます。
こうした「何かあった時にすぐ確認できる」という設計上の配慮が、家を長持ちさせる秘訣です。

長期的な修繕計画(ライフサイクルコスト)を考える

家づくりでは、建てる時の初期費用(イニシャルコスト)に目が行きがちです。
しかし、本当に大切なのは、光熱費や将来の修繕費まで含めた「ライフサイクルコスト」で考えること。
例えば、初期費用が少し高くても、耐久性の高い外壁材を選んでおけば、将来の塗り替え費用を大幅に抑えられるケースがあります。
家づくりの計画段階で、こうした長期的な視点を持つことが後悔しないためのポイントです。

 

関連記事:ライフサイクルコスト(LCC)を考えた住宅とは?重要性と低減方法と資産価値の維持・向上

 

無垢材のフローリングと白い壁が明るい、通気性と断熱性に優れた快適なモダンリビングの内装

意外と見落としがち?家の寿命を左右する設計・デザインのポイント

家の寿命は、構造や性能だけで決まるわけではありません。
実は、家の「かたち」やデザインも、長持ちするかどうかに大きく影響します。
ここでは、意外と知られていない設計上のポイントをご紹介します。

シンプルな「かたち」は、雨漏りに強く長持ちしやすい

デザイン性の高い、凹凸の多い複雑な形状の家は、壁と屋根の取り合い部分(接合部)が多くなります。
こうした部分は、雨漏りのリスクが少し高くなる傾向があります。
一方で、四角い箱のようなシンプルな総二階建ての家は、構造的に安定しやすく、雨漏りのリスクも低いと言われています。
シンプルなデザインは、コストを抑えつつ、家の寿命をのばす合理的な選択肢でもあるのです。

外壁を守る「軒(のき)」の役割を見直そう

「軒(のき)」とは、屋根の端で、外壁より外側に出っ張っている部分のことです。
この軒には、

 

・外壁を直接的な雨や紫外線から守り、劣化を防ぐ
・夏の日差しを遮り、室温の上昇を抑える
・窓を開けていても、多少の雨なら吹き込みを防ぐ

 

といった、家を長持ちさせるための大切な役割があります。
最近はデザインを優先して軒のない(軒ゼロ)住宅も増えていますが、「家を長持ちさせる」という観点では、深い軒を出す設計に大きなメリットがあります。

窓の配置と大きさは「バランス」が大切

大きな窓は、部屋を明るく開放的にしてくれますが、多すぎたり大きすぎたりすると、家の断熱性を下げたり、耐震性を弱くしたりする原因にもなり得ます。
また、雨水が侵入しやすい場所でもあるため、適切な防水処理(雨仕舞)が欠かせません。
採光や風通し、デザイン性、そして家の性能。
これらのバランスを考えながら、最適な窓の配置や大きさを決めていくことが重要です。

 

関連記事:地震に強い家の形とは?倒壊を防ぐために知っておきたい間取りと設計ポイント

 

深い軒(のき)が外壁を雨や日差しから守っている、機能的でシンプルなデザインの現代住宅の外観

Q&Aで解決!長持ちする家づくりでよくある疑問

最後に、家づくりを検討中のお客様からよくいただくご質問に、Q&A形式でお答えします。

Q. 「長期優良住宅」って、長持ちする家と同じことですか?

A. 目指す方向性は同じですが、長期優良住宅はさらに国の「認定」を受けた住宅のことです。
長期優良住宅は、国が定めた「耐震性」「耐久性」「維持管理のしやすさ」といった条件をクリアし、「お墨付き」をもらった住宅を指します。
認定を受けると、「固定資産税の減税期間が延びる」「住宅ローン控除の限度額が広がる」「地震保険料が割引になる」といった具体的なメリットがあります。
(※優遇制度の内容は変更される場合があるため、最新情報をご確認ください)
私たち大栄建設では、この長期優良住宅を標準仕様として家づくりを行っています。

Q. どの素材を選べば一番長持ちしますか?

A. どの素材にもメリット・デメリットがあり、「これさえ選べば絶対大丈夫」という万能な素材はありません。
大切なのは、それぞれの素材の特性を理解し、「適材適所」で使い分けることです。

 

場所素材の例特徴考え方
構造材ヒノキ、スギ日本の気候に適し、耐久性が高い。木の香りによるリラックス効果も。家の骨格となる最も重要な部分。コストと性能のバランスを考えることが大切です。
外壁材ガルバリウム鋼板
塗り壁、タイル
デザイン性、耐久性、将来のメンテナンス費用がそれぞれ大きく異なる。家の顔となる部分。見た目の好みと、10年後、20年後のメンテナンス計画をセットで考えましょう。
屋根材瓦、ガルバリウム鋼板瓦は高耐久だが重い。ガルバリウムは軽量で耐震性に有利だが、雨音が響くことも。地域の気候(雪、台風など)や、家全体の耐震性とのバランスを考慮して選ぶことが重要です。

 

もし、ご自身のケースで最適な素材選びに迷われたら、ぜひ私たちプロにご相談ください。
お客様のライフスタイルやご予算、デザインのお好みに合わせて、最適なご提案をさせていただきます。

Q. 信頼できる施工会社を見分けるには、どんなことを確認すればいいですか?

A.はい、とても大切なポイントですね。
会社選びで後悔しないためには、「品質」と「建てた後の関係性」をしっかり見極めることが重要です。
ぜひ、信頼できるパートナー探しの指針として、以下の6つのポイントを確認してみてください。

1. 第三者機関による検査はあるか?

自社のチェックだけでなく、客観的なプロの目で工事の品質を厳しく検査する仕組みは、安心の大きな基準になります。

2. 詳しい施工写真をもらえるか?

完成したら見えなくなってしまう壁の中や基礎の部分まで、きちんと写真で記録を残してくれる誠実な会社か確認しましょう。

3. 長期優良住宅への対応実績は豊富か?

国が定める厳しい基準をクリアした家を建てられる技術力と知識があるか、という実績は重要な判断材料です。

4. 会社の保証や保険の内容は明確か?

万が一の不具合(瑕疵)に対する保証はもちろん、会社独自の保証制度が充実しているかも確認しておくと安心です。

5. 引き渡し後の定期点検はいつまで続くか?

「建てて終わり」ではなく、5年後、10年後も大切な住まいの状態を気にかけてくれる、長期的なお付き合いができる会社を選びましょう。

6. これまでの施工事例やお客様の声は豊富か?

その会社が実際にどんな家を建てていて、お施主様がどんな感想を持っているかは、会社の姿勢を知る上で参考になります。

 

関連記事:長期優良住宅とは?認定基準とメリット・デメリット

 

オフィスのテーブル越しに、担当者がタブレットの画面をご夫婦側に向けて提示しながら、適切な距離感で家づくりの説明をしている様子

まとめ

今回は、建ててから後悔しないための「長持ちする家」の条件について、設計や素材選びの観点から詳しく解説しました。
大切なポイントは、「災害に強い構造」「湿気に負けない耐久性」「メンテナンスのしやすさ」という3つの条件を、バランス良く満たすことです。
お家は、建てて終わりではありません。
ご家族の成長とともに歴史を刻み、長く愛着を持って住み継いでいく、かけがえのない資産です。
だからこそ、私たちは目先のデザインやコストだけでなく、100年先まで見据えた家づくりが大切だと考えています。

 

「何から始めたらいいかわからない」「私たちの場合はどうなんだろう?」
そんな風に思われたら、ぜひ一度、私たち大栄建設にお気軽にご相談ください。
住み渡る家づくりを、あなたらしいデザインで実現するお手伝いをさせていただきます。