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2025.11.17
スタッフブログ
構造・安全性

その羽アリはシロアリ?クロアリ?見分け方と絶対やってはいけないNG行動3選・対処法

その羽アリはシロアリ?クロアリ?見分け方と絶対やってはいけないNG行動3選・対処法

【3秒チェック】胴体にくびれが無く、羽が前後同じ、触角が直線ならシロアリの可能性大。

 

春の訪れとともに、家の中で小さな羽アリを見つけて「もしかして、シロアリ…?」と、ヒヤッとした経験はありませんか。
そのたった1匹が、大切なお住まいに潜む危険のサインかもしれません。
「この羽アリ、何だろう…?」と思いつつも、どう対処すれば良いかわからず、そのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、シロアリ被害はどんな建物にも起こりうる、とても身近な問題です。
だからこそ、これからマイホームを建てるあなたにとって、正しい知識は“未来の家を守る第一歩”となるのです。
今回は、羽アリの簡単な見分け方から、万が一の時の正しい対処法、そしてこの機会に改めて考えたい「住まいの安心」について、やさしく解説します。
将来の家づくりを考えているあなたに、きっと役立つ情報です。

 

【この記事でわかること】

・写真を見なくてもわかる、羽アリの見分け方3つのポイント
・羽アリを見つけた時に絶対にしてはいけないNG行動と正しい応急処置
・放置は危険!プロが注目する床下のサインと被害の状況
・シロアリを徹底予防する3つの対策と保証の目安

※専門的には、虫のはねは「翅」と書きますが、分かりやすさを優先し「羽」表記で統一しています。

その羽アリはシロアリ?クロアリ?簡単な見分け方のポイント

お部屋で羽アリを見かけると、なんだか気持ち悪いし、「もしかして…」と不安になりますよね。
すぐに殺虫剤で退治したくなりますが、まずはその羽アリを確認することがとても大切です。
その羽アリが、大切なお住まいに影響のあるシロアリか、そうではないクロアリかによって、取るべき行動がまったく違ってくるのです。

そもそもシロアリとクロアリは全く違う生き物です

名前に「アリ」と付くので似た仲間と思われがちですが、シロアリはゴキブリに、クロアリはハチに近い昆虫で生態は全く異なります。
シロアリの主な食べ物は、家の柱や土台に使われる木材に含まれるセルロース。
つまり、建物の構造そのものを食べてしまいます。
湿った暗い場所を好み、人目につかない床下などで静かに活動を広げるため、発見が遅れると家に大きなダメージを与えてしまう厄介な存在です。
一方、クロアリは砂糖やお菓子、他の小さな虫などさまざまで、基本的に家の木材を食べることはありません。
ただ、家の中に巣を作って食べ物をあさったり、種類によっては人を咬んだりすることもあるため、不快な害虫であることに違いはありません。

家への危険度が全く違うからこそ、見た目での見分け方が重要になります。

見分けるポイントは6つ!より詳しくチェックしてみよう

シロアリとクロアリの羽アリには、見た目に分かりやすい違いがあります。
じっくり観察するのが難しい場合は、捕獲した1匹をティッシュなどの上で確認してみてください。

 

ポイント シロアリの羽アリ クロアリの羽アリ
①胴体 寸胴でくびれがない 腹部がキュッとくびれている
②羽の大きさ 4枚ともほぼ同じ大きさ 前の羽が後ろの羽より大きい
③触角の形 まっすぐで数珠(じゅず)のよう 「く」の字に折れ曲がっている
④羽の模様 模様が少なく、シンプル 網目模様(※翅脈)がはっきりしている
⑤羽の取れやすさ 非常に弱く、すぐに取れてしまう しっかり付いていて、取れにくい
⑥色 全体的に茶褐色が多い 黒や赤茶色など黒っぽい色

※翅脈(しみゃく):羽の中に見えるスジ模様

プロに相談する時のための「写真撮影のコツ」

もし専門家に相談することになった場合、写真があると非常にスムーズです。
焦らず、以下のポイントを参考に撮影してみてください。

 

大きさがわかるように:定規や1円玉などを隣に置いて撮影すると、専門家が大きさを把握しやすくなります。
ピントと光を意識して:スマートフォンのマクロ(接写)モードを使い、明るい場所で撮影しましょう。特に羽の形や胴体のくびれが分かる角度から撮るのがおすすめです。
証拠として保管:可能であれば、捕獲した羽アリを数匹、日付と発生場所をメモしてビニール袋などに入れて保管しておくと、より正確な判断材料になります。

羽アリの発生時期と場所にもヒントが隠されています

もし姿を直接確認できなくても、いつ、どこで見たかによって、ある程度の推測が可能です。
ただし、発生時期は地域やその年の気候によって前後するため、あくまで目安として考えてください。

ヤマトシロアリ

発生時期:4月~5月頃の、暖かく湿度の高い日の昼間。
特徴:お風呂場や脱衣所、玄関のたたき、キッチンなど、湿気が多くて暗い場所から発生することが多いです。

イエシロアリ

発生時期:6月~7月頃の夕方から夜にかけて。蒸し暑い夜に光に集まる習性があります。
特徴:ヤマトシロアリよりも攻撃性が高く、建物全体に甚大な被害を及ぼすこともあるため、より注意が必要です。

アメリカカンザイシロアリ

発生時期:6月~9月頃と活動期間が長く、昼夜を問わず発生します。
特徴:名前の通り乾燥した木材(乾材)を好み、屋根裏の梁など、これまでシロアリ被害が少なかった場所でも発生します。被害の発見が難しい厄介な外来種です。

 

クロアリの羽アリも5月~10月頃まで広く見られます。
発生時期だけで「これはクロアリだ」と自己判断するのは禁物です。
必ず見た目の違いも合わせて確認するようにしましょう。

関連情報:知らないと後悔する木造住宅の湿気対策!プロが教える結露、カビを防いで家の寿命を延ばす方法

 

住宅の間取り図を見ながら、真剣な表情で工務店のスタッフに相談する若い夫婦

羽アリを見つけたら?絶対にやってはいけないNG行動と正しい対処法

もし、見つけた羽アリが「シロアリかもしれない」と思っても、焦りは禁物です。
良かれと思って取った行動が、かえって被害を深刻にしてしまうケースが少なくありません。
ここでは、「NG行動」と「やるべき正しい対処法」をセットで解説します。

まずは確認!絶対にやってはいけないNG行動3選

・市販の殺虫スプレーをむやみに噴射する

→ シロアリが危険を察知し、建物の奥深くへ逃げ込んで被害を広げる恐れがあります。

・羽アリが出てきた穴や隙間をふさぐ

→ 逃げ場を失ったシロアリが別の場所から侵入し、被害の発見を遅らせる原因になります。

・「まだ大丈夫だろう」と放置する

→ 被害は静かに進行し、家の耐震性や資産価値の低下、将来の高額な修繕費に繋がります。

不安を減らす!今すぐできる正しい対処法4ステップ

NG行動を理解した上で、次は何をすれば良いのでしょうか。
以下の4つのステップで、冷静に対処していきましょう。

ステップ1:まずは証拠を残す(写真撮影と比較)

前のセクションでご紹介した「写真撮影のコツ」を参考に、まずは落ち着いて写真を撮りましょう。
そして、見分け方チェック表と見比べて、シロアリの可能性が高いかどうかを確認します。

ステップ2:目の前の羽アリを応急処置で取り除く

殺虫剤は使わず、掃除機で吸い取るか、ガムテープなどでそっと捕獲するのが正解です。
掃除機で吸った場合は、中のゴミをすぐにビニール袋に入れて口を縛って捨てましょう。

ステップ3:地域の工務店やシロアリ専門業者へ無料点検を依頼する

シロアリの可能性が高い、または判断がつかず不安な場合は、迷わずプロに相談しましょう。
多くの専門業者や工務店では、無料の床下点検を行っています。
撮った写真をメールなどで送ると、より話がスムーズに進みます。

ステップ4:点検結果は必ず書面で受け取る

専門家の点検を受けたら、どのような状況で、どのような対策が必要なのか、必ず見積書などの書面で報告を受けましょう。
その場ですぐに契約を急がせるような業者には注意が必要です。
複数の業者から話を聞くのも良いでしょう。

関連情報:大手ハウスメーカーと工務店の違いとは?良い工務店の選び方もご紹介

 

玄関先で、安心した表情でスマートフォンで専門家に電話相談している女性

シロアリ被害は床下で静かに進行する。放置が招く本当のリスク

「まだ大丈夫だろう」という自己判断が、なぜ危険なのでしょうか。
その答えは、シロアリ被害の最大の特徴である「私たちの目に見えない場所で、静かに、しかし確実に進行する」という点にあります。
被害が手遅れになる前に、その危険なサインを知っておくことがとても大切です。
ここでは、放置が招く本当のリスクを、プロが注目する具体的なサインとリアルな費用目安から詳しく見ていきましょう。

プロが床下で注目する、危険が隠れた4つのサイン

ご自身で床下を確認するのは難しく危険なため、専門家に相談することが大切です。
専門家は、主に次のようなサインを見逃しません。

 

蟻道(ぎどう):泥で作られたシロアリ専用の通路。基礎コンクリートなどに泥の筋が付着していたら活動中のサインです。
木材の空洞音:柱や土台を叩いた時に「ポコポコ」と軽い音がする場合、内部が食べられ空洞になっている可能性があります。
食害された木材:実際に木材がボロボロになっていたり、湿っていたり、カビが生えていたりするのも危険なサインです。
羽アリの死骸や羽:床下や基礎の近くに、大量の羽アリの死骸や、抜け落ちた羽が散らばっているのは、近くに巣がある強力な証拠です。

放置するとどうなる?被害レベル別の修繕費用の目安

被害を放置した場合、駆除費用だけでなく、家の修繕費用も必要になります。
被害が広がるほど、費用は雪だるま式に増えていきます。

軽度な被害(駆除+簡易補修): 15万円~50万円

早期発見できた場合の費用感です。

中程度の被害(部分的な柱・土台の交換): 50万円~150万円

構造の一部に被害が及んでいる場合の費用感です。

深刻な被害(大規模な構造補修): 150万円以上

家の耐震性にも影響が及ぶような広範囲な被害の場合、数百万円に及ぶこともあります。

 

このように、シロアリ被害の放置は、家の耐震性を低下させ、資産価値を大きく損なうことに直結します。
早期の専門家による点検が、結果的に最も費用を抑える賢い選択と言えるでしょう。

関連情報:地震に強い家の特徴とは?耐震・制振・免震構造の違いもご紹介します

 

住宅の床下点検口から、懐中電灯で床下を照らして調査する専門家

未来の安心をつくる。新築時に確認すべきシロアリ対策4つのポイント

家を新しく建てる時こそ、根本からシロアリに強い家を実現する最大のチャンスです。
設計からお引き渡し後のことまで、将来の安心のために確認しておきたい4つの重要なポイントをご紹介します。

1. 【設計段階】湿気を寄せ付けない「基礎」と「換気」

シロアリ対策の基本は、床下に湿気をためないことです。
「ベタ基礎」の採用はもちろん、床下の空気がよどまないよう、どのような換気計画になっているかを設計段階で確認しておきましょう。

2. 【施工段階】確実な「防蟻処理」と将来のメンテナンス計画

地面から1mの高さまでの木材に行う防蟻処理は、法律でも定められた重要な工程です。
ただし、薬剤の効果は一般的に5年程度が保証期間の目安。
新築時に「将来の再処理や点検はどのくらいの周期で必要なのか」を工務店に確認しておくことが、長期的な安心につながります。

3. 【素材選び】適材適所の「強い木材」

土台など、特にシロアリのリスクが高い部分に、ヒノキやヒバといった耐蟻性の高い木材を使うのは非常に有効です。
予算に合わせて、どこにどのような木材を使うのが最も効果的か、工務店とよく相談して決めましょう。

4. 【契約段階】建てた後も安心な「保証」と「アフター点検」

家づくりで意外と見落としがちなのが、建てた後の保証と点検の体制です。
「シロアリ保証は何年か」「定期的な点検は無料か有料か」「保証を延長する条件は何か」といった点を、契約前にしっかりと確認しておくことが大切です。

 

このように、設計段階から「建てた後の点検や保証」までを見据えた提案をしてくれる工務店を選ぶことが、本当の意味で安心な住まいづくりに直結します。

関連情報:長持ちする家を建てるには?押さえておきたいポイントもご紹介!

 

建築中の新築住宅の現場で、工務店のスタッフと笑顔で話す若い夫婦

よくあるご質問(FAQ)

Q1. シロアリを見つけたら、まず何をすればいいですか?

A. 写真を撮って証拠を残し、まずは専門家へ相談しましょう。
補足: 殺虫スプレーは使わず、掃除機や粘着テープで応急処置をしてください。自己判断は危険なため、早めの相談が大切です。

Q2. 発生時期だけでシロアリかどうか判断できますか?

A. いいえ、時期だけで判断するのは危険です。
補足: 地域や気候で発生時期は異なります。必ず胴体のくびれや羽の形など、見た目の特徴を合わせて確認してください。

Q3. 市販の殺虫スプレーを使ってはいけないのは、なぜですか?

A. 巣のシロアリが奥に逃げ込み、被害が拡大する恐れがあるためです。
補足: 目の前の羽アリを駆除しても根本的な解決にはなりません。かえって被害の発見が遅れるリスクがあります。

Q4. シロアリ被害を放置すると、修理費用はどれくらいかかりますか?

A. 被害が深刻化すると、100万円を超える高額な修繕費用がかかることもあります。
補足: 軽度なら15万円程度からですが、柱や土台の交換が必要になると費用は大きく跳ね上がります。早期発見が重要です。

Q5. 新築時に一番気をつけるべきシロアリ対策は何ですか?

A. 「建てた後の保証と点検体制」を契約前にしっかり確認することです。
補足: シロアリ対策の効果は永続的ではありません。長期的に住まいをサポートしてくれる工務店を選ぶ視点が最も大切です。

 

 

まとめ

今回は、身近な羽アリの見分け方から、その背景に隠されたシロアリ被害の本当のリスク、そして未来の安心を守るための家づくりについて解説しました。
羽アリの発生は、単なる虫の問題ではなく、住まいの構造や見えない部分の健康状態を私たちに教えてくれる重要なサインです。
放置すれば家の価値や安全性を大きく損なうリスクがある一方で、正しい知識を持って計画的に対策すれば、シロアリの不安から解放された暮らしを手に入れることができます。
基礎の構造、適切な薬剤処理、そして強い木材の選択。
家を建てる時だからこそできるこれらの対策は、未来の安心への確かな投資と言えるでしょう。

 

私たち大栄建設では、目に見えるデザインや快適性はもちろん、床下のような見えない部分の耐久性や、建てた後の長期的なメンテナンスまで見据えた家づくりを大切にしています。
家づくりに関するどんな小さな疑問や不安でも、ぜひお気軽にご相談ください。