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2025.07.13
スタッフブログ
自然素材・健康住宅

カビが生えない家の条件とは?家族の健康を守るために必要な3つの基本対策

カビが生えない家の条件とは?家族の健康を守るために必要な3つの基本対策

じめじめとした季節になると、気になることがカビの発生です。
特に日本は高温多湿な気候のため、お家の中でカビに悩まされている方も多いのではないでしょうか。
カビは見た目が不快なだけでなく、アレルギーや喘息などの原因となることもあり、ご家族の健康を守る上で看過できない問題です。
「カビが生えない家なんて無理!」と思われがちですが、実はちょっとした工夫と対策で、そのリスクを大幅に減らすことができます。
今回は、カビの発生を抑え、ご家族が健康に暮らせるお住まいを実現するための3つの基本的な対策を具体的な方法を交えながらご紹介します。
今日からできることを始めて、カビ知らずの快適なお家を目指しましょう。

カビがもたらす健康リスク

カビは、見た目の不快さだけでなく、私たちの健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
特に、小さなお子様や高齢者、アレルギー体質の方、免疫力の低い方は注意が必要です。
カビの胞子や代謝物が空気中に浮遊し、それを吸い込むことで、以下のような様々な健康被害を引き起こすことがあります。

 

アレルギー症状:
最も一般的な健康被害で、鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)、結膜炎(目の痒み、充血)、気管支喘息(咳、息苦しさ)、アトピー性皮膚炎の悪化などが挙げられます。
特に気管支喘息は、カビの胞子が気道に入り込むことで発作を誘発するケースが多く報告されています。

 

過敏性肺炎:
カビの胞子を継続的に吸い込むことで、肺に炎症が起きる病気です。
咳、息切れ、発熱などの症状が現れ、進行すると肺機能の低下を招くこともあります。

 

感染症:
免疫力が低下している場合などに、カビが直接体内に侵入し、感染症(真菌症)を引き起こすことがあります。
皮膚の感染症(水虫など)だけでなく、稀に肺や脳など内臓に感染し、重篤な状態に至るケースもあります。

 

シックハウス症候群:
カビが放出する揮発性有機化合物(VOC)が、頭痛、めまい、吐き気などのシックハウス症候群の症状を引き起こす一因となることも指摘されています。

 

このように、カビは単なる「汚れ」ではなく、ご家族の健康を脅かす潜在的なリスクとして認識し、積極的に対策を講じることが非常に重要です。

関連情報:住宅の空気質を向上させるために知っておきたいVOCの影響と対策

 

マスクをして体調の悪そうな女性

カビに悩まされやすい場所とは?

カビは、特定の環境条件が揃った場所で急激に繁殖する傾向があります。
そのため、湿気が多く、風通しが悪く、埃や汚れが溜まりやすい場所には注意が必要です。
たとえば、浴室や脱衣所、洗面所などの水まわりは、湿気がこもりやすいため、換気扇や断熱性の高い建材の導入が重要です。
また、冷蔵庫の背面、ベッドの裏側、クローゼットや押入れ内部などの日常的に見えにくい場所もカビの温床になりがちです。
通気口がない密閉空間では、湿気が滞留しやすく、気付かないうちにカビが繁殖してしまうことがあります。
このような場所では、定期的な換気や除湿、お掃除を意識することが、カビ予防の第一歩となります。

もしかしてカビ?自宅でできる初期症状とセルフチェック

目に見えるカビだけでなく、私たちの健康に影響を及ぼすカビの多くは、気づかないうちに繁殖していくことがあります。
早期発見のためには、初期の兆候に注意し、定期的なセルフチェックが重要です。

カビ発生の初期症状とサイン

ツンとした臭い:閉め切ったお部屋やクローゼット、浴室、洗濯機の周りなどで感じるカビ独特の臭いは、すでにカビが繁殖しているサインです。
壁や天井などに黒や緑、白っぽい斑点:初期段階では小さな点ですが、放置すると広がっていきます。
壁紙やフローリングの変色、浮き:湿気による変色や、壁紙・フローリングの接着剤が剥がれて浮いてくる現象は、その裏側でカビが発生している可能性があります。
喉のイガイガや咳:寝室にカビが繁殖している場合、就寝中に胞子を吸い込み、このような症状が出ることがあります。
アレルギーのような症状:原因不明の鼻炎や皮膚の痒み、喘息の発作などが頻繁に起こる場合、室内のカビが原因である可能性を疑いましょう。

関連情報:気密性の高い家はカビが生える?健康・省エネ効果と知っておくべきポイント

 

花瓶が置かれた洗面所

カビが生えにくい家の特徴4選

風通しが良いこと

風通しの良いお家は、湿気や埃が溜まりにくく、カビが発生しにくくなります。
昔の日本家屋は風通しを重視した設計で、日本の高温多湿な気候に適応していました。
しかし、近年は気密性と断熱性を重視する住宅が増え、通気性が下がりがちです。
そこで重要となるのが、24時間換気システムの活用です。
法律で設置が義務付けられているこの設備をしっかり稼働させることで、室内の空気が滞留せず、湿度を効率よくコントロールできます。
定期的なフィルター清掃や風の流れを意識した家具配置も有効です。

関連情報:自然換気と機械換気の違いから見る、快適な住環境を実現する最適な換気方法

日当たりが良いこと

日当たりの良いお家は、自然と湿気がこもりにくくなり、カビの発生リスクが減少します。
特に太陽光の紫外線には殺菌効果があり、室内に光が差し込むことで、カビの繁殖を抑制する効果が期待できます。
日照時間が少ない間取りの場合でも、光を取り入れる工夫(反射素材の内装、高窓の設置など)をすることで、明るくカラっとした空間を保てるようになります。

関連情報:日当たりの悪い家は後悔してしまう?その理由を解説します! 

モノが少なく、掃除しやすい空間であること

カビの主な栄養源は埃や皮脂汚れなど、日常の汚れです。
モノが多いと隙間に埃が溜まりやすく、お掃除が行き届かなくなりがちです。
モノを最小限に抑えた空間は、お掃除のしやすさに直結します。
また、家具同士の隙間を意識的に空けることで通気性も向上し、湿気の滞留を防げます。
お家全体をスッキリと保つためには、収納計画が重要です。
収納スペースを適切な場所に確保し、日用品を効率よく管理することで、常に清潔で通気性の良い状態を維持できます。

関連情報:掃除がしやすい部屋にするためのポイントを解説します! 

断熱性・気密性が高いこと

カビの繁殖に欠かせない要素のひとつが「結露」です。
外気と内気の温度差が大きいと、窓や壁の内側に水滴が発生しやすくなり、これがカビの温床になります。
そこで有効なのが、高性能な断熱材や樹脂サッシ、Low-Eガラスなどを使った断熱設計です。
室内温度を一定に保つことで、結露の発生を抑え、カビのリスクを大きく減らすことができます。
また、気密性を高めることで外気の湿気の侵入や室内の温度ムラを防ぎ、より安定した環境を維持できます。

 

※参考:東京都福祉保健局『健康・快適居住環境の指針』では、カビの発生しやすい環境として「気温20〜35℃・湿度70%以上」と定義されています。

 

窓と換気

カビを防ぐための3つの基本対策

1. 湿度をコントロールする

カビ対策の中心は「湿度の管理」です。
湿度が70%を超えると、空気中にカビの胞子が飛び交いやすくなります。
24時間換気システムを正しく稼働させることはもちろん、窓の結露対策も重要です。
断熱性の高い窓を導入することで、外気の影響を最小限に抑えることができます。
また、梅雨や冬場の室内干し対策として、除湿器やサーキュレーターの活用も効果的です。

2. カビの栄養源を断つ

カビは、目に見えない汚れや皮脂、食べこぼし、埃などを養分として繁殖します。
そのため、定期的にお掃除をして、常に清潔な空間を保つことが重要です。
床はもちろん、壁や家具の裏、エアコンの内部、浴室など湿気が溜まりやすい場所は特に注意が必要です。
お掃除がしやすい間取りや素材選び(例:ホコリの溜まりにくい床材、掃除しやすいレンジフードなど)を取り入れると、日々のお掃除負担も軽減され、カビの発生を防ぎやすくなります。

3. 空気の流れを意識した住まい設計

空気の流れを意識した設計は、カビを防ぐためにとても重要です。
湿気は低い場所に溜まりやすいため、床下換気、軒裏換気、小屋裏の通気など、住宅全体で風の通り道を考慮することがポイントです。
開口部(窓やドア)の配置や、通気が確保できる収納内部の工夫も忘れてはいけません。
たとえば、押入れやクローゼットに換気口を設けたり、壁面に調湿建材を使用したりすることで、こもった湿気を逃がすことができます。

関連記事:24時間換気システムは必要?義務化された理由と効果や種類

 

エアコン

カビ対策を取り入れた住まいづくりの実例とアドバイス

カビ対策をしっかりと行った住まいづくりでは、設計段階から細かな工夫を積み重ねることが重要です。
ここでは具体的な実例とともに、代表的なアドバイスをご紹介します。

調湿機能を持つ壁材の活用

湿気がたまりやすい北側の寝室や廊下の壁に、漆喰や珪藻土、エコカラットなどの調湿効果のある内装材を採用するケースがあります。
調湿機能を持つ素材は湿気を吸収・放出する性質があり、室内の湿度を自然と調整してカビの発生を抑えてくれます。

浴室乾燥機の設置で湿気対策

浴室はカビが発生しやすい代表的な場所ですが、浴室乾燥機を使うことで湿気を素早く排出し、浴室内を乾燥状態に保てます。
また、洗濯物の室内干しにも対応できるため、梅雨時期や花粉シーズンの対策としても効果的です。

収納内部の換気改善

クローゼットや押入れなど、閉ざされた収納スペースは湿気がこもりやすく、カビの温床になりがちです。
収納スペース内に換気口を設けることで空気の循環を促し、湿気の滞留を防ぐことができます。

通気性の良い玄関土間収納

玄関の土間収納に風の通り道を作ることで、湿気がこもることを防ぎます。
換気扇や通気口を設けたり、扉の下に隙間を作るなど、空気が循環しやすい工夫が重要です。

設計全体で意識した空気の流れと掃除のしやすさ

見た目の美しさや機能性だけでなく、「空気が滞らない換気設計」や「埃が溜まりにくい間取り・素材選び」も大切です。
風の通り道を確保しつつ、お掃除のしやすい環境を整えることで、カビが発生しにくいお住まいが完成します。

関連情報:梅雨でもカラッと快適!湿気に強い家づくりのポイント

 

自然素材の漆喰壁と直物

まとめ

今回は、カビが生えにくいお家を実現するための基本対策についてご紹介しました。
カビは、湿度・養分・空気の停滞といった条件が揃うとどこにでも発生してしまいます。
そのため、カビが生えにくい環境を整えることが重要です。
ご家族の健康を守るためには、湿度管理、清潔な空間づくり、そして空気の流れを意識したお住まいづくりを意識することが大切です。
設計やリフォームの際には、ぜひカビ対策を基本に据えたお家づくりを心がけてみてください。