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2026.02.25
横浜市金沢区の家づくり
スタッフブログ

横浜で擁壁のある土地は本当に避けるべき?がけ条例の不安を解消する土地選びの判断基準

横浜で擁壁のある土地は本当に避けるべき?がけ条例の不安を解消する土地選びの判断基準

横浜エリアでの家づくりを検討される際、多くの方が直面するのが「坂道」や「高低差」のある土地です。
魅力的な眺望や日当たりが得られる一方で、敷地内に段差を解消するための「擁壁(ようへき)」があったり、横浜市特有の「がけ条例」の対象になっていたりする土地も少なくありません。
「なんだか難しそう…」「自分には判断できないかも…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
ですが、ポイントさえ押さえれば、擁壁や条例は決して怖い存在ではありません。
今回は、横浜で土地を探す際に知っておきたい擁壁の基礎知識と、購入前に確認すべき判断基準についてわかりやすく解説します。

 

【この記事のポイント】

  • 横浜の土地でよく見かける「擁壁」の種類と、一般の方でもできる劣化チェック方法がわかります。
  • 建築費用に大きく影響する「がけ条例」の内容と、現実的な対処法を解説します。
  • 相場より安い土地に隠れがちな「擁壁の追加費用」を踏まえた、後悔しない予算計画が立てられます。
  • 傾斜地だからこそ叶う、開放感のある家づくりアイデアをご紹介します。

擁壁(ようへき)とは?横浜の土地探しで避けては通れない基礎知識

横浜は丘陵地が多く、平らな土地を確保するために斜面を切り開いて造成された住宅地がたくさんあります。
こうした土地で、土が崩れないように斜面を固定している壁状の構造物が「擁壁」です。
まずは、横浜で家を建てるなら必ず知っておきたい擁壁の役割と種類について整理しましょう。

擁壁の役割と種類

擁壁は、高低差のある土地で土砂崩れを防ぎ、建物の安全を守るための壁状の構造物です。横浜市内を歩くと、さまざまな種類の擁壁を目にすることができますが、大きく分けると、近年主流の「鉄筋コンクリート造」と、昔ながらの「石積み」や「ブロック積み」などがあります。

1. 鉄筋コンクリート擁壁(RC擁壁)

現在、宅地造成で最も推奨されているタイプです。
鉄筋とコンクリートを組み合わせて作られており、L字型や逆T字型などの形状があります。
強度が高く、安全性に優れているのが特徴です。

2. 石積み擁壁・ブロック擁壁

古い住宅地でよく見かける擁壁タイプ

間知石(けんちいし)積み
四角錐のような形をした石を積み上げたもの。
大谷石(おおやいし)積み
柔らかく加工しやすい石を積んだものですが、風化しやすいため注意が必要です。
コンクリートブロック積み
一般的なブロック塀のような見た目のもの。土留め(擁壁)としての強度が不足しているケースが多々あります。

※これらの古いタイプの擁壁は、施工された年代によっては現在の建築基準法に適合していない(既存不適格)可能性があるため、購入前に専門家によるチェックが欠かせません。

💡家づくりミニ知識:既存不適格(きそんふてきかく)とは?

家を建てた当時は法律を守っていたものの、その後の法改正によって、現在の法律の基準を満たさなくなってしまった建物のこと。
擁壁にも多く見られ、そのまますぐに違法となるわけではありませんが、建て替えや増築の際に、今の基準に合わせて作り直しや補強が必要になることがあります。

横浜市建築基準条例(がけ条例)の基本

がけ崩れによる建物の倒壊や居住者への被害を防ぐために、敷地が「がけ(30度を超える傾斜地)」に面している場合の建築制限を定めたルールを「がけ条例」といいます。
全国の多くの自治体で制定されていますが、横浜市の場合、「横浜市建築基準条例」によって独自の基準が設けられており、「高さ3メートルを超えるがけ」が規制の対象となります(※一般的な自治体では2メートル以上とするケースが多いです)。

 

具体的には、対象となるがけの上、またはがけの下に家を建てる際、「がけから一定の距離(がけの高さの2倍など)を離して建てる」か、それができない場合は「安全な擁壁を設置する」などの対策が義務付けられています。
横浜は地形的に「がけ条例」の対象となる土地が非常に多いため、気に入った土地がこのエリアに含まれているかどうかは、予算を組む上で必ず確認すべきポイントです。

 

参考リンク:横浜市|横浜市建築基準条例及び同解説

関連記事:用途地域とは何かをわかりやすく解説!土地探しで知っておきたい種類と基礎知識

 

住宅街の道路沿いに連続して続く、高さ1.5メートルほどのコンクリートブロック擁壁。

擁壁のある土地(傾斜地)を選ぶメリット・デメリット

擁壁やがけ条例の基礎知識を知ると、「なんだか面倒くさそうだし、平らな土地のほうがいいのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、坂の多い横浜において、傾斜地は決して「避けるべき悪い土地」というだけではありません。
一見リスクに見える土地でも、捉え方によっては素晴らしい土地になるため、リスクと魅力、両面を深く理解した上で比較検討してみましょう。

傾斜地のデメリット

購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、まずはデメリットを直視することが大切です。
多くの方が気になるポイントは、やはり「コスト」と「日々の移動のしやすさ」です。

造成・補強費用がかかる
擁壁の安全性に問題がある場合、数百万円単位の補修工事や、最悪の場合は作り直し(再構築)が必要になります。
土地代が安く見えても、こうした「見えない工事費」を含めると予算オーバーになるケースがあるため、初期段階での厳密な資金計画が不可欠です。
建築制限がある
がけ条例の制限により、建物を配置できるエリアが狭くなったり、建物の重さを支えるために「深基礎(ふかぎそ)」や「杭打ち」といった特殊な基礎工事が必要になったりします。
一般的な規格住宅では対応できないことも多いため、設計力のある工務店選びが重要になります。
アプローチの負担
道路と敷地に高低差がある場合、玄関までに長い階段やスロープが必要となります。
毎日の買い物やゴミ出し、そして将来の老後生活を考えると、身体的な負担になることは否めません。

傾斜地のメリット

一方で、傾斜地ならではの「住環境の質の高さ」は、平坦地では得難い大きな魅力です。
ここを評価して、あえて傾斜地を選ぶ方も多くいらっしゃいます。

眺望と開放感
高台に位置することが多いため、視界が遠くまで開け、横浜の街並みや美しい夜景をリビングから楽しめる土地が多くあります。
「空が広い」「遠くが見える」というだけで、毎日の暮らしの精神的な満足度は大きく変わります。
日当たりと風通し
隣家と地盤の高さ(レベル)がずれるため、南側に家が建っていても日差しが遮られにくく、風もよく通ります。
横浜の蒸し暑い夏でも湿気がこもりにくく、カビ対策の面でも有利に働くことがあります。
プライバシーの確保
道路を行き交う人や隣家の窓と、視線の高さが合いません。
そのため、通行人を気にせずにカーテンを開け放って暮らすことができます。
ただし、上段の敷地からの視線が入る可能性があるため、「上からの目線」を遮る庇(ひさし)や窓の配置計画が設計のポイントになります。
価格の安さ
平坦できれいな整形地に比べて、坪単価が割安に設定されていることが一般的です。
浮いた土地代を、建物の断熱性能アップや、こだわりのウッドデッキなどの外構費用に回せるため、トータルの満足度が高い家づくりが可能になります。

 

関連記事:新築で日当たりが悪い土地でも後悔しない!吹き抜け・2階リビングなどの対策と明るい家の作り方

 

高台にある家のリビングの窓から見下ろす、住宅街の屋根が連なる横浜らしい眺望。

「この擁壁は大丈夫?」購入前にチェックしたい3つの判断ポイント

土地を見学に行った際、景色や広さだけでなく、擁壁の状態もしっかりと観察することが大切です。
もちろん最終的な判断は専門家に任せるべきですが、ご自身でも確認できるチェックポイントを知っておくと、土地選びの失敗を減らすことができます。

1. 「検査済証」があるか確認する

擁壁のある土地を購入する際、最も重要なのが「検査済証」の有無です。
これは、その擁壁が役所の検査を受け、法律の基準通りに正しく作られたことを証明する書類です。

確認書類内容と重要性
検査済証擁壁が法令に基づき安全に作られたことの証明書。これがあれば、法的に有効な擁壁として扱われる可能性が高まります。(※ただし、経年劣化の状態によっては補強を求められる場合もあります)
確認済証工事の計画段階で許可が下りた証明書。工事完了後の検査を受けていない可能性があるため、これだけでは不十分な場合があります。

古い擁壁の場合、この検査済証が残っていないケースが多々あります。
検査済証がないと、安全性が証明できないため、建て替えの際に再調査や補強工事、最悪の場合は作り直しが必要となり、数百万円単位の追加費用が発生する可能性があります。
住宅会社に必ず「この擁壁には検査済証がありますか?」と尋ねてみましょう。

2. 見た目でわかる劣化サイン(水抜き穴・ひび割れ)

現地で擁壁を見る際は、以下のポイントを目視でチェックしてみてください。

水抜き穴の状態
擁壁には、土の中の水分を逃がすための「水抜き穴」が等間隔で空いている必要があります。穴が詰まっていたり、そもそも空いていなかったりすると、雨の日に土の中の水圧が高まり、擁壁が崩れる原因になります。
ひび割れ(クラック)
大きなひび割れや、亀裂が入っていないか確認しましょう。ヘアクラックと呼ばれる髪の毛程度の細いひびなら軽微な場合もありますが、幅の広いひび割れは構造的な問題を示唆していることがあります。
はらみ(膨らみ)
擁壁の表面が、お腹が出ているように膨らんでいないか横から見てみましょう。膨らみがある場合は、土圧に耐え切れず倒壊するリスクがあります。

3. 二段擁壁(多段擁壁)になっていないか

二段擁壁とは、もともとあった擁壁の上に、ブロックなどを積み増して高さを出した状態のことです。
下の擁壁と上の擁壁の構造が一体化していないため、地震などで崩れやすく非常に危険です。
横浜市でも原則として認められていない構造ですので、このような土地を見つけた場合は、購入前に必ず工務店や建築士に相談することをおすすめします。

 

関連記事:地震に強い家の特徴とは?耐震・制振・免震構造の違いもご紹介します

 

コンクリート擁壁に設置された水抜き穴(塩ビパイプ)の拡大写真。

安い土地には理由がある?擁壁のやり直し工事と費用の目安

「相場よりも安くて広い土地が見つかった!」と喜んで購入したものの、実は擁壁の工事が必要で、トータルコストが予算を大幅にオーバーしてしまった……というのは、横浜の土地探しでよくある失敗事例です。
土地の価格だけでなく、造成にかかる費用も含めて検討することが大切です。

擁壁工事にかかる費用の目安

擁壁の工事費は、「本体工事費(材料と手間)」に「現場ごとの特殊事情(撤去や運搬)」が加算される仕組みです。
ここでは、現在主流となっている「鉄筋コンクリート造」で新しく作り直す場合の、ざっくりとした計算をご紹介します。

1. 基本となる「本体工事費」の目安

これは、重機が問題なく入り、何もない更地に新しく作る場合の基本価格です。

  • 高さ2m程度:長さ1メートルあたり 10万〜15万円 程度
  • 高さ3m程度:長さ1メートルあたり 15万〜20万円 程度

※昨今の資材高騰により、現場条件によってはこれらを大きく上回る場合があります

2. 横浜ならではの「追加費用」に注意

実際の現場では、上記の基本価格だけで済むことは稀です。
特に横浜の住宅地では、以下の費用がかさむ傾向にあります。

既存撤去費
古い擁壁を壊して廃棄する費用
小運搬費
道が狭く、大型重機が入れないために小型トラックで何度も往復したり、手作業が増えたりするための割増費用

条件が重なると、ケースによっては基本価格の1.5倍〜2倍ほどになることもあります。
「m単価×長さ」だけで予算を組まず、余裕を持った資金計画が必要です。

3. 地盤改良工事

擁壁のある土地は、斜面を平らにするために土を足した「盛土(もりど)」になっている可能性があります。
盛土は元の地盤に比べて軟弱な傾向にあり、逆に山を削った「切土(きりど)」であれば固い地盤であることが多いです。
どちらのタイプかによって地盤の強さが大きく変わるため、軟弱地盤だった場合、建物を支えるための地盤改良費用が別途100万円〜200万円程度かかる可能性があります。

💡家づくりミニ知識:安息角(あんそくかく)とは?

土砂を積み上げたときに、自然に安定して崩れない角度のこと。一般的には30度程度と言われています。
この角度よりも急な斜面を作る場合に、土留めとして擁壁が必要になります。
逆に、建物をこの安息角よりも下に配置する(深基礎など)ことで、擁壁を作り直さずに安全性を確保できる場合もあります。

トータルコストで判断することの重要性

土地代が安くても、擁壁工事や地盤改良費を含めると、結果的に相場よりも高くなってしまうことがあります。
逆に、土地代が高くても、しっかりとした擁壁があり検査済証も残っていれば、余計な工事費がかからず、トータルではお得になることがあります。
土地情報サイトの価格だけで判断せず、「この土地に家を建てるには、造成費がいくらかかるのか?」という視点を持つことが重要です。
そのためには、土地の契約前に、家を建てるパートナーである工務店に現地を見てもらい、概算見積もりを出してもらうのが一番の近道です。

 

関連記事:マイホーム購入前に必読!後悔しない予算の決め方と諸費用のすべて

 

住宅地で行われている造成工事の様子。重機を使って傾斜地を整備している現場。

がけ条例があっても理想の家は建つ!工務店と考える解決策

「擁壁のやり直しに数百万円もかかるなら、予算オーバーで諦めるしかない……」
費用の目安を知って、そう肩を落とされた方もいるかもしれません。
ですが、すべてのケースで「擁壁を作り直さなければ家が建たない」わけではありません。
土地の状況によっては、建築側の工夫でコストを抑えつつ、法規制をクリアできるケースもあります。
工務店だからこそ提案できる、具体的な解決策を見ていきましょう。

1. 擁壁に頼らない「深基礎(ふかぎそ)」や「杭打ち」

古い擁壁がある場合でも、建物の重さを擁壁にかけない設計にすることで、擁壁のやり直しを回避できることがあります。
具体的には、基礎の一部を深く伸ばして擁壁の下にある固い地盤まで到達させる「深基礎」や、長い「杭(くい)」を打って建物を支える工法です。
これにより、がけ条例の規制をクリアしつつ、擁壁工事よりもコストを抑えられる可能性があります。

2. 建物を守る「待受け擁壁」としてのRC造

がけの下に家を建てる場合、万が一のがけ崩れに備えて、建物自体を頑丈にするという考え方があります。
建物の基礎を高くして鉄筋コンクリート造(RC造)で壁を強化し、土砂を受け止める「待受け擁壁(まちうけようへき)」と一体化した建物にする方法です。
これにより、安全性を確保しながら居住スペースを最大限に活用できます。

3. 傾斜地を活かす「地下車庫」や「スキップフロア」

高低差を「邪魔なもの」ではなく「個性」として活かすプランニングも人気です。

地下車庫(ビルトインガレージ)
道路との高低差を利用して、掘り込み式の車庫を作る方法です。
雨に濡れずに車から家に入ることができ、土地を有効活用できます。
スキップフロア
室内の床の高さに変化をつける設計です。
傾斜地の形状に合わせてフロアを配置することで、無理な造成工事を減らしつつ、視線が抜ける開放的でおしゃれな空間を作ることができます。

こうした特殊な設計や構造計算は、規格住宅では対応が難しいことが多いですが、自由設計の工務店であれば、土地の個性に合わせた柔軟な提案が可能です。

 

関連記事:旗竿地でも理想のマイホームは叶う!後悔しない家づくりと間取りの工夫

 

傾斜地を活かしたスキップフロア設計。高低差のある空間に光が差し込む開放的なリビング。

擁壁・がけ条例に関するよくある質問|Q&A

最後に、横浜で土地探しをしているお客様からよくいただくご質問をまとめました。

Q. 隣の敷地の擁壁が古くて崩れそうなのですが、どうすればいいですか?
A. 原則として、擁壁の所有者(隣地の方)に管理責任があります。
まずは不動産会社を通じて所有者に状況を伝え、補修をお願いすることになります。
ただし、相手に修繕費用がない場合など、トラブルに発展するケースも少なくありません。
購入前に「隣地の擁壁リスク」も含めて工務店にチェックしてもらうのが賢明です。
Q. 高さ2m以下の擁壁なら、がけ条例の心配はないのですか?
A. 横浜市の場合、がけ条例の対象外(高さ3m以下)であっても注意が必要です。
2mを超える擁壁を作る場合は「工作物確認申請」が必要ですし、2m以下であっても安全性が確認できない擁壁の上に家を建てることはリスクが伴います。
条例の対象外=何もしなくて良い、というわけではありません。
Q. 擁壁の寿命(耐用年数)はどれくらいですか?
A. 鉄筋コンクリート造で約50年と言われています。
ただし、水抜き穴の状態や施工精度によって大きく変わります。
30年も経てばメンテナンスが必要になるケースが多いため、中古物件や古家付き土地を買う際は、擁壁が作られた年代を確認することが大切です。

 

関連記事:注文住宅で絶対に後悔したくない方へ!ハウスメーカーと工務店の本質的な違いと賢い選び方

 

机の上に広げられた敷地図面と電卓。工務店によるプランニングと確認作業の様子。

まとめ|SUMMARY

横浜での家づくりでは、坂道や擁壁と向き合う場面も多くありますが、必要以上に恐れる必要はありません。
大切なのは、土地の見た目の安さや広さだけに惑わされず、目に見えない「造成リスク」や「法規制」まで見越して判断することです。
たとえ難しい条件の土地であっても、正しい知識と設計の工夫があれば、そこは眺望と開放感に満ちた素晴らしい住まいへと変わる可能性があります。

 

横浜で気になる土地が見つかったら、契約を決める前に、ぜひ私たち大栄建設にご相談ください。
建築のプロとしての視点で、その土地の安全性や将来のコストまで丁寧に確認し、お客様にとって納得できる選択ができるようサポートいたします。
安全で後悔のない土地選びから、理想の横浜ライフを一緒に叶えていきましょう。