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2025.10.25
スタッフブログ
家づくり

テラスハウスとタウンハウスの違いとは?資産価値・法律上の定義・メリットデメリットを徹底比較

テラスハウスとタウンハウスの違いとは?資産価値・法律上の定義・メリットデメリットを徹底比較

理想のお家づくりを考え始めると、戸建てやマンション以外にもさまざまな選択肢があることに気づきます。
中でも「テラスハウス」と「タウンハウス」は、見た目が似ていることから「一体何が違うんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実はこの二つ、建物はよく似ていますが、最も重要な「土地の権利」が異なります。
今回は、テラスハウスとタウンハウス、それぞれの特徴を詳しく比較しながら、ご自身のライフスタイルにぴったりなお家を見つけるためのヒントをお届けします。

 

【テラスハウスとタウンハウスの本質的な違い】

両者の最も大きな違いは「土地の所有形態」
テラスハウス:土地を単独で所有します
タウンハウス:土地を住民全員で共有します

【この記事のポイント】

・テラスハウスとタウンハウスの基本的な違い
・建築基準法における法律上の定義
・土地の権利形態と将来の資産価値への影響
・それぞれの暮らしのメリット・デメリット
・ご家族のライフスタイルに合わせた選び方のポイント

まずは基本から!テラスハウスとタウンハウスそれぞれの特徴と違い

お家づくりを進めていると、テラスハウスとタウンハウスという選択肢が出てきます。
この二つ、見た目は似ていますが、実は基本的な特徴が大きく異なります。
それぞれの違いをしっかり押さえた上で比較すると、より理解が深まります。

テラスハウスとは?|土地を単独所有する「戸建ての連棟住宅」

テラスハウスとは、それぞれが独立した戸建てのお家を、隣同士で壁を共有して連ねた住宅のことです。
複数の住戸が壁でくっつき、見た目は一つの大きな建物のように見えますが、建物が建っている部分の土地を、それぞれの所有者が単独で所有するのが大きな特徴です。

タウンハウスとは?|敷地を共有する「戸建て風の集合住宅」

タウンハウスも、複数の住戸が壁を共有して連なる、テラスハウスと全く同じタイプの住宅です。
テラスハウスとの違いは、建物が建っている敷地全体を、全住戸の所有者で共有(共同所有)するという点です。
この「土地が共有」であるという特徴を持つ住宅を、不動産業界では慣習的にタウンハウスと呼んでいます。

 

手入れされた植栽と自転車が置かれた、モダンな日本のテラスハウスの玄関周り。

最大の違いは「土地の権利」

両者を分ける本質的な違いは「土地の権利」がどうなっているか、という点です。
テラスハウスは、それぞれの住戸の所有者が、その真下の土地も単独で所有します。
一方、タウンハウスでは、建物が建っている敷地全体を、全住戸の所有者で共有します。
この「単独所有」か「共有」かという違いが、資産価値や建て替えの自由度など、あらゆる面に大きな影響を与えるのです。

一目でわかる!特徴比較表

それぞれの特徴を一覧表で比べてみましょう。

比較ポイント テラスハウス タウンハウス
土地の権利 各住戸が土地を単独で所有 敷地全体を全住戸で共有
管理組合 ない場合が多い あるのが一般的
再建築・建て替え 原則可能(隣家との協議が必要な場合あり) 原則単独では不可(管理組合での合意形成が必須)

 

テラスハウスとタウンハウスの建築模型を比較する建築家の手元

資産価値の視点で深掘り!知っておきたい本質的な違い

お家は大切な資産ですから、将来の価値がどうなるかを理解しておくことはとても重要です。
テラスハウスとタウンハウスでは、これまでご説明してきた「土地の権利」の違いが、資産価値に直接影響してきます。
その理由を、両者の呼び名の背景から紐解いていきましょう。

法律上の分類と、不動産取引上の「呼び名」の関係

実は、建築基準法などの法律には「テラスハウス」や「タウンハウス」という言葉の定義はありません。
法律上、これらの連棟式住宅は、各戸が独立している「長屋」か、建物全体を一つと考える「共同住宅」のどちらかに分類されます。
では、なぜ呼び名が違うのでしょうか。
それは、最も重要な「土地の権利」の違いを分かりやすく区別するために、日本の不動産取引において慣習的に呼び分けられるようになったためです。

 

テラスハウス:主に、法律上「長屋」に分類され、土地を単独所有するタイプを指すのが一般的です。
タウンハウス:法律上は「長屋」または「共同住宅」に分類され、土地を住民全員で共有するタイプを指します。

 

このように、法律上の分類と、不動産取引の実態を反映した「呼び名」は、必ずしも一致しないのです。
しかし、物件の価値や将来性を考える上では、この「土地の権利」に着目した呼び分けが最も重要になります。

 

将来の資産価値にどう影響する?

お家の資産価値は、「建物」と「土地」の両方で評価されます。

テラスハウスの資産価値

テラスハウスは、建物部分に加えて土地を単独で所有できるため、一般的に資産価値が保たれやすい傾向にあります。
建物が古くなっても土地の価値は残るため、将来的に売却したり、建て替えを検討したりする際の自由度が高くなります。
ただし、建て替えの際には壁の切り離し工事や足場の設置などで隣家の協力が不可欠です。
また、古いテラスハウスの中には、現在の建築基準法が定める接道義務を満たしておらず「再建築不可」となっている物件も存在するため、中古物件の購入時は特に注意深く確認する必要があります。

タウンハウスの資産価値

タウンハウスは、土地が共有名義のため、土地の権利は「敷地権(敷地利用権)」として建物の権利と一体化しています。
土地の資産価値は、敷地全体の評価額を各戸の専有面積などに応じて按分した「共有持分」として評価されるため、個別の土地としての価格がつきにくい側面があります。
また、売却や建て替えは管理組合の規約に則って進める必要があり、住民全体の合意形成がなければ個人の意思だけでは実行できません。
この点は、資産の流動性や自由度に大きく関わるポイントとして理解しておくことが重要です。

 

マイホームの資産価値を象徴する、家の鍵を手に喜ぶ若い日本人夫婦

暮らしをイメージ!テラスハウスとタウンハウスそれぞれのメリット・デメリット

ここからは、実際に暮らす上でのメリットとデメリットを比較してみましょう。
ご自身の家族構成やライフスタイルを思い浮かべながら、どちらの暮らしがフィットするかをイメージしてみてください。
理想のお家での生活を具体的に考えることで、選択の軸がよりはっきりしてきます。

テラスハウスのメリット・デメリット

戸建てに近い暮らしを求めるご家族に魅力的な選択肢です。

メリット

戸建て感覚の独立性:各住戸が独立しているため、上下階の音を気にせず、のびのびと暮らすことができます。小さなお子さまがいるご家庭にも安心です。
庭や駐車スペース:自分の土地なので、ガーデニングを楽しんだり、専用の駐車スペースを確保しやすかったりします。
リフォームの自由度が高い:個人の所有物であるため、構造上の問題がなければ比較的自由にリフォームやリノベーションを計画できます。
管理費が不要な場合も:管理組合がないケースが多く、月々の管理費や修繕積立金がかからない場合があります。

デメリット

お隣との距離感:壁一枚で隣接しているため、生活音が伝わりやすくなります。防音対策がしっかりしているか、内見時に確認することがおすすめです。
維持管理は自己責任:管理費や修繕積立金がない分、将来の大規模修繕(外壁塗装や屋根の葺き替えなど)に備え、自分自身で計画的に資金を積み立てておく必要があります。
お隣との協調性:大規模な修繕や建て替えの際には、隣接する住戸の方との話し合いや協力が必要になることがあります。

タウンハウスのメリット・デメリット

コミュニティでの暮らしや管理のしやすさを重視するご家族に向いています。

メリット

管理の手間が少ない:管理組合があるため、共用部分の清掃やお庭の手入れ、大規模修繕などを計画的に行ってくれます。日々の管理をお任せできるのは大きな魅力です。
整備された住環境:敷地全体が一体的に計画されているため、緑地が整備されていたり、統一感のある美しい街並みが保たれやすくなります。
コミュニティ形成:居住者同士のコミュニティが形成されやすく、防犯面での安心感や、子育て世代の交流が生まれやすい環境です。

デメリット

管理費・修繕積立金:マンションと同様に、毎月管理費や修繕積立金の支払いが発生します。
規約による制限:ペットの飼育やリフォーム、庭の使い方など、管理規約によってさまざまなルールが定められている場合があります。
土地の権利が共有:土地が共有名義のため、将来的な売却や建て替えは、個人の意思だけでは決定できません。

 

モダンな住宅のリビングでくつろぐ家族。理想のライフスタイルをイメージ。

戸建て・マンションと比較!ご家族にぴったりの住まいを見つけよう

テラスハウスとタウンハウスの特徴がわかったところで、多くの方が最初に検討される「一般的な戸建て」や「マンション」と、それぞれを比較してみましょう。
ご自身の理想の暮らしと照らし合わせることで、本当にご家族に合った住まいの形が見えてきます。

テラスハウスと一般的な戸建て、どちらを選ぶ?

テラスハウスは、戸建てに近い暮らしを、より現実的な価格で実現できる可能性があります。
両者の主な違いを下の表で比べてみましょう。

 

比較ポイント テラスハウス 一般的な戸建て
価格帯 比較的抑えめ 比較的高め
プライバシー 壁一枚で隣接 完全に独立
土地の広さ コンパクトな場合が多い 比較的広い
メンテナンス 隣家との協調が必要な場合も すべて自己完結

 

このように、価格を抑えつつ戸建て感覚の暮らしを手に入れたい方にとって、テラスハウスは魅力的な選択肢となります。

タウンハウスと一般的なマンション、どちらを選ぶ?

マンションの管理のしやすさは魅力だけど、上下階の音や、戸建てのような暮らしにも少し憧れる…という方におすすめなのがタウンハウスです。メゾネットタイプ(2階建て以上)が基本なので、マンションの良さを持ちつつ、一戸建てに近い感覚で暮らせます。

 

比較ポイント タウンハウス 一般的なマンション
上下階の騒音 ほとんど気にならない 気になる場合がある
隣戸とのプライバシー 玄関が独立し、共用廊下がない 共用廊下があり、隣戸の往来がある
専用庭・駐車場 付いている場合が多い 付いていない場合が多い
管理のしやすさ 非常に良い(管理組合あり) 非常に良い(管理組合あり)
眺望・日当たり 低層階が中心 高層階も選べる

 

管理の手間をかけずに、マンションよりも戸建てに近い暮らしをしたいというご家族にとって、タウンハウスは理想的な住まいと言えるかもしれません。

 

戸建てやマンション、テラスハウスなど多様な選択肢を比較検討する家族

どんなご家族におすすめ?ライフスタイルに合わせた選び方のポイント

最後に、テラスハウスとタウンハウスが、それぞれどのようなライフスタイルを持つご家族に向いているのか、そして選ぶ際にチェックしたいポイントをまとめました。
これまでの情報を踏まえて、ご自身やご家族にとって最適な選択はどちらかを考えてみましょう。

テラスハウスがおすすめなのはこんなご家族

自分たちのペースで自由に暮らしたい、戸建ての独立性を重視するご家族にぴったりです。

 

自分たちらしくお家をカスタマイズしたい:将来的にリノベーションをして、間取りを変えたり、内装にこだわったりしたいと考えている方。

ガーデニングやDIYが趣味:自分だけの庭で草花を育てたり、休日にウッドデッキを作ったりと、お家の外空間も楽しみたい方。

月々のランニングコストを抑えたい:管理費や修繕積立金といった固定費をできるだけ抑え、その分をお家のメンテナンス費用として計画的に積み立てたい方。

タウンハウスがおすすめなのはこんなご家族

管理の手間を減らし、整備された環境で安心して暮らしたいご家族に最適です。

 

共働きなどで日々の管理に時間をかけにくい:共用部分の清掃や植栽の手入れなどを管理組合にお任せし、時間を有効に使いたい方。

ご近所付き合いやコミュニティを大切にしたい:同じ敷地内に住む人たちとの交流を楽しみ、子育てなどの情報交換をしたいと考えている方。

統一感のある美しい街並みで暮らしたい:敷地全体が計画的にデザインされた、手入れの行き届いた環境を好む方。

後悔しないためのQ&A

Q1. 中古物件を選ぶときの注意点はありますか?

A1. テラスハウスの場合、お隣との境界線や、過去の修繕履歴をしっかり確認することが大切です。
タウンハウスの場合は、管理組合の運営状況や、大規模修繕計画がきちんと進められているかを確認することがおすすめです。

 

Q2. 防音性はどちらが高いですか?

A2. 一概には言えず、建物の構造や建築年代によります。
比較的新しい物件では防音対策が強化されていることが多いです。
内見時には、可能であればご家族に協力してもらい、隣戸との間の壁付近で声を出してもらったり、壁を軽くノックして音の響き方を確認したりするのも一つの方法です。
また、不動産会社の担当者に、壁の構造(コンクリート造か、石膏ボード二重貼りかなど)について質問してみるのも良いでしょう。

 

Q3. ローンは組めますか? 注意点はありますか?

A3. どちらも住宅ローンの対象となります。
ただし、タウンハウスは土地が共有名義であること、テラスハウスは物件によって(特に中古の場合)担保評価が低くなる可能性もゼロではありません。
金融機関によっては審査の基準が異なる場合があるため、事前に不動産会社や金融機関に相談しておくとスムーズです。

 

マイホームの間取り図の特定の箇所を指さし、ライフプランについてじっくり検討している様子

まとめ

今回は、似ているようで異なる「テラスハウス」と「タウンハウス」について、その違いを詳しく解説しました。
一番のポイントは、建物は同じタイプの連棟式住宅ですが、「土地の権利形態」に違いがあるということです。
テラスハウスは「土地を単独所有」し、タウンハウスは「土地を共有」します。
この違いが、資産価値やリフォームの自由度、日々の暮らしのスタイルに大きく影響します。
どちらかが優れているということではなく、それぞれの特性を深く理解し、ご自身の家族構成や将来のライフプランに合ったお家を選ぶことが、何よりも大切です。
ご家族が心から納得できる、素敵なお家づりのヒントになれば幸いです。