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2025.06.06
スタッフブログ
ZEH・省エネ住宅

ZEH(ゼッチ)住宅とは?省エネ性能・快適な暮らし・補助金まで徹底解説

ZEH(ゼッチ)住宅とは?省エネ性能・快適な暮らし・補助金まで徹底解説

近年の注文住宅では、デザインや間取りだけでなく、住宅性能や省エネ性、そして快適な住まい心地が重視されるようになっています。
そんな中で、環境にやさしく家計にも優しい「ZEH(ゼッチ)」住宅が注目されています。
ZEH住宅は、これからの省エネ基準を満たすだけでなく、ご家庭の快適さや災害時の備え、そして補助金などのメリットも豊富にあります。
今回は、ZEH住宅の特徴やメリット、補助金制度などについて詳しく解説いたします。
これからお家の新築やリフォームをお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

ZEH(ゼッチ)住宅とは?

ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称です。
お家で使うエネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間の消費エネルギー量の収支をゼロ以下にする住宅を指します。
経済産業省では、ZEHを「外皮の断熱性能を高め、高効率な設備システムを導入し、室内環境の質を維持しながら省エネを実現し、再生可能エネルギーを活用して年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した住宅」と定義しています。

 

ZEH住宅(創エネ・省エネ・断熱)

ZEH住宅に必要な3つの基本ポイント

ZEH住宅を実現するためには、大きく分けて次の3つのポイントを抑える必要があります。

1.高気密高断熱な外皮性能

まず重要なことは、住宅全体の「断熱性能」と「気密性能」を高めることです。
お家の外皮(壁や屋根、窓など)の断熱性能を高めることで、外気の影響を受けにくくなり、冷暖房にかかるエネルギー消費を大きく抑えられます。
さらに「気密性能」を高めることで、隙間からの空気の出入りを防ぎ、断熱材の効果を最大限に発揮できます。
高性能な断熱材や樹脂サッシ、高断熱ガラスの使用、そして隙間を減らす技術力がポイントとなります。

2. 高効率な省エネ設備の導入

2つ目は「省エネ」です。
給湯器や照明、換気システムなどを高効率な設備にすることで、日常生活に必要なエネルギー消費量を少なくすることができます。
例えば、LED照明や高効率エアコン、エコキュートなどの設備を採用することで、使う電力そのものを減らすことが可能です。

3. 再生可能エネルギーによる創エネ

そして3つ目は「創エネ」です。
太陽光発電システムなどを設置することで、お家で使う電力をご自分で創り出すことができます。
発電した電力は、ご家庭で使うだけでなく、余った分は売却することも可能です。

 

これら3つの要素を組み合わせることで、ZEH住宅は年間のエネルギー収支ゼロを目指せるのです。

 

使うエネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、年間の消費エネルギー量の収支をゼロ以下にする

ZEH住宅のメリット

ZEH住宅には、省エネ・創エネだけでなく、様々な暮らしのメリットがあります。

光熱費を抑えることができる

ZEH住宅は、断熱性能や省エネ設備の向上によって電気やガスの使用量を減らすことができます。
さらに、太陽光発電で電気を創り出し、余剰電力は売電することもできるため、光熱費を大幅に削減可能です。
長い目で見ると、お家のランニングコストをぐっと抑えられるのは大きなメリットです。

災害時の備えになる

地震や台風などの自然災害が増える中、ZEH住宅に設置する太陽光発電システムは、停電時の備えとして活用できます。
例えば、2018年の北海道大停電では、太陽光発電システムを持つお家の約9割が停電中も電気を賄えたとのデータがあります。
ご家庭用蓄電池を導入することで、太陽光で発電した電気を蓄えて夜間や非常時にも使用できるため、より安心です。
普段の生活だけでなく、非常時にも安心できるお住まいになります。

快適な住み心地と健康面での安心

高気密・高断熱のZEH住宅は、外気温の影響を受けにくく、室内の温度差が少ないことが特徴です。
冬でもお家全体が暖かく、夏は外の暑さをしっかり遮断するため、冷暖房効率もアップ。
お部屋ごとの温度差が少ないので、ヒートショックなどの健康リスクを減らすことができ、高齢者やお子さんにも安心です。
また、気密性が高いことで室内の空気環境を整えやすく、ホコリや花粉などの侵入を抑える効果も期待できます。

 

ZEH住宅と一般住宅のイニシャルコスト

ZEH住宅の基準と種類

ZEH住宅を名乗るには、以下の4つの基準をクリアする必要があります。

1)強化外皮基準(地域ごとの断熱性能UA値基準)
2)再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の削減
3)太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入
4)1~3により、年間の一次エネルギー消費量の収支を100%以上削減

 

また、ZEH基準に近いけれど再生可能エネルギーが不十分な場合などは、以下のような段階的な種類があります。

Nearly ZEH:75~100%未満のエネルギー削減
ZEH Ready:50~75%未満のエネルギー削減
ZEH Oriented:創エネ設備はないが、断熱・省エネ性能はZEH基準

 

さらに、ZEH基準を超えるZEH+(ゼッチ・プラス)では、外皮性能のさらなる強化や高度エネルギーマネジメント(HEMS)による住宅設備の制御、電気自動車活用のための設備(V2Hなど)の設置が推奨されています。

 

ZEH+強化外皮基準

補助金制度と初期投資の回収

ZEH(ゼッチ)住宅の建築には、断熱材や高性能設備、太陽光発電システムなどの初期投資が必要です。
しかし、国や自治体はZEHの普及を強力に支援しており、補助金制度を利用することで、初期費用の負担を軽減できます。

 

2024年の調査によると、太陽光発電システムの設置費用は、5kWのシステムで約131万円が相場となっています。
一方、4人家族の年間電気代の平均は約14万円とされています。
これらのデータを基に試算すると、太陽光発電システムの初期投資は、補助金と自家消費、売電収入を組み合わせることで、約9〜10年で回収できる計算です。
太陽光パネルの耐用年数は30年以上の製品が多く、長期的な視点では費用対効果は高まります。

売電価格の動向と将来的なメリット

太陽光発電の売電価格は年々低下傾向にあり、2025年度の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり15円と設定されています。
しかし、2025年10月以降の新規契約者に対しては、新たなFIT(固定価格買取制度)が導入される予定です。
この新制度では、最初の4年間は売電価格が1kWhあたり24円に引き上げられ、5年目~10年目は8.3円となる2段階の買取価格が適用されます。
この当初4年間の売電価格引き上げは、太陽光発電システム導入時の初期投資回収を早めることを目的としています。
より早い段階で投資額の一部を回収できるため、導入へのハードルが下がることが期待されます。
一方で、10年間の固定価格買取期間が終了した後は、現在の卒FIT価格と同様に、売電価格は市場価格に基づいて下がることが予想されます。

「自家消費」の重要性とZEHの価値

これからのZEH住宅においては、売電収入に頼るよりも「自家消費」を最大限に高めることが非常に重要になります。
発電した電気をいかに自宅で消費するかが、経済的なメリットを享受するための鍵となります。
余剰電力を売電するスタイルは継続しつつも、蓄電池の導入などで自家消費率を高める動きは、今後ますます加速していくでしょう。
ZEH住宅は、初期費用の増加やメンテナンス費用などによりコストが高くなると思われがちですが、月々の光熱費削減効果や補助金、そして将来的な電気代高騰リスクの回避といったメリットを総合的に考慮すると、長く使うほどむしろ経済的なメリットを享受できます。
電気代も年々上昇傾向にある中で、ご自宅で発電・消費できるZEH住宅の価値は、今後ますます高まっていくでしょう。

 

屋根の太陽光パネル

まとめ

ZEH(ゼッチ)住宅は、創エネ・省エネ・断熱による光熱費削減や環境への配慮だけでなく、お住まいの快適性や災害時の安心まで備えた新しい住宅の形です。
初期費用はやや高めに感じるかもしれませんが、補助金制度の活用や長期的な光熱費の削減効果を考えると、むしろコスパの良い選択肢となる可能性があります。
健康面や住み心地の向上も含めて、ぜひご家族の未来を見据えて、ZEH住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
ライフスタイルの変化や新たな価値観に合うお住まいとして、ZEHはこれからの暮らしを豊かに支えてくれるでしょう。