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2026.02.01
スタッフブログ
自然素材・健康住宅

バイオフィリックデザインとは?自然と暮らす家が子どもの集中力と家族の幸福度を高める科学的理由

バイオフィリックデザインとは?自然と暮らす家が子どもの集中力と家族の幸福度を高める科学的理由

日々忙しく過ごす中で、ふと公園の緑を見たり、木漏れ日を感じたりして心が軽くなった経験はありませんか。
人間には本能的に自然とのつながりを求める性質があり、これを住宅設計に取り入れる考え方が「バイオフィリックデザイン」です。
近年、単なるおしゃれなデザインとしてだけでなく、家族の健康や子どもの成長を支える環境として、世界中で注目を集めています。
今回は、なぜ自然を取り入れた家が心地よいのか、その科学的な理由や、これからの家づくりで無理なく取り入れられる具体的な工夫について解説します。
これからマイホームを検討される方が、ご家族で長く幸せに暮らすためのヒントとなれば幸いです。

 

【この記事のポイント】

バイオフィリックデザインは、人間が本来持つ「自然を好む本能」を満たし、幸福度を高める設計手法です。
・自然素材や適切な光設計は、子どもの集中力向上やストレス軽減につながることがさまざまな研究で示されています。
・植物を置くだけでなく、自然の光、風、素材感を間取り全体でバランスよく取り入れることが成功の鍵となります。

バイオフィリックデザインとは?なぜ今、注目されているのか

「バイオフィリックデザイン」という言葉を初めて耳にする方も多いかもしれません。
ここでは、この言葉の基本的な意味と、デジタル社会の今、なぜこれほどまでに重要性が高まっているのか、その理由について解説します。

現代人が求める「自然とのつながり」とバイオフィリックの定義

「バイオフィリックデザイン(Biophilic Design)」とは、人間が先天的に持っている「自然とつながりたいという欲求(バイオフィリア)」を建築や都市計画に応用し、居住者の健康と幸福度(ウェルビーイング)を向上させるための空間設計手法のことです。
この「人間は本能的に自然を求めている」という考え方は、学術的には「バイオフィリア仮説」と呼ばれています。

 

現代社会では、一日の大半を室内で過ごし、パソコンやスマートフォンの画面を見る時間が長くなる傾向にあります
このような人工的な環境に長時間身を置くことで、無意識のうちにストレスを溜め込んでしまっているケースが少なくありません。
そこで、家の中に植物や自然素材、太陽の光などを意図的に取り込み、自然界にいるときのようなリラックス状態をつくり出すことが求められています。
単に観葉植物をたくさん置くことだけがバイオフィリックデザインではありません。
窓からの景色、風の通り道、素材の手触りなど、五感を通して自然を感じられる住まいづくりが、これからのスタンダードになりつつあります。

💡家づくりミニ知識:バイオフィリア仮説とは?

「バイオフィリア」という言葉自体は社会心理学者のエーリヒ・フロムが作りましたが、後に生物学者のエドワード・O・ウィルソンが理論(仮説)として提唱し広まりました。
「人間は進化の過程で長く自然の中で暮らしてきたため、本能的に自然とのつながりを求めている」という考え方です。
自然に触れるとホッとするのは、この本能によるものだと言われています。

健康と幸福度を高める「ウェルビーイング」な住まい

家づくりにおいて「性能」というと、耐震性や断熱性が重視されますが、これからはそこに「心の健康」や「幸福感」という視点を加えることも大切です。
世界的なIT企業や先進的なオフィスでは、すでにこのバイオフィリックデザインが積極的に導入されています。
その理由は、働く人の創造性を高め、精神的な疲労を回復させる効果が実証されているからです。
この考え方は、私たちが毎日暮らす住宅においてこそ、大きな価値を発揮します。
ご家族が毎日帰ってくる場所が、単なる「寝る場所」ではなく、「心身を回復させ、明日への活力を養う場所」であるために。
自然の要素を住まいに取り入れることは、人生の質そのものを高める投資といえるでしょう。

 

関連記事:良好な温熱環境による健康生活 ~適切な温度で健康住宅に~

 

窓辺でリラックスできるバイオフィリックデザインの空間。自然光と外の景色がストレスを軽減しウェルビーイングを高める

科学的に実証された「子どもの集中力」と「家族のストレス軽減」効果

「自然素材の家はなんとなく心地よい」と感じる方は多いですが、実はそれだけではありません。
自然を取り入れた空間が、私たちの脳や体にどのような良い影響を与えるのか、具体的な研究データや科学的根拠に基づいてそのメリットを紐解いていきます。

木材や自然素材が子どもの学習効率に与える影響

子育て世代の方にとって特に気になるのが、住環境が子どもの成長に与える影響ではないでしょうか。
実は、木材を多く使用した空間は、子どもの集中力を高めるという研究結果が多く報告されています。
例えば、内装に木材を使用した部屋とそうでない部屋で計算作業を行った場合、木材を使用した部屋の方が効率が上がり、疲労感が少なかったというデータがあります。
これは、木の表面にある微細な凹凸が光を優しく反射し、目への刺激を和らげる効果や、木材が持つ吸音性が不快な雑音を吸収し、落ち着いて物事に取り組める環境を作るためと考えられます。

 

また、無垢材の床は適度な弾力性があり、転んでも怪我をしにくいため、小さなお子様がのびのびと遊ぶことができます。
「安全で心地よい」と感じられる安心感こそが、子どもの感性を育み、学習意欲を支える土台となるのです。

💡家づくりミニ知識:フィトンチッドとは?

樹木が身を守るために発散する揮発性物質のことです。
森林浴をしたときに感じる爽やかな香りの正体です。
消臭・脱臭効果のほか、リラックス効果や免疫力を高める働きがあると言われています。

自律神経を整え、ストレスを減らす「1/fゆらぎ」の効果

自然界には「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」と呼ばれる、不規則で心地よいリズムが存在します。
小川のせせらぎ、木漏れ日、炎の揺らぎ、そして木目の模様などがこれにあたります。
人間の心拍のリズムも実はこの「1/fゆらぎ」に近いと言われており、このリズムを感じることで、脳がリラックスしやすくなると考えられています。

 

家づくりにおいて、均一な工業製品だけで囲まれた空間は、手入れは楽かもしれませんが、脳にとっては刺激が単調になりがちです。
一方で、無垢の木目や塗り壁の質感、天然石の風合いといった自然素材には、この「ゆらぎ」が含まれています。
リビングや寝室など、長時間過ごす場所にこれらの素材を取り入れることで、無意識のうちに自律神経が整い、日々のストレスが軽減される効果が期待できます。

睡眠の質を向上させるサーカディアンリズムと光の関係

私たちの体には「体内時計」が備わっており、約24時間の周期で睡眠と覚醒のリズムを刻んでいます。
これを「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼びます。
このリズムを正しく保つために最も重要なのが「光」です。
バイオフィリックデザインでは、太陽の光を適切に取り入れることを重視します。
朝、たっぷりと自然光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜になると自然に眠くなるホルモン(メラトニン)が分泌されやすくなります。
逆に、日中に十分な自然光を感じられない家や、夜遅くまで明るすぎる照明の中で過ごす生活は、このリズムを乱し、睡眠障害や情緒不安定の原因になることがあります。

 

・日中:ハイサイドライト(高窓)や吹き抜けから自然光をたっぷり取り込む。
・夜間:夕日のような暖色系の照明で、低い位置から照らす。

 

このように、光の環境を自然界のリズムに合わせる設計を行うことで、家族全員の睡眠の質を高め、健やかな毎日を送ることができるのです。

 

関連記事:無垢材フローリングのおすすめ木材6選!特徴を比較し後悔しない家づくり

 

子どもの集中力を高める木製のスタディコーナー。自然素材と適切な採光が学習効率を向上させる

幸福度を高める家づくりを実現する3つの構成要素

では、実際に家づくりに取り入れるにはどうすればよいのでしょうか。
バイオフィリックデザインには大きく分けて3つのアプローチ方法があります。
ここではそれぞれの特徴と、日本の住宅で実践するためのポイントをご紹介します。

【要素1】空間の中にある自然(Nature in the Space)

これは最も分かりやすく、直接的に自然の要素を家の中に取り入れる方法です。
視覚、聴覚、触覚、嗅覚で自然を感じられる仕掛けを作ります。

 

・視覚:窓から庭の緑や空が見えるように配置する(ピクチャーウィンドウ)。観葉植物をインテリアの一部として配置する。
・聴覚:雨音や風の音、鳥のさえずりが適度に聞こえる通風計画。
・触覚:足触りの良い無垢フローリング、手触りのある塗り壁やファブリック(布地)。
・嗅覚:木の香り、畳(イグサ)の香り、季節の花の香り。

 

特に「窓」の役割は重要です。
ただ明るさを確保するだけでなく、「外の何を見るか」を計算して窓を配置することで、家の中にいながら外とのつながりを感じられる豊かな空間になります。

【要素2】自然を模したデザイン(Natural Analogues)

本物の植物だけでなく、自然界にある形やパターン、素材感を模倣したデザインを取り入れることも効果的です。

 

・有機的なフォルム:家具やアーチ開口(R垂れ壁)などに、角のない曲線を取り入れる。
・自然素材の使用:木、石、竹、籐(ラタン)などの天然素材を内装材や家具に使う。
・アースカラー:ベージュ、グリーン、ブラウンなど、自然界にある色味でインテリアを統一する。

 

これらは、メンテナンスの手間がかからないというメリットもあります。
本物の植物を育てるのが苦手な方でも、壁紙を植物柄にしたり、照明のシェードを木製にしたりするだけで、バイオフィリックな効果を得ることができます。

【要素3】空間の性質(Nature of the Space)

これは少し抽象的ですが、人間が本能的に「心地よい」「ワクワクする」と感じる空間構成のことです。

 

・見晴らし(プロスペクト):遠くまで見渡せる開放的な場所。リビングの吹き抜けや、視線が抜ける大きな窓などが当てはまります。開放感と自由を感じさせます。
・隠れ家(リフュージ):背後が守られ、囲われている安心感のある場所。ヌック(こぢんまりとした居場所)や、少し天井を低くした書斎などがこれにあたります。

 

「開放的な場所」と「守られた場所」の両方がバランスよく存在することで、家は退屈しない、居心地の良い場所になります。
広ければ良いというわけではなく、適度な「おこもり感」を作ることも、リラックスできる家づくりの秘訣です。

 

関連記事:南向きの家は明るい?間取りでできる日当たりを良くするための工夫も紹介!

 

ダイニングの目線の高さに配置されたピクチャーウィンドウ。食事中も自然の景色を楽しめるバイオフィリックデザインの窓配置

工務店と考える、バイオフィリックデザインを取り入れた間取りの実践アイデア

理論がわかったところで、次は具体的な間取りの話に移りましょう。
家族が多くの時間を過ごす場所を中心に、無理なく自然を取り入れるための実践的なアイデアを4つご紹介します。

リビング:中庭や吹き抜けで「ウチ」と「ソト」をつなぐ

家族が集まるリビングは、最も自然を感じられる場所にしたいものです。
おすすめなのが、中庭(パティオ)やウッドデッキとリビングをフラットにつなぐ設計です。
床の高さを揃え、大きな窓を設けることで、視覚的にリビングが外まで広がっているように感じられます(アウトドアリビング)。
天気の良い日は窓を開け放てば、風や光をダイレクトに感じることができ、BBQや子どものプール遊びなど、アクティブな楽しみ方も広がります。
また、都市部の住宅密集地で庭が取れない場合は、吹き抜けや高窓(ハイサイドライト)が有効です。
隣家からの視線を遮りつつ、空の青さや雲の動き、月の光などを日常的に楽しむことができます。

 

標準的な掃き出し窓からウッドデッキへつながるリビング。家具配置を工夫し、日常のくつろぎと自然とのつながりを両立した間取り

関連記事:中庭のある家の満足度は間取りで決まる!快適な間取りにするポイント

 

書斎・スタディコーナー:緑視率を高めて作業効率アップ

在宅ワークを行う書斎や、お子様が勉強するスタディコーナーでは、「緑視率(視界に入る植物の割合)」を意識してみましょう。
デスクの前に座ったとき、ふと目を上げた先に窓があり、そこから庭の木々や空が見えるように配置するのが理想的です。
研究によると、緑視率が10〜15%程度の環境が、最もストレスが少なくパフォーマンスが向上すると言われています。
窓の配置が難しい場合は、デスクの上に小さな観葉植物を置いたり、壁に木製棚を設置してドライフラワーを飾ったりするだけでも効果があります。
無機質な壁に向かって作業するよりも、ふとした瞬間に自然が目に入ることで、良い気分転換になり集中力が持続します。

 

高窓(ハイサイドライト)から空と緑を感じる書斎。直射日光を避けつつ自然を取り入れる、集中力アップに適した窓配置

関連記事:テレワーク用の書斎をご検討中の方必見!注意点を解説します!

 

寝室:低い重心と間接照明で「包み込まれるような」安らぎを

一日の疲れを癒やす寝室には、バイオフィリックデザインの「隠れ家(リフュージ)」の要素を取り入れるのが効果的です。
あえて天井を低くしたり、ベッドヘッド側の壁を落ち着いたアースカラーや木パネルで仕上げたりすることで、守られているような安心感が生まれます。
照明は、天井から全体を照らすシーリングライトではなく、足元や壁を照らす間接照明を採用しましょう。
夕日や炎のような低い位置からのあたたかい光は、副交感神経を優位にし、自然と深い眠りへと誘ってくれます。

 

ヘッドボードの間接照明のみで明るさを抑えた寝室。光の重心を下げた「隠れ家」のような空間が、深い眠りへ誘う

関連記事:新築住宅の照明計画はどう立てる?失敗しない種類選びと明るさ設計のポイント

 

浴室・洗面室:坪庭を眺めながら温泉旅館のような時間を

毎日使う水回りこそ、少し贅沢な空間にしてみてはいかがでしょうか。
浴室の窓の外に、小さな「坪庭」を設けるアイデアが人気です。
高い塀で囲えば外からの視線を気にすることなく、湯船に浸かりながら揺れる葉や雨音を楽しむことができます。
まるで温泉旅館に来たような非日常感が、日々のストレスを洗い流してくれるでしょう。
また、洗面室の壁や天井にヒノキやサワラなどの湿気に強い木材を使うのもおすすめです。
お風呂上がりの蒸気とともに木の香りが立ち込め、極上のリラックスタイムを演出します。

 

木製フェンスでプライバシーを守りつつ緑を楽しむ浴室。システムバスでも実現可能な、シンプルでモダンな坪庭のあるバスルーム

関連記事:家事を効率化するための水回り動線の考え方

 

よくある疑問を解決!虫やメンテナンスへの対策は?|Q&A

自然を取り入れたいと思う一方で、虫や日々のお手入れが心配で一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
ここではQ&A形式で対策をご紹介します。

Q. 庭を作ると虫が来そうで心配です。対策はありますか?

A. 植栽の選び方と配置で軽減できます。

虫が好む植物とそうでない植物があります。
例えば、ハーブ系(ミント、ローズマリーなど)は虫除け効果が期待できます。
また、家の基礎周辺に砂利を敷いたり、水はけを良くして湿気を溜めない設計にしたりすることも重要です。
網目の細かい網戸を採用するのも有効な手段です。

Q. 植物の手入れをする自信がありません。

A. 手のかからない植栽計画や、素材での取り入れ方がおすすめです。

頻繁な水やりや剪定が必要ない、常緑樹や乾燥に強い植物を選ぶと良いでしょう。
また、無理に本物の植物を置かなくても、無垢材の床や漆喰の壁など、内装材に自然素材を使うだけでも十分なバイオフィリック効果があります。
まずは「素材」から始めてみるのがおすすめです。

Q. 費用が高くなりませんか?

A. 優先順位をつければ、予算内での実現も可能です。

家全体を自然素材にするのが難しい場合は、家族が長く過ごすLDKや寝室の床だけに無垢材を採用するなど、メリハリをつけることが大切です。
また、特別な機械や設備に頼らず、太陽の光や風を設計の工夫で取り入れる「パッシブデザイン」の手法を活用すれば、建築コストやランニングコストを抑えながら、心地よいバイオフィリックな空間を実現できます。

 

悩み・不安解決策・アイデア
虫が苦手虫除け効果のあるハーブ植栽、網戸のグレードアップ、庭を作らず室内から空を見る窓配置
手入れが面倒成長が遅い常緑樹、自動散水システム、内装素材(木・石)での自然演出
予算が心配LDKのみ無垢床採用、既製品建具と自然素材の組み合わせ、パッシブデザインの活用

 

関連記事:パッシブデザインとアクティブデザインとは?未来を見据えた家づくり

 

手入れが楽な観葉植物を取り入れた清潔な室内。虫対策やメンテナンスを考慮した無理のないバイオフィリックデザイン

まとめ|SUMMARY

今回は、家族の健康と幸福度を高める「バイオフィリックデザイン」について解説しました。
バイオフィリックデザインとは、単に植物を飾ることではなく、「人間も自然の一部である」という原点に立ち返り、光、風、素材を通して健康的で心地よい空間をつくる設計思想のことです。
科学的にも、自然素材や適切な光の環境が、子どもの集中力を高め、大人のストレスを軽減し、家族の睡眠の質を向上させることがわかっています。
これから何十年と暮らすマイホームだからこそ、見た目の美しさや便利さだけでなく、「心と体が安らぐかどうか」という視点を大切にしていただければと思います。

 

私たち大栄建設では、自然素材や光と風を活かすパッシブデザインの考え方をもとに、ご家族一人ひとりの暮らしに合った家づくりを大切にしています。
だからこそ、「虫は苦手だけど自然を感じたい」「予算内で無垢の床を使いたい」など、ご家族ごとのこだわりや不安に寄り添い、世界に一つだけの心地よい住まいを一緒に考えていきます。
モデルハウスでは、実際の木の香りや心地よさを体感していただけます。
ぜひ一度、深呼吸したくなるような空気感を味わいにいらしてください。