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2025.05.30
スタッフブログ
自然素材・健康住宅

杉と桧、建材に選ぶならどっち?特徴・メリット・デメリットを徹底比較

杉と桧、建材に選ぶならどっち?特徴・メリット・デメリットを徹底比較

お家づくりやリフォームを考える際、内装や構造材に自然素材を取り入れたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
その中でも、国産の「杉(すぎ)」と「桧(ひのき)」は代表的な無垢材として、根強い人気を誇ります。
それぞれが異なる特徴と魅力を持っており、「どちらが正解」というものではありません。
今回は、杉と桧を建材として選ぶ際の特徴・メリット・デメリットを徹底比較します。

杉と桧を建材として使うメリットとデメリット

杉の特徴

杉(すぎ)は、日本各地に広く分布し、建材として最も多く使われている樹種のひとつです。
杉は柔らかく軽量で、扱いやすいため、柱・床・天井・外壁など幅広い用途で利用されます。
温かみのある色合いとまっすぐな木目で、どんなインテリアにも馴染みやすいことが特徴です。

杉のメリット

価格が手頃:国産材の中でも流通量が多く、コストを抑えやすい素材です。
断熱性・調湿性に優れる:空気を多く含む構造のため、冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を保ちます。
香りの癒し効果:杉特有の香りが、お家全体に自然な安らぎを与えます。

杉のデメリット

傷がつきやすい:柔らかさゆえに、日常の生活で傷やへこみが目立つことがあります。
色変化しやすい:日光や湿気の影響で、経年変化が目立ちやすいのが難点です。
反りや割れが起こる場合も:湿度変化によって、変形することがあります。

桧(檜)の特徴

桧(ひのき)は、日本古来より高級木材として神社仏閣や重要文化財に使用されてきました。
桧は耐久性・防虫性に優れ、優雅な香りと緻密で美しい白木の風合いが魅力です。
年月を経ることで飴色に変化して独特の美しさが増していきます。

桧(檜)のメリット

耐久性に優れる:構造材として長年安心して使える強度を誇ります。
抗菌・防虫効果:カビや虫を寄せ付けにくく、衛生面に優れます。
香りによるリラックス効果:桧の香りにはフィトンチッドと呼ばれる成分が含まれ、森林浴のような癒し効果が得られます。

桧(檜)のデメリット

価格が高め:希少性があり、杉に比べると費用は高めです。
加工の難しさ:密度が高く硬めの木質のため、熟練の加工技術が必要です。
汚れやすい:明るい木肌のため、手垢や汚れが目立ちやすい一面もあります。

 

桧・檜・ヒノキ・ひのき

建材として選ぶならどっち?価格・健康面・快適さの比較

お家づくりやリフォームで杉と桧のどちらを建材に選ぶかは、価格だけでなく健康や快適性の観点からも検討することが重要です。
ここでは、価格帯やコスト感、香りによる健康面への影響、そして快適な住環境づくりに役立つ特長をまとめて比較します。

価格帯とコスト感の比較

杉材の価格感

杉は流通量が多く比較的手頃な価格帯で購入しやすいのが特徴です。
柔らかく加工がしやすいため、施工コストも抑えられる傾向があります。
初期費用を抑えつつ、自然素材を取り入れたい方に向いています。

桧材の価格感

桧は高級材としての価値があり、杉よりも価格は高めです。
耐久性や防腐性に優れ長持ちするため、長期的な視点でのコストパフォーマンスの高さが評価されます。
そのため、構造材としての信頼性では桧の方が優れています。

杉・桧の香りや健康面への影響

杉の香り

杉の香りは爽やかでリラックス効果があり、森林浴に似た安らぎをもたらすことが知られています。
香り成分には抗菌作用もあり、空気環境の改善にも役立つとされます。
安眠効果にもつながるため、ストレス軽減や心身のリフレッシュに役立ちます。

桧の香り

桧の香りは杉よりもやや強く、リフレッシュ効果が高いと言われています。
抗菌・防虫効果が強く、ダニやカビの発生を抑制する働きもあります。
アレルギーや喘息の緩和に良いという研究もあり、健康面に配慮した素材として人気です。

快適な住環境づくりへの貢献

杉の特長

軽量で断熱性に優れており、調湿効果も高いことから、四季を通じて快適な室内環境を作りやすい木材です。
柔らかく温かみのある木肌は、ご家族がくつろげる空間づくりにぴったりです。

桧の特長

耐久性と防腐性の高さから、長期にわたって美しい状態を維持できます。
爽やかな香りとともに清潔感のある空間を実現し、健康的な暮らしを支えます。

 

木造工法・在来工法

住宅における杉と桧の活用例

杉と桧は、日本の住宅で古くから親しまれてきた無垢材で、それぞれの特性を活かした多彩な使い方があります。
ここでは、構造材や内装材としての具体的な活用例をご紹介します。

杉の活用例

構造材としての利用

杉は軽量で柔らかく加工しやすいため、柱や梁として用いられます。
特に2階部分の床材や天井材に使うことで、建物の総重量を軽減し、耐震性を高める効果が期待できます。
また、木材の中でも特に断熱性や調湿性に優れているため、日本の気候風土に適しています。

内装材としての利用

杉の温かみのある木目と淡い赤みがかった色合いは、洋風建築の内装に自然な温もりを加えるため人気を集めています。
柔らかな手触りと自然な香りは、裸足で過ごすリビングや寝室の床材に最適で、ご家族がくつろぐ空間を演出します。
また、杉材は加工がしやすいため、曲線を生かしたデザインや造作家具にも多用されます。

その他の利用

玄関の土間床やウッドデッキ、ベランダの床材にも杉が活用されます。
屋外での使用には、適切な防腐・防蟻処理が必須ですが、杉の心材(赤身材)は辺材に比べて耐久性や耐水性が高く、適切にメンテナンスを行えば美しい風合いを保ちながら長く使用できます。

桧の活用例

構造材としての利用

桧は耐久性と防腐性が非常に高いため、特に土台や基礎に近い部分の柱や梁に適しています。
湿気や虫害に強く、建物の耐久性向上に寄与します。
歴史的な神社仏閣でも多用されてきたことから、その信頼性の高さがうかがえます。

内装材としての利用

桧は白っぽい明るい色合いと緻密な木目が特徴で、床材や天井材、壁材に使用することで、清潔感だけでなく、高級感も演出します。
特に浴室や洗面所などの湿気が多い場所にもよく用いられるのは、桧が持つ高い抗菌性によるものです。
これは、桧に含まれる「ヒノキチオール」という成分によるもので、菌の繁殖を抑え、衛生面での安心感を高めます。

造作材・家具としての利用

桧はその硬さと美しい仕上がりから、キッチンカウンターやテーブル、収納家具といった造作材としても非常に適しています。
また、桧特有の強い香りには空気を清浄にする効果があるだけでなく、リラックス効果やストレス緩和など、アロマテラピーのような効果も期待でき、室内の環境の質向上に大きく寄与します。

 

木造建築(屋根)

杉と桧の違いを比較表でチェック!

比較項目 杉(すぎ) 桧(ひのき)
価格 ◎ 手頃で入手しやすく、コストを抑えやすい △ 高級材のため価格は高め
加工性 ◎ 柔らかく加工しやすい △ 硬めで熟練した技術が必要
香り ○ やさしく爽やかな香りでリラックス効果あり ◎ 芳香が強めで森林浴のような癒しをもたらす
耐久性 △ 比較的やわらかく、傷がつきやすい ◎ 高耐久で長寿命、構造材に適している
防虫・抗菌性 ○ ある程度の効果あり ◎ ヒノキチオール成分により防虫・抗菌性が高い
見た目 赤みを帯びた温かみある色合いと直線的な木目 明るく白っぽい色調と緻密な木目で高級感がある
調湿・断熱性 ◎ 高い調湿性と断熱性で快適な住環境を保てる ○ 調湿性はあるが、杉ほどではない
経年変化 △ 色変化が目立ちやすい ○ 飴色に変わり、風合いが増す
おすすめ用途 床材・内装材・梁・DIY・軽量な構造材 土台・柱・浴室・天井・家具などの長期使用部分

 

 

杉と桧のメンテナンスとお手入れ方法

杉と桧はどちらも無垢材のため、自然の風合いを長く楽しむには丁寧なお手入れが欠かせません。
以下の点に注意しましょう。

・日常のお掃除はこまめに

掃除機や柔らかい布で埃を取り除き、乾拭きで汚れを軽減します。湿気がこもらないよう換気も忘れずに行いましょう。

・水拭きは控えめに

無垢材は水に弱いため、濡れた布での拭き掃除は最小限にし、拭いた後はすぐに乾いた布で水気を取り除きます。

・汚れやシミは早めに対応

食べこぼしや汚れが付いた場合は速やかに拭き取ることが大切です。強い洗剤の使用は避け、木材用の中性クリーナーを使うと安心です。

・傷の補修には研磨とオイル塗布を

小さな傷は細かいサンドペーパーで軽く研磨し、木材用のオイルやワックスを塗ると元の風合いが蘇ります。
オイルは木の乾燥を防ぎ、保護効果があります。

・定期的なメンテナンスで長持ち

年に1〜2回を目安に、自然由来の木材用ワックスやオイルを塗布し、木材の保護と美観維持を行いましょう。

・湿度管理をしっかりと

過度の湿気や結露はカビや変色の原因になります。適度な換気や除湿を心掛け、お家の空気環境を整えましょう。

杉材のお手入れポイント

杉は柔らかく軽量なため、傷つきやすい特徴があります。
特に傷の補修や日々の優しいお掃除が重要です。
ワックスやオイルの塗布で風合いを保ち、湿度管理でカビを防止しましょう。

桧材のお手入れポイント

桧は硬く耐久性に優れ、白木の美しい風合いが魅力です。
水拭きは控えめにし、汚れは早めに拭き取りましょう。
年月と共に色味が変わる経年変化も楽しみながら、定期的なオイルメンテナンスで保護してください。

 

打ち合わせをする作業着姿の女性設計士

環境へのやさしさとサステナビリティ

近年、持続可能な社会の実現に向けて「環境配慮型素材」としての杉・桧の価値がますます注目されています。
これらの木材は、自然環境を守りながら快適な住まいづくりに貢献できる素材として、多くの方に選ばれています。

国産材の活用による森林保全

杉や桧は、日本国内の森林で育った国産材です。
日本の森林は国土の約7割を占めていますが、これらの森林を適切に管理しながら伐採することで、木材資源の持続的な循環が可能となります。
計画的な間伐や植林を行うことで森林の健康を保ち、土壌の流出防止や生物多様性の維持にも繋がります。
こうした持続可能な森林管理は、地域の雇用や伝統産業の支援にも寄与し、地域社会の活性化にも貢献します。

カーボンニュートラルな建材としての貢献

木材は成長過程で大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、炭素を固定する役割を果たします。
杉や桧をはじめとした無垢材は、製材され建材として使用された後も炭素を長期間にわたり貯蔵し続けるため、環境負荷の低減に寄与します。
さらに、鉄やコンクリートなどの建材と比較すると、製造過程でのCO₂排出量が大幅に少ないことも大きな特徴です。
このため、木材を建材として使用することは、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた重要な選択肢とされています。
また、木材の廃棄物はリサイクルやバイオマス燃料として再利用されることが多く、循環型社会の構築にも貢献しています。
持続可能な素材としての杉と桧は、未来の世代に豊かな自然環境を残すための大切な資源です。

 

省エネルギー

杉・桧に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 子どもやペットがいる家庭には、杉と桧どちらが向いていますか?

A:杉がおすすめです。
杉は柔らかく温かみのある木肌で、万が一転んでも衝撃を和らげてくれます。
また、断熱性・調湿性にも優れているため、四季を通して快適な空間を保ちやすく、特に床材として人気があります。
ただし、柔らかいがゆえに傷がつきやすい点には注意が必要です。
日常的な傷を気にされる場合は、部分的にラグやマットの使用を検討するのも良いでしょう。

 

Q2. 桧の床材は洗面所や脱衣所に使っても大丈夫?

A:はい、適しています。
桧には高い抗菌性・防虫性があり、水回りでもカビや腐敗のリスクを軽減できます。
これは、桧に含まれる「ヒノキチオール」という天然成分によるものです。
また、桧の香りにはリラックス効果もあり、浴室を「癒しの空間」として演出したい方にもおすすめです。
ただし、換気を適切に行い、水滴を拭き取るなどの日常的なケアは引き続き重要です。

 

Q3. 杉や桧の香りはシックハウス症候群の原因になりますか?

A:基本的にはなりません。
杉や桧の香りに含まれる天然成分(フィトンチッドなど)は、抗菌作用やリラックス効果があり、多くの場合で健康的に働きます。
ただし、香りに敏感な方やアレルギー体質の方は、ごく稀に反応が出る可能性もございますので、事前にサンプル材などで香りを確認するのが安心です。

 

Q4. メンテナンスはどちらが楽ですか?

A:桧のほうがややメンテナンス性に優れています。
桧は耐久性が高く、虫害やカビにも強いため、過酷な環境でも長期間美観を保ちやすい素材です。
一方、杉は柔らかいため傷つきやすく、定期的なオイルやワックスによるメンテナンスが欠かせません。
このメンテナンスを通じて、杉ならではの美しい経年変化を楽しむこともできます。

 

Q5. リフォーム時におすすめなのはどちら?

A:杉のほうがリフォーム向きと言えます。
杉は軽量で加工しやすく、既存の住宅にも比較的容易に取り入れられる特徴があります。
既存の構造への負担が少ないため、大規模な改修を伴わないリフォームにも適しています。
費用を抑えつつ、自然素材の魅力を取り入れたい方には最適な選択肢です。

 

リビング・階段・自然素材

まとめ

杉と桧は、日本の気候風土に適した国産の無垢材として、長年にわたり多くのお家づくりに選ばれてきました。
それぞれに異なる特徴と魅力があり、どちらが「優れている」というよりも、用途やお好みに合わせた「最適な選択」をすることができます。
自然素材とともに暮らすことで、ご家族の毎日がより快適で豊かなものになります。
杉と桧の特性を踏まえ、ご自身やご家族の暮らしに合った建材選びの一助として、ぜひ今回の内容をご活用ください。